旦那の給料が上がらないのは、100%お前のせいです。「さげまん妻」が気づかない、地獄の習慣。
あたしゃ、時々、男という生き物の単純さに、愛おしさすら感じてしまうことがある。
彼らは、生まれたその瞬間から、自分自身をロールプレイングゲームの「ヒーロー」だと、微塵も疑っていないのだ。
学校でのテストも、部活のしごきも、会社での理不尽なノルマも、すべては魔王を倒すための試練。
どんなに厳しいトレーニングや、血反吐を吐くような仕事も、「いつか一国一城の主になるためだ」と思えば、乗り越えられてしまう。
そして、彼らが最終的に求めるもの。
それは、金銀財宝でも、世界征服でもない。
ただ一つ、囚われの姫や、周りの人々からの「称賛」。
「すごい!」
「さすが!」
「あなたって、やっぱり最高のヒーローね!」
この言葉を聞くためだけに、彼らは今日も、満身創痍で戦い続けているのだ。

一方で、あたしたち女性はどうか。
あたしたちは、断じてヒーローではない。
あたしたちは、生まれながらの「プリンセス」なのだ。
お城で、ドレスを着て、ただ待っていればいい。
いつか、白馬に乗った王子様か、気のいい魔法使いがやってきて、本来のあたしに戻してくれる。
そう信じている。
だから、男性が何かに見せる、あの常軌を逸した熱意や執着が、時として、異様で、滑稽にすら見えてしまう。
「たかが仕事で、なんでそんなにムキになってるの?」と。
もう、お分かりだろうか。
男と女は、見ている世界が、根本的に違うのだ。
そして、この絶望的なまでのすれ違いこそが、隣にいる男を「伝説の勇者」にする『あげまん』と、ただの「村人A」で終わらせる『さげまん』を分かつ、唯一の境界線なのである。

自分をヒーローだと信じて疑わない男性は、裏を返せば、とてつもない「伸びしろ」の塊だ。
ダイヤの原石。
まだレベル1の勇者。
その原石を磨き上げ、伝説の勇者に育てるも、ただの石ころのまま朽ち果てさせるも、すべては、隣にいるプリンセス、つまり、あんた次第なのだ。
にもかかわらず、だ。
世の中には、せっせとヒーローの足を引っ張り続ける、愚かなプリンセスが、あまりにも多すぎる。
「また残業?どうせ大した仕事もしてないくせに」
「〇〇さんの旦那さんは、もう課長になったらしいわよ」
「その趣味、なんの役にも立たないんだから、やめたら?」
帰宅したヒーローの鎧を剥ぎ、その傷口に、これでもかと塩を塗り込む。
本人の自信を、プライドを、木っ端微塵に打ち砕く。
これが、典型的な「さげまん」の所業である。

その場の鬱憤は、晴れるかもしれない。
しかし、考えてもみてほしい。
レベルアップする意欲を完全に失い、ただ毎日、洞窟の入り口で座り込んでいるだけのヒーロー。
そんな男と一緒にいて、あんたの人生が、豊かになると思うか?
もし、あんたが、旦那の給料を本気で上げたいと願うなら。
もし、プリンセスのまま、今より少しでも良い暮らしがしたいと望むなら。
やるべきことは、たった一つだ。
ヒーローを、褒めろ。ただ、ひたすらに、褒め称えよ。

「いつもお仕事お疲れ様。あなたのおかげで、毎日安心して暮らせるわ」
「そのネクタイ、すごく似合ってる!さすが、センスいいわね!」
「大変だったのね。でも、あなたなら、きっと乗り越えられるって、私、信じてる」
どんな些細なことでもいい。
彼の行動を認め、その存在を肯定し、未来への期待を言葉にするのだ。
あたしたちにとっては、社交辞令にも満たないような、ささやかな言葉。
しかし、その一言が、ヒーローにとっては、最強の回復魔法「ホイミ」となり、攻撃力を倍増させる呪文「バイキルト」となる。

「姫が、俺のことを見ていてくれる…!」
そう確信したヒーローは、俄然、やる気を出す。
翌日、会社で、昨日までの1.5倍の力を発揮するだろう。
上司からの評価は上がり、やがては給料という、最もわかりやすい形で、あんたの元へと還元されるのだ。
これこそが、「あげまん」の極意である。
男を手のひらの上で、気持ちよく踊らせる、最高の魔法。
あたしたちは、剣も魔法も使えない。
しかし、言葉一つで、ヒーローを意のままに操り、世界を動かすことだってできるのだ。
さあ、今夜、あなたの隣にいるヒーローに、どんな言葉をかける?
その一言が、あんたたちの未来を、天国にも、地獄にも、変える力を持っているということを、決して忘れてはならない。

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