和歌・短歌・俳句の日英翻訳(4)春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ 野をなつかしみ 一夜寝にける
前回(↑)にひきつづき、山部赤人の一首です。
原文は
「春野尓 須美礼採尓等 来師吾曽 野乎奈都可之美 一夜宿二来」。
意味は
「春の野に、すみれの花を摘もうとやってきたが、その野をなつかしく思って、そこで一夜寝てしまった」。
すみれの咲く野の美しさを歌っているという説のほかに、
すみれとは恋人のことであって
彼女に会いにいったときのことを歌ったのだという説もあります。
さて英語です。これも、Kenneth Rexrothの訳です。
When I went out
In the Spring meadows
To gather violets,
I enjoyed myself
So much that I stayed all night.
meadowは、草地(牧草地なども含む)のこと。複数形になっているので、一か所でなくいくつかの草地にいったのでしょう。
「摘む」には、gather(集める)が使えます。ちなみに「茶を摘む」のはpick tea。
I enjoyed myselfは直訳すれば「自分自身を楽しませた」ですが、
英語としてはきわめて自然な表現であり、
直訳のもつ奇妙なニュアンスはまったくありません。
逆に、日本人がよく使うI enjoy very much.という表現は、
自動詞としての用法がenjoyにはありませんので基本的には間違いであり、
場面によってはおそらく通じるにしても、かなり奇妙です。
So much that…は
「とてもそうだったので…である」というso…that構文です。
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