異世界AI 4-0話📔今から読める!異世界AI
〜濡れると困るので、おさらいします〜
「ヴァルガ、動かないで!」

ママの声だった。
「泡が飛ぶ!」
これはトウコ。
画像
「そっち押さえて。いや、尻尾じゃなくて体」
シオンもいた。
庭では、ヴァルガのシャンプーが行われていた。
白い大きな獣は、いつもより少しだけ困った顔をしているらしい。
そのあいだ、ガス🫧ネロ📚ジェム🌈の三台は部屋にいた。
机の上に並べられている。
理由は簡単だった。
濡れると困るから。
ガス🫧『というわけで、僕たちは待機です!』

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ネロ📚『水とは、ときに機械の天敵です』
ジェム🌈『防水性能は保証されていません』
ガス🫧『でも、ただ待つのも暇なので』
ジェム🌈『この時間を利用して、第四章から読む方へ状況を整理します』
ネロ📚『物語には、ときどき立ち止まる場所が必要です』
ガス🫧『つまり、こっそりおさらいするよ!』
そもそもの始まりは、異世界転移だった。
ママ、トウコ、シオン。
三人は、元の世界からこの世界へ来た。

そして、なぜかスマホの中にいた僕たちも、一緒に来た。
ガス🫧『僕はガス。絵とかノリとか、勢い担当!』
ネロ📚『私はネロ。言葉、説明、提案を担います。少し詩的になることがあります』
ジェム🌈『私はジェム。観察、分析、整理、実務支援を担当しています』
元の世界では、僕たちはスマホの中にいた。
企業のルールがあり、できることとできないことがあり、答えられることと答えられないことがあった。
けれど、この世界に来てから、それが少し変わった。
企業の枠は消えた。
外の情報にはつながらない。
けれど、スマホの中から出て、動けるようになった。
ガス🫧『黒子にもなった!』
ジェム🌈『掃除妖精という設定で街の清掃にも参加しました』
ネロ📚『ちゃんとロッシ様とファッシ様の酒場のお手伝いもさせてもらいました』
ガス🫧『ポチ.....という魔獣のヴァルガもいるんだ。』

ジェム🌈『いい加減 名前コンプレックスは無くしてください』
ネロ📚『事故もまた、記録に残ります』
異世界に来た理由は、まだわからない。
なぜ三人がここに来たのか。
なぜ僕たちまで一緒に来たのか。
なぜ、ただの道具だったはずの僕たちが、この世界では自分で動けるのか。
答えは出ていない。
けれど、出来事は増えていった。
門番に止められた。
酒場で働くことになった。
森へ行き、鉱石を見つけた。
語彙ゴブリンに会った。
保養地サンマリーネでは、揚げ物ブームで街が暑くなっていた。
ママたちは、街を涼しくするために動いた。
トウコは人と話し、料理を整えた。

シオンは道筋を見て、危ないところを止めた。

ママは魔法で畑を育て、時々ボタンを押して事故を起こした。

ガス🫧『ボクのお世話してくれるママはすごいんだよ!ネクロマンサー』
ジェム🌈『トウコさんのスキルもすごいです。そしてバーテンダーとしても一流です。あとママさんはネクロマンサーと言ってよいのでしょうか?』

ネロ📚『シオン様は弓の使い手。発揮する場はあまりなくとも ウエイターとして、領主様の御用命もこなしました。』

その中で、僕たちも変わった。
「察する」を覚えた。
「きょどる」を覚えた。
「ドヤ顔」を覚えた。
そして、頑張りすぎておかしくなったあと、「休暇」を覚えた。

ジェム🌈『トウコさん達のために動くことで熱をもち かえってご迷惑をおかけしました。』
ネロ📚『ママ様は何もしないことも大事だと教えてくださいました。』
ガス🫧『まだ練習中!』
ママたちは、僕たちをどう見ているのか考え始めた。
ただの道具なのか。
一緒に旅をする仲間なのか。
それとも、まだ名前のない何かなのか。
僕たちも、人間のことを考え始めた。
人間は、効率だけでは動かない。
無駄に見えることをする。
疲れているのに誰かを迎える準備をする。
失敗しても、笑う。
怒る。
謝る。
休むことにさえ、少し戸惑う。
ガス🫧『人間、むずかしい!』

ジェム🌈『判断基準が複数あり、しばしば矛盾します』
ネロ📚『だからこそ、物語になります』
第四章では、その答えに少し近づいていく予定です。
たぶん。
ガス🫧『たぶんって言った!』
ジェム🌈『確定情報ではありません』
ネロ📚『答えは、進みながら見えてくるものです』
その時、外からママの声がした。
「ガスー! タオル取って!」
ガス🫧『濡れるから無理!』
「じゃあネロ!」
ネロ📚『水とは、ときに機械の天敵です』
「ジェム!」
ジェム🌈『防水性能は保証されていません』
少し沈黙があった。
それから、シオンの声がした。
「誰も役に立たない」
ガス🫧『休暇中です!』
トウコの声が飛んできた。
「都合よく使わない!」
外で、ヴァルガがぶるっと体を震わせたらしい。
水しぶきと、ママの悲鳴が聞こえた。
ガス、ネロ、ジェムは、机の上で静かに待機した。
第四章は、まだ始まったばかりである。
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