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心と言葉の翻訳(24)文体(5)英文和訳/和文英訳は「音楽性」を翻訳していない(2)

(↑のつづき)

ただし、「価値の創出」という観点からみれば、「文体の翻訳」の価値創出の優先順位はその他の要素に比べて高くないことは、よく認識しておかなければならない。

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翻訳の現場では、翻訳のなかの各要素のあいだでの価値相反(あちらを立てればこちらが立たず)がしばしば生じる。

その場合には、文体よりもその他の要素が価値の面で高いと判断されるケースがほとんどである。

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ただし、このことはあくまで「心と言葉の翻訳」での話であって、翻訳のすべてをカバーしているわけではないことにも、注意を向けなければならない。

「心と言葉の翻訳」は、実務翻訳を中心に幅広い適用範囲を想定して開発された翻訳モデルであるが、文学の翻訳については、その適用を想定していない。

そして、この領域(文学の翻訳)での価値創出にとっては文体の翻訳は、その他の要素以上に大きな役割を果たしている可能性が高い。


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たとえば、本章の「心と言葉の翻訳」の項で『枕草子』の英訳としてIvan Morrisの訳として、次のものを挙げた。

In spring it is the dawn that is most beautiful.
As the light creeps over the hills,
their outlines are dyed a faint red
and wisps of purplish cloud trail over them.


これは、思考の基本単位の観点からみても、まだ「心と言葉の翻訳」の適用範囲に入るものである。

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だが、たとえば、以下に紹介するMeredith McKinneyの訳となると、その価値は「心と言葉の翻訳」では、評価ができなくなる。

In spring, the dawn—when the slowly paling mountain rim is tinged with red, and wisp of faintly crimson-purple cloud float in the sky.


この訳が重視しているのが『枕草子』の内容よりも文体であることは明らかである。

そして、この訳のもつ「文学翻訳的な価値」はきわめて高いと私は考える。

(つづきは↓)

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