成瀬由紀雄のとわずがたり:言語の3つの機能ーー認識・思考・表現
(↑のつづき)
言語には3つの機能がある。認識・思考・表現である。
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人間は言語をつうじて世界を認識する。
ものや現象に名前をつけることで世界を分節化する。
逆にいえば、
人間は言語というレンズを通してしか世界を認識することができない。

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人間は言語を使って思考する。
言語を使わなければ、考えることはできない。
考えているとは言語を使っていることの同義語である。
考えていることはあるのだが言葉にならないというのは、単なるごまかしにすぎない。

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もちろん、
言葉には人と人をつなぐという、もうひとつの重要な役割がある。
人間は、ひとりでは生きていけない。
だから人間は他者とつながるために、言語を使う。
言葉を使ってなにかを表現し、いっぽうで言葉をつうじてお互いがお互いを理解しようとするのである。

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こうしてみてみると、人間とは言語をもつ存在である(homo loquens)という定義には大きな説得力がある。
だが、これほどまでに人間にとって重要な役割を果たす言語が、民族によってそれぞれ異なるというのは、いったいどういうことであろうか。
神を畏れぬ所業をしたために人間に下された罰であるというバベルの塔の神話が生まれたのも、むべなるかなである。

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さて
言語教育の観点からいえば、言語には認識、思考、表現という3つの機能があるということをつねに強く意識しておくことがきわめて重要
である。
だが英語教育の現場にいると、
この3つの言語機能のうちの表現機能だけが強く意識され、その一方で、認識、思考という他の2機能がほとんど意識されない
ことが多い。
その結果として、音声体系や個々の表現の習得といったことばかりが重視されることになる。
認識、思考の領域にまで踏み込んで3つの言語機能を統合的に扱う包括的な英語教育体系は、まだ十分には開発されていない。
その開発がこれからの英語教育における最大の課題のひとつである。
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