詩「赤い旅行鞄」 80's(応募テーマ「旅」)

部屋の隅に置き去りにしていた赤い旅行鞄
鼻唄を歌いながら 自由を描いて
冬の思い出と花柄のワンピースを入れた
(懐かしい旅の記憶も添えて。)
あの日見た夕陽の色が今日の終わりに重なる
また違う色を探す為に…

子供が手放した風船の糸
青い空に吸い込まれる
日常から切り離された自由を手に入れた
失敗も悲しみも
あっという間に空の彼方
(ぐんぐんと遠ざかる。)

列車の窓から
見える景色は
早送りの映画の様に過ぎ去っていく
私は私の物語を求めて
赤い鞄と旅をする
まだ知らない場所へ…

違う色を目の中に焼き付ける
また新しいはじまりへと
作者:80's
編集部より
80'sさん、ご投稿大変ありがとうございました。
静かな決意を感じさせる詩です。今まで赤い旅行鞄とどこに旅に出たことがあるのかな、「冬の思い出」ってなんなんだろな…って気になりました。
赤い風船に、自由を手に入れた自分を仮託する描写も好きです。「(どんどん遠ざかる)」と、カッコのなかに入れている表現が、口には出さずに心の中で呟いているようで、風船が静かに、でも、どんどん遠くに飛んでいる感じが伝わります。
主人公には、どんな「新しいはじまり」が待っているのでしょうか。この詩に描かれている「私」なら、どんな場所でも、素敵な物語を描いていけるのではないのかなと思います。(馨)
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