結婚を「無料風俗」と勘違いした男と、「安定」という名の牢獄に入った女の末路。
洒落たレストランの片隅で、私はパスタを巻き取りながら、世にも興味深い人間観察に勤しんでいた。
隣のテーブルに座る、30代前半とおぼしき一組の男女。
左手の薬指には、かつては輝いていたであろう結婚指輪が、鈍い光を放っている。
空気は、重い。
シベリアの冬空のように、どこまでも冷え切っている。

やがて、沈黙を破ったのは男の方だった。
彼はフォークの先で皿をつつきながら、蚊の鳴くような、しかし怨念のこもった声で、こう呟いたのだ。
「結婚する前は、こんなじゃなかったのに」
出た。いただきました、星三つ。
結婚生活の墓場から聞こえてくる、定番のBGMである。
この一言には、男と女が「結婚」という名の契約書にサインする際に抱いていた、壮大なる勘違いのすべてが凝縮されている。

そもそも、多くの男性は結婚したら「合法かつ無料の風俗」が永久に利用できるとでも思っている節がある。
疲れて帰ってくれば、温かい食事と優しい笑顔、そして夜のお勤めがフルセットで提供されると。
なんともおめでたい話である。
一方、女性は結婚に「精神的・経済的な安定」と「揺るぎない安心感」を求める。嵐の海をゆく小舟から、豪華客船に乗り換えるようなイメージだろうか。
片や性欲、片や安全欲求。
求めるものが根本的に違うのだから、航海が始まってすぐに船が傾きだすのは、当然の帰結なのである。

現実は、甘くない。
いや、むしろ塩辛い。
男たちが夢見た24時間営業の無料風俗など、この世のどこにも存在しない。
妻は家政婦でもなければ夜の相手を専門とする従業員でもない。
愚痴も言えば、機嫌の悪い日もある、生身の人間だ。
そして、女性たちが願った「安定」という名の豪華客船も、いざ乗ってみれば泥舟だった、なんてことはザラにある。
夫の会社が傾くかもしれないし、そもそも夫が家計を握らせてくれないかもしれない。

上記画像をご覧いただきたい。
これは、ある種のサービスと「結婚」を、身も蓋もなく比較した表である。
あまりに辛辣で、あまりに的確だ。
会話は苦痛になり、ルックスは劣化し、料金は年収の半分以上。
キャンセル料に至っては、財産の半分と未来永劫の責任がのしかかる。
コストパフォーマンスという観点で見れば、結婚は史上最悪の投資案件と言っても過言ではないのかもしれない。
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かつて、結婚は生きるための生存戦略だった。
しかし、時代は変わった。
今や結婚は、大手企業で出世するためのアクセサリーであったり、親や世間体を気にした結果の妥協の産物であったりする。
特に「妥協」で結婚するほどの愚行はない。
人生100年時代。
30歳で結婚したら、残り70年。
実に25,550日もの間、妥協して選んだ相手と同じ屋根の下で暮らすのだ。

正気の沙汰とは思えない。
子供を作るというなら、話はさらに深刻になる。
「でも、子供ができたら、相手も変わってくれるかもしれないし…」
そんな淡い期待を抱いているあなたに、残酷な科学的真実をお伝えしよう。
人の根本的な性格は、出産したくらいでは変わらない。
むしろ、多くの研究が、成人後のパーソナリティは驚くほど安定していることを示している。
子供が生まれ、極度の睡眠不足と疲労に襲われた時こそ、相手の本性が剥き出しになる。
普段は隠されている短気さ、自己中心性、無責任さ。
それこそが、あなたがこれから何十年も付き合っていく相手の「本当の姿」なのだ。

では、どうすればいいのか。
最高の妻、最高の夫とは、一体何なのか。
答えは、結婚という制度の外にあるのかもしれない。
「最高のパートナー」になる方法は、まず、世間の言う「普通」や「幸せの形」を疑うことから始まる。
周りがしているから、親が急かすから、もういい歳だから。
そんな理由で人生の最も重大な契約書にサインをしてはいけない。

愛の形は、結婚だけではない。
お互いを尊重し、自立し、共に成長できる関係性こそが本質だ。
その本質を見極める目さえあれば、結婚という「制度」は、数ある選択肢の一つに過ぎなくなる。
隣のテーブルの夫婦は、まだ気まずい沈黙の中にいる。
彼らがもう一度笑い合える日は来るのだろうか。
それは、彼らが「結婚」という幻想から目を覚まし、目の前にいる一人の人間と、真摯に向き合えるかどうかにかかっている。

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