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性悪♡悪役令嬢アンネリーゼですが、前世はお局おばさん(天野ミツコ)でした 第4話後編 買うんらー

前話→性悪♡悪役令嬢アンネリーゼですが、前世はお局おばさん(天野ミツコ)でした 第4話中編 統帥の途(みち)|にがよもぎあんこ

皇国・ローゼンベルク邸アンネリーゼの私室

ドレス姿のままソファーに沈み込んだアンネリーゼは、魔晶端末を片手にぼんやりとタイムラインを流し見していた。
「フン……どれもこれも程度の低い拙い投稿ばかりですこと。まったく、下賤の者どもは私がいないと本当に救いようがありませんわね」

「‥‥??」
スクロールする指がピクっと止まる。画面いっぱいに広がるハレンチ極まりない自撮り。
上半身を大胆に傾け、酔った赤ら顔で舌を少し出している女神ルミナス本人が、明らかに酒の勢いで撮ったであろう一枚。

女神@ルミナス
今日も飲み過ぎた~♡(画像添付)
1億レビュー  8500万いいね   3500万リポスト

アンネリーゼの指がピタリと止まった。「……筋が」声が途中で固まる。筋が通った、と言おうとした瞬間、脳内でお局回路が完全シャットダウンした。
画面の中でルミナスが無防備に胸を強調しながら「えへへ~」と笑っている姿が、延々とリフレインする。「……」アンネリーゼは魔晶端末を両手で握りしめたまま、完全に言葉を失った。

一方で、彼女自身の直近のポストはというと——
アンネリーゼ@ローゼンベルク 皇国貴族としての嗜み。今日も筋が通った瞬間を。
(厳めしい横顔で魔力演算をしている姿)
レビュー 800  いいね 50  リポスト 0

……完璧に筋が通っているはずの投稿が、ルミナスのハレンチ酔い自撮りの前ではあまりにも地味で痛々しい数字を刻んでいた。アンネリーゼは端末を胸に抱きしめ、天井を仰いだ。「……はぁ?」長い、長いため息が漏れる。

アンネリーゼはまだルミナスのハレンチ画像で脳がフリーズしかけていたが、魔晶のタイムラインをさらにスクロールする指が、素早く動く。

皇国@ミカド
武威と覇業

〇×■▽☆

いいね2500マン… まあ危険すぎる…。スルースルー。

更にスクロールをしようとして、すぐに止まった。
「ん……これは? どこかのぽっと出の馬の骨が調子に乗っているのかしら?」画面に表示されていたのは、フォロワー50万を突破したばかりの
新しめのカウンセラーアカウント。

買うんらー@ニガヨモギアンコ
メンタル天使

投稿一覧はカウンセラー関連の記事がずらり。(まず「カウンセラー」ってちゃんと打てよ……)最近の人気記事を開くと——

【ローゼンベルク侯爵家特別タイアップ♡】
父と母で真面目に考える「夫婦の夜の悩み」カウンセリングコース開講中!
内容をざっと流し読みしたアンネリーゼの表情が、徐々に固まっていく。「……拙い文章ながら、筋は通ったカウンセリングはできているようですね。なかなか……」

特に目についたのは、こんな相談への回答。

Q. 妻の前で事を致そうとすると、急にしぼんでしまうんです……どうしたらいいでしょうか?
A. まずは深呼吸と「今日は無理にしなくていいよ」という自分への許可から始めましょう。焦りが最大の敵です。特に……(続き)

アンネリーゼの目が点になった。
「……というか…………お父様じゃねえかこれ!!!!!!!!」
魔晶端末を両手でガシッと握りしめ、画面に顔を近づける。ローゼンベルク侯爵(彼女の父)が、モザイクやぼかしも無しで普通に映っている。
しかも娘である自分が知らないところで、どこの馬の骨とも知れないカウンセラーとタイアップしてヤツのカウンセリングコースまで作ってる……

アンネリーゼのこめかみがピクピクと痙攣した。「父上……貴方までこの下賤の……!?
しかも『買うんらー』だなんて……名前からして筋が通ってませんのよ!!」
その瞬間、画面上部に表示された通知が彼女の目を突き刺した。ローゼンベルク公爵夫人@エレオノーラ が、ニガヨモギアンコのその投稿を引用リポストしていた。

買うんらー@ニガヨモギアンコ
【ローゼンベルク侯爵家特別タイアップ♡】
父と母で真面目に考える「夫婦の夜の悩み」カウンセリングコース開講中!

ローゼンベルク侯爵@父
「励みになります! ニガヨモギアンコ殿のアドバイスのおかげで、
最近とても前向きに取り組めそうです。ありがとうございます!」
1万いいね
ローゼンベルク侯爵夫人@エレオノーラ
「まあ、ほんとに~♡豆腐メンタルかわよ
 でも‥アンネリーゼの生まれたときも、あなたのあそこは可愛かったんですのよ。
 小さくて、ピンク色で、まるで天使のようでしたわ♪
 今もきっと……(ハートマーク連打)」
25万いいね

……しかも引用文が妙に生き生きとしてる。アンネリーゼの顔が青ざめ、次に真っ赤になった。「母上……!?
貴女までこの下賤のカウンセラーに公然と相乗りしておられるのですか……!?
しかも『アンネリーゼの生まれたときも』って……は? はぁぁぁ!?」魔晶端末をソファーに叩きつけたまま、彼女は両手で顔を覆った。父の「しぼむ悩み」を、母が引用付きで応援してるという事実。
しかもそのカウンセラーがフォロワー50万の小人気者で、街で評判の「買うんらー」だなんて。

アンネリーゼは魔晶端末をそっと置くと、立ち上がった。
「このニガヨモギアンコ……
 一度直接会って、どんなお方なのか確かめなくてはなりませんわ。
 もし必要ならローゼンベルク流手刀で軽くお仕置きですわよ」

アンネリーゼの唇に、いつもの悪役令嬢スマイルの微笑みが戻った。が……。振り回され過ぎたせいか、急にどっと疲れが来た。
「……グホ」そのままソファーに倒れ込むように腰を下ろし、数秒後には完全爆睡モードに入っていた。豪奢なドレスの裾が乱れ、魔晶端末が胸の上にのったまま、
小さく「筋が……通りませんわ……」と寝言を呟くアンネリーゼ。
(つづく)

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