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弱者男性は社会のバグではない。自由恋愛市場が生み出した必然である。


自己責任論という洗脳を解く

「清潔感がないからモテない」「努力不足だ」「コミュニケーション能力を磨け」。 SNSや自己啓発本を開けば、孤独な男性を責め立てる言葉が溢れている。これらは全て「お前が変われば世界は変わる」という自己責任論に基づいている。
だが、断言しよう。あなたが孤独である理由は、あなたの努力が足りないからではない。日本社会が、男女のペアリングシステムを社会主義的な配給制から新自由主義的な自由競争へと移行させたからだ。
この構造転換を無視して個人の資質を問うのは、砂漠に放り出された人間に「なぜ水を見つけられないのか」と説教するのと同じくらい暴力的で、無意味な議論である。 本稿では、なぜ現代日本において弱者男性がこれほど大量に生産され、そしてなぜ社会は彼らを救済しようとしないのか、その残酷な経済合理的理由を解明する。

1. 「お見合い」というセーフティネット(富の再分配)の崩壊

かつて、日本には「お見合い」や、職場や地域にいる「世話焼きおばさん」というシステムが存在した。 若者はこれを鬱陶しい因習と嫌ったが、経済学的に見れば、これは極めて機能的な性的リソースの再分配システム(セーフティネット)だった。
かつての社会では、恋愛強者(イケメン、資産家、、)が複数の女性を独占することは許されず、社会的な圧力によって強制的に一対一のペアが作られていた。いわば、国が主導して全員に職をあてがう社会主義に近い構造だ。 これにより、コミュニケーション能力が低い男性や、容姿に恵まれない男性でも、一定の年齢になれば家族という社会的インフラを手に入れることができた。
しかし、90年代以降、日本はこのシステムを破棄し、自由恋愛という名の完全自由競争市場(資本主義)を導入した。 「誰と付き合うのも自由」という言葉は美しい。だが、自由競争において勝てるのは強者だけだ。 規制緩和された市場では、一部の強者男性が上位の女性を総取りし、あるいは短期間で取っ替え引っ替えする流動性が生まれる。
この自由化の瞬間に、競争力を持たない層が市場から弾き出されることは、数学的に最初から確定していた未来なのだ。

2. 恋愛市場にトリクルダウンは起きない

経済学には「トリクルダウン(富める者が富めば、貧しい者にも滴り落ちる)」という仮説があるが、恋愛市場においてこれは絶対に起きない。 なぜなら、女性の性愛における選考基準は、妥協を許さない上方婚(自分より優れた遺伝子を求める)が基本だからだ。
強者男性が既婚者になったからといって、あぶれた女性たちが弱者男性に流れてくるわけではない。 現代の女性には、「弱者男性と妥協して結婚するくらいなら、推し(アイドル)を愛でながら独身でいる」あるいは「自身の稼ぎで一人で生きていく」という選択肢がある。
つまり、自由恋愛市場の下層には、需要も供給もマッチングしない、完全なる真空地帯が形成される。 ここに閉じ込められたのが弱者男性だ。彼らは商品価値が低いから売れ残ったのではない。市場の構造上、取引される土俵にすら上がれない層として固定化されたのだ。

3. 彼らはクールジャパンの燃料である

ここからが最も残酷な事実だ。 なぜ政府や社会は、少子化の原因でもあるこの弱者男性問題を本気で解決しようとしないのか?
答えはシンプルだ。 彼らを孤独なままにしておいた方が、経済(GDP)にとって都合が良いからだ。
社会から愛や承認を拒絶された彼らは、行き場のない巨大なリビドー(性的衝動・承認欲求)と、独身ゆえの可処分所得を抱えている。 この「余剰エネルギー」はどこへ向かうか? そう、アイドル、VTuber、風俗、ソシャゲ、キャバクラ、、、といった産業だ。
前回の記事で述べた「アイドル声優ビジネス」も、彼らの孤独を燃料にして回っている。
もし、彼ら全員がお見合いで結婚し、堅実な家庭を持って住宅ローンと教育費にお金を使い始めたらどうなるか? オタク産業や夜の街は壊滅し、クールジャパン戦略は崩壊するだろう。
つまり、弱者男性は社会のお荷物ではない。 彼らは、自身の人生を燃やすことでエンタメ産業という巨大なボイラーを回している、社会にとってなくてはならない優良な燃料なのだ。 社会構造的な視点で見れば、彼らは生かさず殺さず、夢(虚構)を見させて搾取し続けるのが最も経済合理性が高いのである。

結論:弱者男性の発生は、バグではなく仕様

弱者男性の発生は、バグではなく仕様だ。 自由恋愛というシステムを導入した時点で、一定数の男性が産業廃棄物として排出され、それを再利用する形でオタク産業が発展することは決定づけられていた。
「努力すれば報われる」という言葉は、彼らを燃料タンクに繋ぎ止めておくための麻酔に過ぎない。 我々に必要なのは、この社会において、自分がどの歯車として回されているのかを自覚することだけだ。


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