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人事として働きつづけるための自己理解とキャリアのガイドブック|書評『シン・人事の大研究』

こんばんは、新田利之です。

花粉症がひどくなり、のどをやられて酷い声になっています。

今回が実質的な初投稿になるのでドキドキしております。これから長い旅路になると思いますが、いろいろな出会いがあればと心踊ってます。よろしくお願いいたします。

この本を手に取った背景

今回紹介するのは、昔、私が登壇した際に参考にした本『シン・人事の大研究 人事パーソンの学びとキャリアを科学する』(田中 聡・中原 淳)です。

とても良い本だったので友人に貸したり、引っ越しをしたりする中で、気づいたら手元からなくなっていました。

「もう一度ちゃんと読みたいな」と思い、改めて買い直した一冊です。

この本の特徴は、人事施策や制度論ではなく、人事パーソン“個人”にフォーカスしていること。実際のインタビューや調査データをもとに構成されていて、「人事として働くとはどういうことか?」を真正面から扱っています。

自己紹介noteでも触れましたが、近々noteで、

  • 30歳の新田

  • 40歳の新田

  • そして今の新田

という3人の新田が互いにツッコミ合い、時に励まし合いながら、「戦略×人事」の本質に迫る連載をはじめようと思っており、当時の自分の悩みや迷いを思い出すための参考資料として、あらためて手に取りました。

本の見どころ:人事部のべき論ではなく、人事パーソン個人に焦点を当てている

本書は、「人事部はどうあるべきか」という“あるべき論”ではなく、現場で働く“人事パーソン個人”に焦点を当てた一冊です。

全国1,500名超の人事調査とインタビューをもとに、

  • 終わりのない課題

  • 成果の見えにくさ

  • 孤独感

といった、人事の仕事が抱えがちな構造を丁寧に可視化しています。

そのうえで、

  • 成果を出している人事はどのように学び、専門性を磨いているのか。

  • また、年代ごとに人事キャリアがどんな壁にぶつかりやすいのか。

といった点を整理しています。

いわゆる「戦略人事の教科書」ではなく、人事として働き続けるための“自己理解とキャリアのガイドブック”。

若手からベテランまで、自分の現在地を見直すヒントを与えてくれる本です。

新田が感じたこと:人事がまず身につけるべきは事業理解

この本で、初めてウルリッチの「人事の役割」という考え方を知りました。

当時、事業サイドから人事責任者になったばかりの自分にとっては、まさに目から鱗でした。

「人事は経営の戦略的パートナーであり、変革エージェントである」

この言葉は、今でも大切にしています。

改めて読み返して、強く感じたのは経営・事業と人事の間にできてしまう「壁」についてです。

人事の方は勤勉で、新しい概念へのキャッチアップも早い。一方で、事業サイドとの連携が弱く、結果として人事が孤島化しているケースも多いと感じます。

気づくと主語が「人事が」「人事としては」になりがちです。

私は、人事パーソンがまず身につけるべきスキルは「事業理解」だと思っています。

それは人事スキルというより、経営企画的なスキルに近いものです。

「戦略 × 人事」で、戦略・事業と組織の矛盾をどう解消するのか。
そのために、どれだけ解像度高く事業を理解し、経営者や事業責任者と同じ目線で、経営課題を人事施策で解決していけるか。

そんな姿勢を、あらためて強く持たせてくれた一冊でした。

天の声による補足

D.ウルリッチの「HRの4つの役割モデル」と「スリーピラー組織モデル」

出典: Dave Ulrich, Human Resource Champions: The Next Agenda for Adding Value and Delivering Results, Harvard Business Review Press, 1997. を参考に生成AIで作成

本書で示されるウルリッチの人事モデルは、「人事の仕事を増やす理論」ではありません。むしろ、人事の仕事を整理し、経営に効かせるための地図だと理解すると腹落ちします。ポイントは、人事を「価値」と「体制」に分けて考えることです。

HRの4つの役割モデル

まず左側に描かれているのが、人事が会社に提供する4つの役割(価値)です。

一つ目は管理エキスパート。勤怠や給与、労務といった日常業務を安定して回し、組織の土台を整える役割です。ここが弱いと、どんな施策も現場で止まります。

二つ目は従業員チャンピオン。社員の声を拾い、納得感や安心感を守る役割です。離職や不満が表に出る前に兆しを捉える、いわば組織のセンサーです。

三つ目は戦略パートナー。経営戦略を人材配置や制度に翻訳し、事業成果につなげる役割です。

四つ目が変革エージェント。制度を作るだけで終わらせず、現場の行動が変わるところまでやり切る役割です。

重要なのは、これらに優劣はなく、経営状況によって配分を変えるという考え方です。現場が混乱している局面では管理エキスパートと従業員チャンピオンが重くなり、成長を取りにいく局面では戦略パートナーと変革エージェントの比重が高まります。図が示す矢印は、人事の役割が固定ではなく、動的であることを表しています。

スリーピラー組織モデル

右側に描かれているのが、この価値を実際に届けるための3つの機能(体制)です。

  • SSC(シェアードサービス)は、定型業務や問い合わせを標準化し、スピードと正確性を担保します。

  • CoE(専門組織)は、評価・報酬・採用・育成といった分野の原理原則や「型」を設計します。

  • HRBPは事業部門に入り込み、人と組織の課題を現場で一緒に解く役割を担います。

この3つは役割分担の話であり、序列ではありません。むしろ、どれか一つでも欠けると、4つの価値は途中で止まります。図に描かれた循環は、設計(CoE)→運用(SSC)→実装(HRBP)が回って初めて、人事が価値を生むことを示しています。

CHROの役割は、この4つの役割と3つの機能を固定の組織図としてではなく、経営の状況に応じて動かすレバーとして扱うことにあります。経営と指標を揃え、現状を可視化し、優先順位を決め、小さな成功を積み重ねながら配分を調整していく。

そうすることで、人事は管理部門から、経営に影響を与える機能へと進化していきます。

おわりに

改めて宣伝です。これから始まる連載では、30歳の新田・40歳の新田・そして今の新田という3つの視点で、人事としての葛藤と成長を時にコミカルに、時に真面目に綴っていきます。

喉が治る頃には、第1回をお届けできるはず(笑)。
新田の新しい挑戦をどうぞ温かく見守っていただけると嬉しいです!

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