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【エッセイ】美濃③─既視感のある風景─『佐竹健のYoutube奮闘記(141)』

 櫓を見終えた後、周辺をぶらぶら歩いた。なんかいい感じの風景撮れるとこ他にあるかなと思い立って。

 予想通り、いい感じの風景が撮れた。

 まずは一枚目。この一枚は確かお城の本丸から出たすぐの場所にあった。門の重厚な感じと、ノスタルジー感じる町の看板の感じがいいなと感じてシャッターを切った。櫓がひょっこり顔を出しているのがまたいい。

 二枚目と三枚目の門は、先ほど撮影した通りに向かってある門の裏側。ふと後ろを振り返ったら時代劇感あっていいなと思い、撮影した。若葉のあるやつのところとかは、本当に1カットとしてありそうな感じがする。あと、三枚目は、急ぎ足で登城するちょんまげの二本差しの集団が入ってきそうな感じがした。


 城を離れ、大垣駅の方へ戻ろうとしたときに、近くを流れる水門川にかかる橋を渡った。

(なんかこの光景既視感あるぞ)

 橋を渡ったときに見えた川の風景を見て、私は既視感を覚えた。何で見たのかはわからない。が、どこかでその風景を見たことがある気がしたのだ。 

(まあいい風景だし、写真でも撮ろう)

 私は持っていたカメラを起動し、写真を撮った。

 流れる澄んだ水の川に、五月の風に吹かれる桜の青葉。初夏らしい爽やかな光景である。橋がまた江戸っぽい感じの造りなのが風流というか、粋だなと思った。

 せっかくなので、川の方も見てみた。

 川の底にはゴミなどは無く、澄んでいる。そして水草が生えていて、川の流れに従ってゆらゆら水中で揺れている。

(水草か。伊豆編以来だな)

 あのときも、富士の澄んだ水が流れる小川で見た。やはり水草があるのは、ある種自然が豊かな証拠なのだろうか。

(でも、種類違うよね)

 なんとなくだけど、そんな風に見えた。あっちのものは、バイカモみたいな感じだった。が、水門川の底で揺れているそれは、どちらかというと、地元の田んぼの真ん中を流れる川の底に生えてるそれに近かった。

(なんか、懐かしいな)

 東京やその周辺の川には無い。水質が悪いからなのか、はてまた植生の違いなのか。でも、美濃国の大垣で久しぶりにこの手の水草が見れて、少し故郷を思い出したりもした。

 私はカメラを起動し、水草の写真を撮った。


   ※


 後で調べて、既視感の正体が分かった。大今良時の『聲の形』という漫画で、ここ大垣市が聖地になっていたのだ。

(あ、この漫画か!!)

 私は納得した。昔金曜ロードショーでやってたのを見たことがあるけど、確かに大垣城近くの橋から見えた景色みたいな場所が出ていた。

 ストーリーを再確認してみるべく、私は漫画を買って、読んでみた。

 感想としては、クラスメートの映画製作を通じて、幼馴染との絆を取り戻すとこは青春って感じで楽しかった。あと、耳の聞こえないヒロインの西宮さんとの接し方に、小学校時代の幼馴染の一人である植野さんが葛藤したとかは非常に生々しいというか、リアリティを感じた。

 キャラクターの中で一番印象に残っているのが、主人公の石田将也と同じ高校に通うクラスメートの永束だろうか。孤立している主人公にも普通に話しかける辺り、スゲーいいやつって思えて好感持てた。あと、ヒロインで、耳が聞こえない西宮さんは聖人だった。小学校の時にからかったりいじめたりしてた同級生にも普通に接していたから。でも、主人公の将也は、控えめに言ってどうも好きにはなれなかった。最後の方で西宮さんを助けて、彼なりの償いはしたのだろう。けど、最初のところの印象が強いのがどうもなと。

 でも、読んでいて「こういう奴いたよね」とか、ああやっぱりわだかまりあるよねみたいに、懐かしい気持ちになったり、いろいろ思い起こす部分が大きかったりした辺り、良作だったのかなとは思った。

 ともあれ、美濃の旅では、謎が解けて、よかった。『聲の形』で見た川のモデルが水門川だとわかったし。あと、いい写真も撮れたから。


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