Q eND A《キューエンドエー》連載版 Q3
↑前回↑
Q3 「囲碁で石を打っても陣地が増えない場所」を語源とする、無駄なこと・価値がないことを意味する言葉は何?
1
◆◆
東京、警視庁。会議室の一つに、とある部署のメンバーが集められていた。
「平川サン、まだくたばってなかったんですね」
「フン、相変わらず口の聞き方がなってないな」
「半蔵さん平川さん、お久しぶりっすー!あ、乾さんも!」
「……うん」
半蔵モンヂ、平川ホウゾウ、桔梗ユカリ、乾イヴァン。年齢も性別も様々な4人の前に、彼らのリーダーがやってくる。4人はそろって敬礼した。
「楽にしてかまいません」
リーダーは敬礼を返してから、部下たちに告げる。パンツスーツの女。長身にヒールも履いているので、巨漢の半蔵と同じぐらいの身長に見える。
「今回の件、何か聞いている方はいますか」
「何も。まあ、ウチらが呼ばれたってことは、まともな事件じゃないんっすよね?」
リーダー……大門サクラの問いかけに、桔梗が答え、他の3人も同様に首を振った。
「では、簡潔に。今回の我々の任務は、『デスゲームへの参加と、参加者の保護』です」
「はぁ?ボス、マジでいってんの?」
「……サクラがマジじゃなかったこと、ある?」
疑いの声をあげる半蔵に、乾が短く反論した。
「続けます。現在、名古屋、大阪、札幌などの都心部を中心に、突然人が消える事件が立て続けに起こっています。そして先日、初めて警察関係者……M市の交番に勤務する巡査が被害にあいました。大規模な捜索が行われる中、無線機から届いた通信の内容が、これです」
サクラは話しながらラップトップを広げ、音声ファイルを再生した。
『や、やっと繋がった!こちら野田です!今、どこかわからない場所に急に連れてこられ……負けたら死ぬゲームをやらされています!ふざけていません、信じてください!オラクルとかいうわけのわからないヤツに言われて、他の20人ぐらいの人と……もう8人は死んでしまいました。今は脱出の方法を探していますが、ゲームを抜け出しているのでいつまで持つか……今までの行方不明者も、おそらくこの(悲鳴や怒号が聞こえる)ああ、また1人殺されたのか……!ともかく、悪意のある意味のわからない何かに拉致されているんです!あとは……そうだ、やらされてるのは、早押しクイズです。クイズで負けた人から殺されています……助けてっ、助けてください!俺はこんなところで誰かを殺したくもないし、死にたくも(何かが弾けるような音が聞こえる)』
音声の再生が終わると、会議室に沈黙が流れる。
「……調査の結果、野田巡査が勤務中に行方不明になったのと同時刻に、M市の同じ地域から他に25人の行方不明者が出ていました。また、無線の送信元の場所は貯水池の中で、26人の人間を収容できる空間はなかったそうです」
「つまり、何か?」
平川が頭をかきながら、苦々しげに言った。
「そのオラクルとかいう宇宙人か何かが、人間を謎の空間に拉致して早押しクイズをやらせ、負けたやつから殺している……ってことか?」
「相違ありません。宇宙人かどうかは、これから我々が探るべきことの一つです」
サクラは資料を全員に配り始め、受け取った者から会議室を後にしはじめた。
「まったく……またワケのわからねえことに……許せねえな、毎度毎度ヒトをオモチャかなんかだと」
「平川さん、今回は宇宙人じゃないかもしれないんですって。野良の超能力者か、上位存在のイタズラかも」
「……そっちのパターンも、大変」
「ウチは無線の発信源と拉致されている地域の分析から手をつければいいっすか?3年前の京都連続神隠し事件が参考になるかな……」
「パソコンごとは桔梗ちゃんのほうでやってくれ、俺は現場をあたる。半蔵、ついてこい」
「えー、ここ駅からクソ遠い……歩きはゴメンですよ」
会議室には、乾とサクラだけが残った。
「……僕は、どうすればいい」
「あなたはだけは私の指示を待ってくれるんですね、イヴァン」
乾には、サクラが苦笑したように見えた。他の者が見ても、そのわずかな変化はわからないだろう。
「ついてきてください。『オラクル』という謎の存在について、調べます。いかなる超常の存在にも、国民を好きにさせるわけにはいきません。それが我々の使命です」
旧神祇省の流れを汲み、警視庁の中に極秘に存在する、常識を超え法を逸脱する事件を担当する警察官たち。それが彼ら、大門班の正体だった。
◆◆
2
現在、生き残っている参加者は11人。
僕とミラとマイカ。Q。大門サクラ以下警察を名乗る4人。双子の子供、リリとララ、それに禅寺ゼンジロウ。この11人だ。最初は26人いた参加者も、ここまで減ってしまった。
開示されている能力も増えた。
Answer:クイズの答えがわかる。
BAN:指定した参加者の能力を一定時間無効にする。
Counter:他の参加者がボタンを押す行動を予知し、その前にボタンを押すことができる。
Detective:クイズや能力に関する情報以外を、任意に聞き出すことができる。
Erase:クイズの問題文や選択肢の一部を非表示にできる。
Fifty-Fifty:クイズを2択扱いで回答できる。
Genre:問題の出題ジャンルを変更できる。
Holoscope:ラウンドに1回、参加者のうち一人の能力を知ることができる。
Immortal:指摘によって死なない。
Judge:能力の処理やクイズの詳細なルールについて、正確な情報を得ることができる。
Knight:ラウンド不参加時、参加者一人を選び、死亡しないようにできる。
Loop:死亡したとき、クイズをやり直すことができる。
Medium:死んだ参加者の能力がわかる。
Negotiation:ラウンドへの参加やクイズの得点を、交渉により変更できる。
Overwrite:公開されている能力情報のうちひとつを書き換える。
Phone:スマホを持ち込むことができる。
このうち、『イレイズ』・『カウンター』・『フォーン』、そして公開されてはいないが『ストップ』はすでにいないことがわかっている。そして、前のラウンドの挙動から、警察の4人のうち誰かが『BAN』であることも。これは全員が知っている情報だ。また、おそらく『ジャンル』は、もういない。
僕だけが知っている情報は、僕が『アンサー』であること、ミラが『テレパス』であること、そしておそらくマイカは『ホロスコープ』であること。
「我々のプランは単純です。最初に誰かが言っていた必勝法に近いかもしれません」
ラウンドの合間、サクラが僕たち――僕・ミラ・マイカを呼び出して話し始めた。周囲に他の警察を名乗るメンバーはいない。
「端的に言って、『時間稼ぎをして、助けを待つ』。それが我々の主な脱出プランです」
「そ、その。本当に助けなんて来るんですか?」
「来ます」
不安そうなマイカに、サクラが断言する。
「これを見てください」
サクラが取り出したのは、スマホだった。
「えっ?!うそっ、なんで?」
「桔梗の能力『フォーン』は、スマートフォンを持ち込める能力です。そこに個数制限はなかったようです。桔梗はこういうのが好きで、常に5、6台のスマホを持ち歩いていましたから、我々には全員分のスマートフォンがあります。そして、ここ」
あっけにとられる僕ら3人をよそに、サクラは画面を指さした。
「電波が通じています。普段通り、普通にインターネットにアクセスできますし、電話もできます」
「そ、そうか……画像検索ができたのも、そういうわけか」
僕は桔梗たちと対戦したラウンドを思い返していた。スマホが持ち込めるだけでは画像検索はできないだろう。
「私達の普通のスマホで、電波が通じる……ということは、ここは私達の住んでいる場所や時間と同一であるということです。空腹や排泄欲がないので、何らかの影響で外部と時間がずれているのかも、とも思っていましたが、そうではない。私達は、現代日本のどこかに、隔離されている。これは確かです」
なかなか衝撃的な情報だった。僕らはそんなこと考えている余裕もなかったし、オラクルの超能力や、この無限に広がっていそうな空間を見たせいで、異空間に閉じ込められているものだと、なんとなく思っていた。
「私達は外部と連絡が取れています。位置の座標もすでに送付済です。ですから、いずれ助けに来るはずです」
サクラの表情は変化に乏しいが、言葉は自信にあふれていた。なにより、スマホという、僕たちの日常に結びつくものが……そして、ネットという連絡手段を見せられ、僕は彼女の話を信じたくなった。
「あんたがマジで言ってるのはわかった。けどよ、3つ気に入らねえところがある」
ミラがピンクの髪をいじりながら、サクラを睨んだ。
「1つ。なんで今まで黙ってたんだ?もっと早くこうしていれば、死ななくてすんだヤツだって、殺さなくてすんだヤツだっていただろ!」
「……それについては、申し訳なく思っています。私達も、守るべき国民を……ゲームの結果とはいえ、手にかけてしまったことは、重く受け止めています」
サクラは目を伏せる。
「今まで動けなかったのは、人数が多く不確定要素が多かったからです。特に、Qの行動と卓越したクイズ力とカリスマ性は脅威でした。Qの党派が先程のラウンドでいなくなり、彼以外の全員に協力を持ちかけられるようになって、初めて表立って動くことができました」
「機会を伺ってたってわけか……」
「さ、最初のほうとか、みんなものすごく混乱してましたし、話しを聞く状態じゃなかったと思います……」
これも一応、筋は通る内容だ。自分たちだけ有利な情報を掴んでいたのだから、もっとなんとかできなかったのか、と思いはするが、さらなる恐慌を招いただけのような気もする。ミラは続ける。
「2つ。そのプランでなんで『アンサー』とQを倒す必要がある?あんたのいう『守るべき国民』に入らねえのか?」
サクラは少し考えてから、声を潜めて返した。
「おそらく、あなたの気に入らない3つ目は、『待っているだけってのが気に食わない』ですよね」
「……?まあ、そうだけど」
「でしたら、これはその両方の答えになるでしょう」
サクラは僕らに顔を寄せ、周囲の視線を伺う。
「……私達は、Qか『アンサー』、あるいはその両方が、オラクルによって仕組まれた『人狼』だと考えています。だから、排除しなければならないのです」
3
「我々を全員殺すことが勝利条件の、オラクル側の参加者です。というのも、おそらくこのテストは、人狼ゲームを元にしていると思われるからです」
「人狼ゲーム?」
聞いたことのない単語に、僕はオウム返しをしてしまう。
「Youtuberがやってるの見たことあるぜ。ええと、たしか……人狼と村人がいて……」
ミラが説明しようとして、できなかったので、マイカが後をひきとった。
「プレイヤーが村人チームと人狼チームに分かれて行う会話ゲームです。村人の中に人狼が数人紛れ込んでいて、人狼は1ターンに1回、村人を食べて殺します。そのあと、村人は議論して、自分たちの中で誰が人狼なのかを探し出し、その人を処刑するんです。その結果人狼がいなくなれば村人の勝ち、村人を全部食べてしまえる状況になったら人狼の勝ち、というゲームです」
「そう、それ。それがなんで今回のテストと関係があるの?」
サクラが示したのは、掲示されつづけている『異能力』の表だ。
「『占い師』『騎士』『霊媒』……どれも人狼ゲームの役職です。他の『異能力』が直接的に名付けられているのに対して、これらは少し回りくどいネーミングです」
改めてみてみると、確かにそうだ。『アンサー』『ジャンル』みたいな直球でないのは、浮いているように見える。
「もう一つ、私が根拠としているのは……『アンサー』を見つけ出す方法です。人狼ゲームには人狼しか知らない情報があります。誰が人狼か、誰が誰を食ったか、など……村人なら知らないはずのことを知っている。それが人狼をあぶりだすカギになります」
「……知っているものを知らないふりをすると、どこかで齟齬が出ると?」
サクラはうなずいた。
「『アンサー』も同じです。知らないはずのクイズの答えを知っていて、私たちはそれを根拠に見抜くことができる……そして、処刑をする方法も与えられている。このテストは、意図的に人狼ゲームに似せられているのだと、私は思います」
「……じゃあ、やっぱり私たち村人は、協力しないといけなかったんですね」
マイカは表情を曇らせながら呟く。最初から参加者全員が協力できていれば、こんなことにはなっていなかったのだろうか。
「あれ、でも」
そんなことを考えていると、マイカが何かを思い出したようだった。
「人狼ゲームって、人狼チームは人狼だけじゃなかったですよね」
「どういうこと?」
「はい。汀さんの言うとおり、人狼ゲームにおいて、人狼側には『狂人』という役職があります。これは、人狼でないのに、人狼が勝つと勝利する役職です」
「つまり、それになぞらえると『アンサー』が人狼、Qが狂人だと?」
「そうでないと、Qのあの言動は説明がつかないように思います」
サクラはそう言ったが、僕はそれには賛同できなかった。おそらく、だが。Qは本当に、クイズがやりたい、クイズが楽しいとしか考えていない。それがこの状況下では狂人のように見えるだけで。
【ラウンド11を始めます】
オラクルのアナウンスが響いた。
「あたしだ」
ミラが呼び出され、僕と『テレパス』の回線がつながる。眼の前にサクラがいるので、バレないかとかなり心配だったが、ミラはおかまいなしだった。
「お二人は仲がいいですね」
サクラが何気なく言ったので、僕は「いやあ、別に」と謙遜しそうになったが、
「私は、お二人のどちらかが『アンサー』ではないかと思っています」
すぐにその言葉を飲み込むことになった。
(まさかバレてるんじゃないだろうな?)
(違う……と思いたいし、バレていたとしても、この人たちはまだ『能力指摘』はしてこないだろう。なぜなら……)
「でも、それは今は関係ありません。あなたが『アンサー』だとしたら、『異能力』なしで同じ結果を出してくるQは天敵のはず。その点、私達の利害は一致しています。ですから、今は。Qを倒した後はわかりませんが」
Qを倒した後、僕を倒しに来る。僕とミラのどちらが『アンサー』なのか、その確定的な情報を集めるために、監視しておきたいということか。
「協力しましょう。しない理由はないですよね?」
サクラは微笑んだが、その目が笑っているはずもなかった。
(こええな、このヒト)
ミラの心の声が聞こえる。僕も同感だった。僕らが思いもよらなかったところまで、このデスゲームを解体している。
「……ごめんなさい。私、怖がらせてしまったでしょうか」
そんな僕らの心情を読み取ったのか、サクラは少し寂しげな表情をした。
「こういったデスゲームには慣れていまして。過去に20回ほど生還しているものですから。少しズレていても、ご容赦ください。その分、皆さんは確実に守ってみせます」
ラウンド11からは通常の早押しクイズに戻ったようだ。
解答席にはミラと、警察を名乗った4人のうち1人、乾イヴァン……ハーフの俳優みたいなイケメンだ……の2人がついていたが、最後の1人が来ない。
「ララちゃん、どうしたのかなあ……」
席を見ている僕の隣で、禅寺が不安そうな顔をした。彼はたしか、あの双子とよくいっしょにいた青年だ。
「あ、あの、みなさん、ララを見てませんか?リリ、さっきから探してるんだけど、ずっと見つからなくって……」
双子の片割れ、二荒山リリが半泣きで僕らに聞くが、僕らは首を横にふるしか無い。
クイズの開始の時間が迫る、その時。
「きゃあああああああっ!!」
「マイカ?!」
マイカの悲鳴が聞こえた。声のほうを振り向けば、先程の休憩のときに出現した個室区画への入り口で、マイカが腰を抜かしている。
(ちょっと見てくる)
僕はミラに言ってから、駆け出す。それを半蔵が追い抜いた。体格のわりにものすごい速さだ。
「……悪い予感がしてみりゃあよぉ~~。こいつは最悪だ」
半蔵の大きく分厚い手が、僕の視界を遮った。
「な、何するんだ!」
「ガキが見るもんじゃねえ、一生夢に出んぞ」
それでも、彼の太い指の隙間から、その光景の一部が、見えてしまった。
無惨に殺された、二荒山ララの姿が。
4
【ラウンド11。二荒山ララの死亡により、デスペナルティなし】
オラクルのアナウンスはいつもと変わらない調子だったが、僕たちの間では完全に事情が変わっていた。
「あの双子の1人が殺されてたって……?殺されたって、普通に?」
「うん。『能力指摘』とかクイズで殺されたんじゃない。誰かの手によって、他殺されていた……らしい。僕も詳しくは見てないんだけど」
僕はミラに答えながら、遠くから規制線(どこから持ってきたんだ?)が張られた個室区画を見ていた。
「な、なんですかそれ……!」
「つまりよ……マジの殺人鬼が俺たちの中にいるってことかよ?!最悪じゃねえか……」
マイカはミラは頭をかきむしった。マジの殺人鬼、しかも子供を手にかけるようなやつだ。そんなやつが、この11人……今となっては10人に減ってしまった参加者の中にいる。
僕の視点では、僕とミラとマイカ、サクラはもちろん違う。4人いっしょに行動していたので、まず個室区画に行くことができない。動機や状況から見て怪しいのは……。
「……だめだ、情報が少なすぎるし、証言を確認する方法がない。推理なんかムリだ」
僕は歯噛みした。クイズの中での出し抜き合い、『異能力』の読み合いであれば、クイズの中での行動が根拠になる。でも、ただ殺されたのでは、僕には何もわからない。
「クソっ、こんなことがあっていいのかよ!おい、オラクルとやらは何してんだ!殺人鬼がいてテストもデスゲームもあるかよ!聞いてんのか!」
ミラが叫ぶが、答えは返ってこない。
「……落ち着いて、騒がないで」
そんな僕らの様子を見ていた青年が近づいてくる。乾イヴァン、警察を名乗った4人の1人で、サクラの部下だ。
「こんな状況で落ち着いてなんていられるかよ!」
「……良くない。暴れると、落ち着かせることになる。強制的に」
イヴァンの言葉は少ないが、脅迫には十分だった。ミラはそれ以上の言葉を飲み込む。
「そ、そうだ……この人たち、警察なんだ……人が殺してオラクルが何もしてこないなら、どれだけ暴力を振るっても問題ないわけで……」
マイカが恐怖の表情でイヴァンを見た。
「……うん。でもそれは最後の手段。君たちは、僕らが守る。だから、大人しく従って」
有無を言わさない迫力があった。相手は暴力のプロだ。クイズもデスゲームも関係ない暴力がまかり通ってしまった今、彼らには従う他ない。
「なんでこんなことに……ちゃんとデスゲームをさせる気があるなら、それ以外で危害を加えられないようになっているべきじゃないの?」
「あたしにもわかんねえよ……何もわかんねえよ。殺人鬼の気持ちも、オラクルのやりたいこともな」
僕らは無言になってしまう。警察の4人によって、他の参加者たちも同じように協力を強いられているようだった。唯一マシなのは、殺人鬼の方も同じように監視され動けない状態にあるということだ。
そこまで考えて、僕は気づく。
(この状況は、警察の4人にとって都合が良すぎる。暴力で従わせることが正当性を持ってしまっている。まさか、自作自演しているのか?)
僕はサクラのことを思い出す。彼女は国民を守ると言っていた。人が死んでいることに、本当に悔しそうだった。それが嘘であるとは思いたくない。
(そういや、あいつ……)
考えているところに、ミラが割り込んできた。『テレパス』の回線がつながったままだったのが幸いだった。
(半蔵とかいうデブを蹴ったりしてたよな。あれで、暴力になんかのペナルティがないかを確認してたのか?)
マイカがさっき言っていたように、暴力を振るうことには何か制限があってもおかしくない。本格的に動き出す前にそれを探っていたとすれば、辻褄は合う。合ってほしくはないが。
【ラウンド12を開始します】
何も答えなかったオラクルの声が、無情にラウンドの進行を宣言した。参加者は、禅寺・サクラ・半蔵。僕の視点からだと、あまり情報がなく殺人鬼の可能性がある禅寺、そして殺人鬼の自作自演をしているかもしれない警察の2人が、回答席に上がる。
はずだった。
「半蔵。応答しなさい。不戦敗になりますよ」
回答席にあらわれたのはサクラだけだった。半蔵と禅寺が来ない。サクラはスマホを耳に当てて呼び出しているようだ。
「イヴァン、半蔵は禅寺を監視していましたね。彼らはどこに?」
「……今探しています。半蔵は少林寺の有段者ですから、たとえ禅寺が犯人でも、簡単に殺されることはないかと思いますが……」
平川と乾が周囲を見回し始めた時。
ピンポーン!
正解音が響いた。まだクイズが始まってもいないのに。
そしてその直後、なにかが弾けるような音が聞こえる。
「まさか!」
僕は思わず立ち上がる。この2つの音が表すのは、『能力指摘』の正答。そして、誰かが死んだこと。
張られた規制線の向こう、すでに死体が一つある部屋から、どさっ、と何かが倒れる音がした。乾が急いで確認に向かうが、僕らは彼より早く真相を知ることになった。
【ラウンド12。半蔵モンヂの死亡により、デスペナルティなし】
5
「……サクラ、もう猶予がない。半蔵は『能力指摘』で殺されたんだ。我々の『異能力』がどこからかバレているおそれがある」
乾が拳銃を持ったまま、僕たち生き残りの参加者の前に戻ってきた。
「そうですね。苦しいですが、皆さんを無力化させてもらいます」
サクラの声が聞こえるのが早いか、体に衝撃が走る。みぞおちを殴られたようだ。
「やめろっ!てめえっグううっ!」
「悪いな、嬢ちゃん」
平川が手錠のようなものでミラを拘束する。サクラも僕に同じようにしようとしてきたが、僕は体をよじってなんとか逃げ出す。
痛みと吐き気でうまく動けない。這って逃げようとするが、サクラがすばやく僕を取り押さえる。背中にサクラの体重がかかり、関節が極っているためか動くことができない。視界の端に、他の参加者……Qが平川に、マイカとリリが乾に拘束されているのが映る。
「っぐ、大門さん!やめてください!僕らに何かできたと思いますか!?」
「わかりません。考えている間に動かれては困るので、推理は無力化したあとにさせてもらいます」
もともと起伏の少なかったサクラの声は、さらに冷徹に響いた。
「僕じゃない!信じてください!ぐうっ……!」
「桔梗を殺した時みたいに、探偵のマネごとでもするつもりですか。誰がやったというんですか?」
僕とマイカとミラは当然違う。リリには双子の片割れを殺す動機がないだろう。
「禅寺っ、あの男が」
僕の口をついて出たのは、禅寺ゼンジロウの名前だった。Qが人を殺すとは思えなかったのだ。そんなことをしては、クイズができる回数が減るかもしれない。だから、やる理由がない。
「禅寺ですか。彼も死んでいました」
「なっ……!?」
「死体は2つあったんです。頭部が破裂した半蔵と禅寺の死体。あなたの言うように禅寺が犯人であれば、半蔵は相打ちになったのでしょう。そしてこの後殺人は起こらないはずです」
半蔵が怪しい動きをする禅寺を見つけ、同時に互いの能力を指摘したというのか。
「その時はこの拘束を謝罪もしましょう。賠償もしましょう。ですが、今は生きている全員を無力化するのが先決です。あなたほど頭がいいなら理解していただけますね?」
背中でがちゃがちゃと音がする。僕にも手錠がかかろうとしているようだ。
【ラウンド13を開始します。参加者は――】
相変わらず全く変わらない調子のアナウンスに、僕は怒りさえ覚える。もうクイズができる状況ではないのに、ラウンドも何もあるものか!
「……サクラ、こちらは完了した。あとは」
ピンポーン!
また間の抜けた正解音と、何かが弾ける音がして、乾の声が途切れる。
「いやあああっ!!」
リリの甲高い悲鳴が聞こえる。床に抑え込まれた僕は周囲を把握することができない。
(ミラっ!どうなってるんだ!?)
(わからねえ!乾の頭が爆発した!誰も何もしてないのに!)
【ラウンド13。乾イヴァンの死亡により、デスペナルティなし】
「……くっ!」
サクラは僕の拘束をやめる。僕が手も口も動かせない状況で、『能力指摘』が発生してしまったからだろう。拳銃を構えて周囲を警戒しはじめた。
僕は痛む体を起こし、ようやく状況を確認する。
地獄のような光景が広がっていた。
手錠をされ床に転がされたミラ。顔に血飛沫がついている。その正面には、乾の顔が破裂した死体がある。リリが大泣きしている。平川がサクラと背中合わせで拳銃を周囲に向けている。先程のラウンドで推理を見せた時とは全く違う、張り詰めて敵意を剥き出しにした表情だ。
「誰だっ!!誰がやっていやがるっ!!」
吠えるように叫ぶ平川の鬼気迫る様子に、僕は気圧されてしまう。そこから目をそらしたとき、いるはずの人間がいないことに気がついた。
(おい、マイカがいないぞ!?)
ミラからも『テレパス』が飛んできた。マイカがいないのだ。最後に見たのは、リリと共に乾に拘束されている所だったと思う。
殺された?逃げた?あるいは――まさか、マイカが犯人なのか?
【ラウンド14。参加者は、二荒山リリ、汀マイカ、平川】
ピンポーン!
またあの音がした。
「なんっ、ぐ、くそっ!」
平川の頭が歪に膨らみ、破裂する。
「平川っ!!!」
サクラの悲鳴が響いた。この十数分の間に、2人も人が死んでしまった。僕は頭がおかしくなりそうだった。
(くそおっ、なんなんだよお!!どうなってんだよこれ!!!)
ミラが泣いている。僕も泣き出したかった。だが、思いついてしまったおぞましい疑念が、それを許さなかった。
マイカが『ホロスコープ』で、3人の能力を暴いて殺している、という疑念だ。
状況的に可能だったのかもわからない。あの臆病でビビりのマイカにできたとも思えない。それでも、僕はマイカの『異能力』を知っている。だから、それが可能なことがわかってしまう。動機は不明だが、もし彼女がサクラのいう狂人の役割だとしたら――。
(マイカ、どこにいるんだ?!出てきてくれ、僕の推理が嘘だと、教えてくれ!)
6
◆◆
マイカが目を覚ました時、彼女の両腕は手錠で拘束され、大好きな服は血と肉でぐちゃぐちゃになっていた。
(あれ、私、なんで……)
覚えているのは、怖い目つきの乾が襲ってきて、かんたんに手錠をかけられてしまったこと。そしてその後すぐ、正解の音がして、乾の頭が……。
「お、ええっ」
その時の光景を思い出して、マイカは思わず吐き気を覚える。だが、胃の中に何もないのか、吐くことすらできなかった。
「汚いなあ、やめてくれよ」
男の声が聞こえて、マイカは初めて、ここがどこかわからないことに気がついた。もちろん、男が誰なのかもわからない。
「だっ、誰っ、ここどこっ」
「誰って……ああ、暗くて見えない?」
とんとん、とスマホをタップする音とともに、強い光。真っ暗な部屋の中で、懐中電灯代わりにフラッシュを起動したようだ。光に照らされ、持ち主の顔も見える。
「あなたは……禅寺、だっけ」
「そう。禅寺ゼンジロウ。まあ、覚えてなくてもいいよ!俺は今すごくハッピーだからね」
禅寺は楽しげな様子で、個室のドアごしに外を見ていた。ここは彼の個室のようだ。マイカに与えられたものと同じ間取りに見える。
「私、なんでここに?助けてくれたの?」
「そんなわけないじゃん。なんで俺が助けなきゃいけないの?むしろ逆だよ。助けるなんてありえない」
マイカの質問に、禅寺の態度が変わる。いらついた声でマイカの体を蹴り飛ばす。
「せっかくのデスゲーム、せっかく人が死ぬのが間近で見られるっていうのにさあ!なんなのあの警察のやつら。時間稼ぎして誰も死なないように?ふざけんなって話だよ」
「あ、あなた、何言って……」
「あいつらさえいなければ、ただクイズやってるだけで、間近で頭が爆裂死するのを何度も見れたのにさあ……ま、あのデブはともかく、ハーフのイケメンをヤったのは爽快だったなあ」
スマホの明かりに反射する禅寺の目は、明らかに正気ではなかった。
「俺が見たいのはデスゲームなんだよ。ヌルいこと言い出したやつらが悪い。俺がちゃんとしたデスゲームに戻してやったんだ。死体を作って、疑いを煽って……で、今やつらは暴力を振るいまくって、なぜか仲間が死んで混乱してる。いい気味だ。だから俺はハッピーなわけ」
つまり、二荒山リリを殺したのも、乾と半蔵を殺したのも……。
「そ、そうだ!おかしい!乾さんが言ってた、禅寺は半蔵さんと相打ちに……」
「あっは!ウケるよね!あいつらエリートぶってんのに、あんな単純なトリックにひっかかってんの!顔がブっつぶれた死体に俺の服着せたら、まんまと俺が死んだと思いこんで……まあ、ここには検死できる装備も余裕もないもんな!うーん、めっちゃハッピー!思った通りにハマってくれて最高!」
禅寺はふたたび楽しそうに、ケラケラと笑った。マイカは追いつかない頭で考える。
「で、でも顔が潰れた死体なんて……」
死体のすり替えトリック自体はよくある話、彼が言った通り単純なトリックだ。だが、ここにはすり替えられる死体がない。デスペナルティで頭部が破裂した死体は、みんな知らない間にどこかに消えてしまうシステムなのだから。
「いやいや、いくらでもあるよ、死体なんて」
禅寺はそのまま立ち上がり、壁際に歩いていって……照明をつける。
白い光に照らされて、初めて部屋全体の様子が見える。
乱雑に積み重ねられた、15個の頭のない死体。今まで死んだ参加者のものだ。禅寺は、いままでそれに座っていたのだ。
「……な、にこれ」
あまりに異様な光景に、マイカは叫ぶことすらできない。
「なにって。お前ら、死体が勝手に消えてるとおもってたの?そんなテレビゲームみたいなことあるわけないじゃん。俺が全部回収してたんだよ。だって、もったいないじゃん?」
7
「そうだ、危ない危ない。雑談するたびにお前をわざわざ連れてきたわけじゃないんだよ」
禅寺の手が、動けないマイカの首に伸びる。
「お前、『ホロスコープ』だろ?QとAの『異能力』、俺に教えろよ。あいつらの顔がブッ飛ぶのが見てえんだよ……Aのほうはともかく、Qはぜんぜん『異能力』バレなさそうだし。手で殺してもいいんだけどよ、せっかくだから『能力指摘』で頭ブっ飛ばして殺したい!」
「い、いやだっ!離してっ」
マイカの細い首が締められていく。ぎりぎり呼吸ができ、頚椎が折れないぐらいの圧迫。明らかに慣れている加減の手付きだった。
「うぐううっ」
「これなら喋れるだろ?ほら、次がラウンド13だ。『ホロスコープ』はラウンド1回なんだろ?占えよ……占ったら殺さないでやるからよ」
「ほ、ほんとに!?」
「ああ、死にたくないだろ?協力したらお前は殺さないでやるって言ってんだよ」
「……わ、わかった、やるから、手……手錠」
「あ?」
「占うのに、手を……」
マイカがなんとか声を絞り出すと、禅寺は締め付けをゆるめた。
「あー、そういえばそうだっけ。チーム戦のとき見てたけど、そんな感じの動きしてたもんな……ダルいな」
持ち上がっていたマイカの体が床に落とされる。そして直後、ダンッ!ダンッ!と至近距離で銃声が鳴った。
「ひいっ!!な、銃っ」
「いちいち驚くなよ。あの時お前らが殺した警察の女が持ってたんだよ……ほら、さっさとやれ。次はお前の頭に穴があくぞ?」
ごりっ、とマイカの頭に銃口が押し付けられる。
「やりますっ、やりますからあっ」
マイカは目を閉じ、『異能力』を行使した。対象はA。彼の『異能力』を暴く。
「う、うううう……っ!そんなっ、まさかっ」
Aは恩人だ。Aがいなければ自分はこれまで生き残れていない。そんな彼の『異能力』を教えてしまっていいわけがない。
(でも、怖いよぉ、死にたくないよぉっ!どうすればいいの!……っ!!)
マイカは頭を抱える。大きなリボンのついたカチューシャがぐちゃぐちゃになる。
「うるせえな、さっさと結果を言えよ……」
「ひっ!あ、『アンサー』ですっ!Aさんが『アンサー』だったんですっ、ほらっ!」
マイカが手を開くと、そこには『アンサー』の頭文字――Aが刻まれていた。
「ははははは!やっぱりあいつが『アンサー』だったか!まぁちょっと考えればわかるよなあ、これで確実になった。それに……Aのお陰で生き残れたようなグズが、ひっどい顔しながら裏切るところまで見れたからなあ!」
禅寺は心底嬉しそうに哄笑した。
「やっぱこれだよなあデスゲームっつったら!命を危険にさらされて出る人間の本性!暴力に屈するしかない動物っぷり!なにがクイズだ、クソくらえ!知識も技術も関係ねえ!暴力と裏切りが人間の本質なんだよ!」
死体の山に背中をあずけ、げらげら笑い転げる禅寺。マイカは頭を抱え、震えるしかできない。
【ラウンド13を開始します。参加者は――】
個室にもアナウンスが響く。
「あっははは……もうそんな時間か。はいはい『能力指摘』、乾は……えーっと、『ディテクティブ』。はい爆殺」
スマホを見ながら、禅寺が片手間に『能力指摘』を行う。スマホは警察の……桔梗の死体から奪ったと言っていたから、彼らのメッセージやメモが残っていたのだろう。
ピンポーン!といういつもの正解音とともに、遠くで何かが弾ける音がする。
【ラウンド13。乾イヴァンの死亡により、デスペナルティなし】
「うーん、間近で見れないのは残念だけど、こうして絶対の安全ゾーンから爆殺するのはそれはそれで面白いよなあ。あっちはまさか俺がヤってるとは思わないで混乱してんだろうなあ!」
禅寺はスマホを置き、再びマイカに向き直った。銃口を彼女の眉間に向け、押し付ける。
「次はQを占え。さっさとしろ」
「も、もうやりましたっ!ほら、これっ、Lですっ、『ロック』ですっ」
マイカのもう片方の手には、Lの文字がくっきり刻まれている。
「……は?Lは『ループ』だろうが。何いってんだお前」
「わ、私だってわかんないですよぉ!!でもウソじゃないんですう!!」
マイカはぼろぼろ泣きながら禅寺の足にすがりついた。禅寺はそれを蹴り飛ばすが、なおもマイカはすがりつく。
「ここでウソついてなんになるんですかあ!!ホントなんですっうううっ!!あの表のほうがおかしいんですよぉっ!!」
マイカの言葉に、今にも引き金を引きそうになっていた指が止まった。
「……そうか、『オーバーライト』か……あの能力が表に残ってる事自体おかしいんだ。もし自分が『オーバーライト』だったら、自分の『異能力』を上書きしてまず存在を隠すはず……あー、Qの取り巻きにいたあのババアが……ククク、面白いことが聞けた……」
「そ、そうですっ!これは『ホロスコープ』じゃないとわからなかったことですよねえっ!」
「そうだな、お前のおかげで、油断ブっこいてるQを『能力指摘』で殺せるなんて……!お前のおかげで楽しいことになりそうだなあ!」
禅寺が愉快そうな表情を見せ、銃口をマイカからどける。
(よかった、これで助かる……)
【ラウンド14。参加者は、二荒山ララ、汀マイカ、平川】
「『能力指摘』。平川が『クオーター』」
ついでのように平川が指摘殺される。また正解音と破裂音。
「ひっ!ね、私、助けてくれるんですよねっ!も、戻ってもいいですかっ、あなたに匿ってもらってたって言えばいいですよねっ!」
マイカはひきつった笑顔で禅寺を見上げる。禅寺もにっこりと笑って、
「ウソにきまってんじゃん。バカじゃねえの?」
ダンッ!!
銃声とともに、マイカの胸に銃弾が突き刺さる。
「あ”あああああああっ!!!」
「ぐははははは!!めっちゃウケる!!普通に考えて生かしとく意味ねーだろボケが!!やっぱお前は最後までグズだったな、バカみてーな服きてるだけあるぜ!」
マイカは撃たれた胸をおさえるが、あふれる血が止まるわけもない。銃弾は過たず心臓を貫いていた。
「Aさん……ごめ、なさ……生き残って……」
「バカだろお前!お前が売ったせいで死ぬんだよそいつは!あーホントにオモロいもん見れたわ……やっぱ人が死ぬのを見るのが一番おもしれえな」
すでに血が抜けすぎて痛みすら感じない。遠のく意識の中、最後にマイカは、禅寺が銃をポケットにしまい、個室を出ていくのを見た。
8
◆◆
【ラウンド15。参加者は御巫ミラ、大門サクラ、禅寺ゼンジロウ】
オラクルのアナウンスが流れる。会場にはたくさんの血の跡と死体、そして疲弊しきった参加者が残っていた。
「……クイズを、やるしかないですね」
サクラがよろよろと立ち上がり、参加者の手錠を解いていく。警察チームの人数が一気に減ってしまった以上、もうサクラたちの脱出計画は不可能だろう。僕の拘束も開放され、やっと周囲を見ることができた。
4人もの人が一気に死んでしまったあと、会場には奇妙な静寂が流れていた。
「A!無事か?」
ミラが僕に駆け寄ってくる。
「うん……でも、マイカは?」
「あっちにもいなかった。まさか死んじまったんじゃ……」
それは最悪のケースだ。僕は『異能力』の表を見る。
Answer:クイズの答えがわかる。
BAN:指定した参加者の能力を一定時間無効にする。
Counter:他の参加者がボタンを押す行動を予知し、その前にボタンを押すことができる。
Detective:クイズや能力に関する情報以外を、任意に聞き出すことができる。
Erase:クイズの問題文や選択肢の一部を非表示にできる。
Fifty-Fifty:クイズを2択扱いで回答できる。
Genre:問題の出題ジャンルを変更できる。
Holoscope:ラウンドに1回、参加者のうち一人の能力を知ることができる。
Immortal:指摘によって死なない。
Judge:能力の処理やクイズの詳細なルールについて、正確な情報を得ることができる。
Knight:ラウンド不参加時、参加者一人を選び、死亡しないようにできる。
Loop:死亡したとき、クイズをやり直すことができる。
Medium:死んだ参加者の能力がわかる。
Negotiation:ラウンドへの参加やクイズの得点を、交渉により変更できる。
Overwrite:公開されている能力情報のうちひとつを書き換える。
Phone:スマホを持ち込むことができる。
Quarter:クイズをすべて4択にできる。
Remember:自分の記憶を操作し、経験や知識を正確に引き出すことができる。
Stop:ボタンを押した瞬間、60秒間周囲の時間が停止する。
Telepas:条件を満たした相手と、声を出さずに会話をすることができる。
Phoneまで公開されていたところから、さらに4つが公開されている。そこから死んでしまったのが、ララ・半蔵・乾・平川の4人だから、数が合う。
「大丈夫、まだ死んではいないみたいだ」
「そっか、そっちを見ればよかったのか」
抜け殻のようになったサクラが、回答席に向かっていく。プランが崩壊しても、クイズは続く。解答しなければ不戦敗になる。『テレパス』の回線を繋いだ状態で、僕はミラを送り出した。
「おーい、よかった、間に合った!」
そこに、どこかから声が聞こえた。禅寺だ。これでラウンドの解答者は揃った。
「……お前、いままでどこに?」
僕が聞くと、禅寺は少し迷ってから答えた。
「『異能力』に関わるから言えないけど……警察の人たちが急に暴れ出したから、近くにいたマイカちゃんといっしょに逃げていたんだ」
「! マイカはどこに?」
「今は疲れて寝ちゃってるけど、生きているよ」
禅寺は回答席に向かっていく。今はそれ以上追求することはできない。生きているのであれば問題ないだろうが……何か胡散臭い。
【ラウンド15を開始します】
クイズが通常通りに始まるのも、なんだかひどく久しぶりな気がする。
(ミラ、聞こえるね?答えは……)
(A、アタシはできるだけ自力でがんばるよ。なんか……Aに頼ってばかりなのも良くない気がするんだ)
僕は他の参加者にバレないように、驚いた。
(あんなふうに、ただ殺されて死ぬよりは、ちゃんとゲームで戦って死ぬほうがまだいい。もちろん、死にたくないから頼るときは頼るけど)
僕がうなずいてみせると、マイカはボタンに指をかけて、問題の読み上げに耳をすませた。同僚が3人も死んだサクラも、気丈に前を見据えている。禅寺は無表情だが、心なしかつまらなそうだ。
【問題。正式名は、きゃろらいんちゃろん】
「きゃりーぱみゅぱみゅ!」
ミラが押した。僕が答えを教える前に、良いタイミングで。
(よし!)
(ちゃんと押せてる!すごいぞミラ!)
(ダテにAたちがクイズやってるのをずっと見てないからな。この調子でいけば……)
次の問題が読み上げられる。
【問題。バネに重りを吊り下げた時、重さとバネの伸びが比例】
ピコーン!ボタンが点灯する。押したのはサクラだ。
「フックの法則」
正解だ。
「あれ、警察のヒト、俺らを守ってくれるんじゃなかったんですか?なんで普通に答えてるの?」
禅寺がにやにやしながら、隣の回答席のサクラに言う。サクラは彼のほうを見ないで答える。
「……私は、できるだけ多くの人を守ります。そのためにも、生き残らなければならない。クイズに参加しなければ、私は死に、誰も守れなくなります」
「そのために他の人が死んでもいいってわけ?」
「……」
サクラは押し黙る。
【問題。3人でじゃんけんをするとき、あ】
「1/3」
禅寺が難なく押して、正解。三人は1点ずつで並んだ。
「やあ、ひどい目にあったね……」
Qが腰をさすりながら、リリといっしょに僕に近づいてきた。最初は大勢で回答席を見上げていた参加者も、今はこれだけになってしまった。
「彼女、よくやってるよ。ボタンの押し方もサマになってるじゃないか」
さすがのQもかなり疲弊しているようで、笑い方に力がこもっていない。
「人数的に、次はまたキミと対決かな。楽しみだよ」
姉か妹を失ったリリの前でそんなことを言うので、僕はQを睨んだ。
「こんな状況になっても、クイズが楽しいとか言っていられるのか?」
「どんな時だって、クイズは楽しいものだよ。ボクからしたら、こんなデスゲームにクイズが使われているということのほうが不可解なくらいにはね」
「……?どういうことだ?」
「……うん、少ししゃべりすぎたな」
Qは質問に答えず、回答席を見上げた。
9
【問題。名前に「川」がつく3つの都道府県は、神奈川県、い】
ピコーン!
ミラのボタンが点灯する。
(早くない?大丈夫?)
(Aが教えてくれただろ、こういうのの答え方……神奈川県と、「い」から始める石川県と……あー、あとは)
ぎりぎりまで時間をつかって、ミラはなんとか思い出した。
「……香川県!」
正解だ。これにはQも感心していた。
「すごいね、けっこう理想的な押し方だ。キミが教えたの?」
「まあ、少し。その後お前が全員にやり方を共有したせいで、あんまり意味はなかったけど」
「そんなことはない。全部必要なことなのさ」
Qの不可解な言葉は気になるが、もともと不可解なところばかりのやつなので、今更気にしても仕方がないのかもしれない。6問目が終わり、全員が2問正解で並ぶ。
【問題。モモンガ、ウサギ、ハチワレな】
「ちいかわ」
サクラが正解してそこから1問抜け出せば、
【問題。魚を右身、左身】
「三枚おろし!」
ミラが取り返し、展開はかなり拮抗している。
(いいぞ!これなら勝てるんじゃないか?)
ミラから『テレパス』が飛んでくるが、僕はミラの反対側にいる禅寺の反応が気になっていた。8問目で彼は2点、他の2人が3点。次の問題をとらなければ確実に負けるというのに、緊張している様子が一切ない。
【問題。】
9問目が読み上げられる。
【流れが速く激しいことで知られ、松尾芭蕉の】
ピコーン!
回答席のランプが点灯する。押したのは、大門サクラ。
「……最上川」
正解だ。ミラは悔しそうに地団駄を踏む。
(くっそ!なんでわかるんだよ!)
(『五月雨を集めて早し』ってことか……松尾芭蕉が出た時点で絞られるんだろうな)
(あー、授業もっとマジメに受けときゃよかった……次がラストだから、取らないと負けだ)
そうだ。次をミラが取ればサクラと同点優勝だが、禅寺が取れば彼と同率最下位だ。
「あー、やっぱメンドいな。クイズとか」
投げやりな声が聞こえた。最下位の確定した禅寺が、億劫そうに体を伸ばしている。そして、何気なくポケットに手をつっこんで、
「んじゃ、これで」
取り出したものをミラに向ける。
それが銃だと一瞬で気づいたのは幸運だった。
「ミラっ!!!伏せろ!!」
僕はとっさに叫ぶ。
ダァン!!
銃声が響く。
「ありゃ、外したか」
回答席に銃痕ができていた。ミラは突然のことに、動くことができなかったようだ。今も、迫る自動車の前の猫みたいに立ちすくんでいる。
「おいっ!!!何してるんだ!!」
Qが大声をあげるが、禅寺は全く意に介さない。もう一度ミラを撃とうとする。僕は禅寺を取り押さえようと駆け出すが、間に合わない。
強烈な光が銃口で弾け、もう一度銃声がした。
ダァン!!
「うわっ!」
僕は反射的に目をつぶってしまう。そして、目を開けると――。
「サクラさんっ!!」
銃を構えた禅寺と、ミラの間。大門サクラが、ミラを被って銃弾を受けていた。
「……ぐっ、ふ……」
撃たれた腹を抑えながら、サクラは禅寺に近づき、銃を奪い取ろうとする。
「その、銃は、桔梗の……!どこでっ」
「うわ力つよっ」
その隙をついて、僕は禅寺に思い切りぶつかった。禅寺は軽く吹き飛ばされ、サクラは銃を奪うのに成功する。
「桔梗のっ……私達の銃を、そんなことに使わせ……」
うわ言のようにつぶやくサクラに、ミラが駆け寄り、必死に傷を抑えようとするが、手が血にまみれるだけだ。
そんな状況とは関係なく、クイズは進んでいく。
【最終問題です。問題。『ダーティハリー』『エクストリーム・ジョブ』『踊る大捜査線』の主人公に共通する職業は何?】
「ミラさん、押して……答えて。あなたは生き残って」
「な、なんでっ」
ミラの腕の中で、サクラは力なく微笑む。
「1人でも、守れて……よかった」
サクラの体を支えたまま、ミラは震える指でボタンを押した。
「警察官」
正解だ。ラウンドが終わる。
【ラウンド15終了。大門サクラ死亡により、デスペナルティなし】
誰かが死ぬと、自動的に最下位の扱いになる。それはラウンド中でも変わらないようだった。
「……ははははは!!何もしなければ勝てたのに、バカだなあコイツ!!」
禅寺は起き上がり、ミラを見下ろす。
「お前……っ!!いい加減にしろよっ!」
ミラはサクラの体を抱えたまま、涙目で禅寺を睨みつけた。
「いやーこれは笑うしかないって!!警官のあいつだけがワンチャン暴力で俺に勝てるかもしれなかったのに、勝手に死んでくれた!ラッキーすぎる!もうこれで俺は勝ち確定なわけ!ハッピーだなあこれは!やっぱりクイズなんて茶番、知識も技術もクソくらえ!」
禅寺の狂ったような笑い声が響く中、アナウンスは淡々と次のラウンドを告げる。
【ラウンド16を開始します。参加者は、芦田エイ、天上キュウ、禅寺ゼンジロウ】
「あーハイハイ、やりますやります、不戦敗はヤだからねえ」
ククク、と笑いをこらえながら回答席に再び向かう禅寺。
(……あたしのことはいい。いってきてくれ、A)
ミラに声をかけてから向かおうとした僕に、『テレパス』が飛ぶ。口に出さない言葉でさえ、燃えるような怒りが伝わってきた。
(もう銃は持ってないから、何かしてきたときはあたしがサクラさんみたく体張って止める)
(わかった……ムリはしないで)
僕はうなずいてから、同じように席に向かう。
大門サクラは、本気でこのふざけたゲームから、僕たちを脱出させようとしていた。結果的に同僚を失っても、その姿勢は変わらず、最後まで諦めずに僕たちの命を守った。再三言っていた言葉の通りに。
彼女の同僚たちもそうだった。桔梗ユカリは僕と本気でクイズで向き合い、『異能力』のすべてをぶつけて戦った。他の3人も、結果的に暴力に訴えはしたが、このゲームからの脱出に真剣に取り組んでいた。
その覚悟と思いを嘲るのは、許さない。
「Aくん」
回答席に歩を進める僕に、Qが並んだ。
「あの禅寺の余裕、銃以外にもまだ何かあると思った方がいい。汀マイカを人質にとっているとか……油断しないでいこう」
その口調と表情は真剣そのもので、僕は少し驚く。
「ボクの大好きなクイズを、それに挑んだ人間をバカにするのを、ボクは許さないよ」
Qは長い脚で大股になり、僕を追い抜かして、振り返る。
「行こう、Aくん。ここからはクイズの時間だ」
10
僕とQは禅寺をはさむ形で席につく。
「1問も取らせない、だって?ウケるね」
禅寺は僕とQを交互に見て笑った。
「俺が今までなんで生き残れたと思う?自分で殺し始めたのはちょっと前だぜ。それまでは普通にクイズで勝ってきたんだよ。あそこのガキとつるんでたババアとか、インテリふうのジジイとかも、普通にクイズで倒してきた……そのうえでくだらないっつってんだよ」
「面白い冗談だね。どこが下らないっていうんだ?」
Qは禅寺のほうを見ずに言った。
「誰かさんが講釈ぶってくれたおかげで、ゲームとしての攻略法みたいなのも全員がわかったし、そしたら結局茶番なんだよ、こんなん。結局知ってるものが出たら解ける、知らなかったら解けない、そんだけだろ」
「仮にキミが、『アンサー』だったとして。それでもボクには勝てないよ。Aくんにもね」
「ふうん……そうかい。じゃ、心底くだらねえけどつきあってやるか。お前らが悔しそうな顔で死ぬのを見るのも悪くない」
Aくんにも、という発言が気にかかる。僕はいままで通り、『アンサー』だとバレないように戦うだけだ。
【問題。手の爪に】
ピコーン!
「……ペディキュア」
Qが押して、正解した。速い。禅寺も、一瞬驚いた顔をしていた。
「手の爪に塗る化粧はマニキュアですが、足の爪に塗る化粧は何?答えはペディキュア……知らなかった?」
口の端を釣り上げて笑うQ。禅寺は答えない。僕は少し胸がすくような気がしたが、負けたら死ぬのは僕も同じであることをすぐに思い出した。ボタンに指をかける。
【問題。『木曽路は】
これは押せる。そう判断した瞬間指が動いていた。ボタンが点灯する。答えは、
「『夜明け前』」
正解音。Qがこちらを見て、うなずいたような気がした。
「たまたま知ってる問題が続いてよかったな?」
禅寺が吐き捨てるように言う。だが、それは違う。この問題が押せたのは、僕が『アンサー』だからではない。
ようやくわかってきた。クイズというものの、奥にあるものが。
【問題。1,1】
「フィボナッチ数列」
僕が答えれば、
【問題。県の鳥はノグチゲラ、県の花はデ】
「……沖縄県」
Qも当然のように返す。
最初は『異能力』か人間離れした『技術』のように思えていたそれも、ここまでのクイズを通して、なんとなくその正体がわかってきた。
「くそ、なんなんだこいつら」
禅寺がいらだたしげにつぶやき、貧乏ゆすりを始めた。
【問題。1232年】
「御成敗式目」
【問題。固体がちょ】
「……昇華」
【問題。『ドラゴン桜』、『テ】
「……阿部寛さん」
【問題。サッカーで一試合にさ】
「ハットトリック」
あっという間に僕とQが4問ずつ正解、残り2問になる。
「さて、知ってれば解ける、んじゃなかったっけ?どれもそこまで難しい問題じゃなかった気がするけど」
「うるせえな、勝ち誇るんじゃねえよ」
禅寺は首をぐるりと回して、低い声で言った。
「あー、もういいや。このラウンド自体無意味なんだし、とっとと終わらせるか」
「……どういうことだ?」
僕が聞くと、禅寺はにたぁっ、と歯を見せて笑う。
「別に銃がなくたって、お前らはいつでも殺せるんだよ……俺はお前らの『異能力』を知ってるんだからな。占ってもらったんだよ」
「……!!それは……っ」
今まで意識の外に追い出していた事実。マイカが姿を見せず、行方を知っているのが禅寺だけということ。こんなヤツの手にかかっていたとしたら、マイカが無事なわけはないのだ。それでも、なんとか逃げおおせたのか、隠れているのかと、心の何処かでその事実を直視できないでいた。
「傑作だったぜ、チーム戦のときに助けてもらった相手を裏切った時の顔……お前にも見せてやりたかった……『能力指摘』だ」
禅寺は勝ち誇って、僕を指差す。
「ま、クイズ王のQと違って、ただの一般人のはずのお前が強すぎるのは、最初からおかしかったんだよ。うすうす気づいていたが、マイカに占ってもらってはっきりしたぜ」
そして、宣言する。僕を殺すための言葉を述べる。ミラがなんとか止めようと走ってくるのが、スローモーションのように見える。
「芦田エイ。お前が『アンサー』だ」
ああ、終わった。マイカが裏切ったとは思いたくないが、銃を持っている男に脅されたら仕方ないだろう。残念だ、最後にこんな負け方をするなんて……。
僕が桔梗たちにしたように、正解音が鳴る。それで終わりだ。
ブッブー。
「……は!?」
間の抜けた不正解の音がして、
「おい、待て、なんかの間違いだろ、なんでっ、このクソっ、あああ!!!!」
禅寺ゼンジロウの頭が、弾けた。
――つづく
Q3 「囲碁で石を打っても陣地が増えない場所」を語源とする、無駄なこと・価値がないことを意味する言葉は何?
A3 駄目
↑次回↑
この作品は、2022年の逆噴射小説大賞に応募した作品の連載版です。
カクヨムに掲載したものをNoteに転載しています。
おまけ:この章で出てきたクイズの全文
Q 正式名は、きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅ。「つけまつける」「ファッションモンスター」「にんじゃりばんばん」などの曲で知られるアーティストは?
A きゃりーぱみゅぱみゅ
Q バネに重りを吊り下げた時、重さとバネの伸びが比例するという法則をなんという?
A フックの法則
Q 3人でじゃんけんをするとき、あいこになる確率は?
A 1/3
Q 名前に「川」がつく3つの都道府県は、神奈川県、石川県とどこ?
A 香川県
Q モモンガ、ウサギ、ハチワレなどのキャラクターが登場する、ナガノの作品は何?
A ちいかわ
Q 魚を右身、左身、中骨の3つに切り分けることをなんという?
A 三枚おろし
Q 流れが速く激しいことで知られ、松尾芭蕉の俳句でも
A 最上川
Q 『ダーティハリー』『エクストリーム・ジョブ』『踊る大捜査線』の主人公に共通する職業は何?
A 警察官
Q 手の爪に塗る化粧はマニキュアですが、足の爪に塗る化粧は何?
A ペディキュア
Q 『木曽路はすべて山の中である』という書き出しで始まる、島崎藤村の小説は何?
A 『夜明け前』
Q 1、1,2、4と続く、前の数2つを足した数が続く数列をなんという?
A フィボナッチ数列
Q 県の鳥はノグチゲラ、県の花はデイゴ、県の木はマングローブの都道府県といえば?
A 沖縄県
Q 1232年に北条泰時が制定した、武家の法律は何?
A 御成敗式目
Q 固体が直接気体になることをなんという?
A 昇華
Q 『ドラゴン桜』、『テルマエ・ロマエ』を主演した俳優は誰?
A 阿部寛
Q サッカーで一試合に三得点することをなんという?
A ハットトリック
いいなと思ったら応援しよう!
サウナに行きたいです!