見出し画像

ネコの絵本と高校生の娘|上条デイズ#14【連作ショートショート6】

最近、娘は部屋にこもる時間が増えた。
高校生にもなると、
そういうものなのかもしれない。
上条靖之は、少し寂しく思う一方で、
安心もしていた。

部屋の前を通ると、
キーボードを打つ音が聞こえる。
何を書いているのかは分からない。
けれど、楽しそうな時もあれば、
ため息まじりの時もある。

「じまにゃんさんみたいになりたいの」
少し前に、そう言っていたのを思い出す。
上条もネットをのぞいてみた。
そこには、とても真似できない熱量があった。

娘は部屋の片付けをしていたみたいだ。
珍しいこともあるものだと、上条は思う。

本棚の奥から、薄い紙の束が出てくる。
少し色あせた、やわらかい紙。

ゴロゴロ、ゴロゴロ。
ネコが転がっている。
色鉛筆の、ぎこちない色。
焚き火のような赤と、少しはみ出した黒い線。
ページをめくる。
火が消える。

娘は、そこで手を止めた。
これ、なんだっけ。
小さくつぶやく。

→ パパの絵本と高校生の娘|上条デイズ#15
  【連作ショートショート7】
   に続く

#短編小説 #創作 #上条デイズ #ネコの絵本 #じまにゃんさん


いいなと思ったら応援しよう!