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narukuni
【小説】博士のアルバム 13話
仕事に復帰するため事務所に出向いた。
「もういいの?でも、なんともなくて良かったわね。無理しないで」
所長は変わらず私を笑顔で迎えてくれた。
「ありがとうございます。迷惑かけてすみません。検査をたくさんして、特にどこも悪くないと。それなら早く仕事に戻りたいと思ったので。ところで雲野先生は?」
所長の顔が曇った。
「雲野先生、花井さんが入院した日に緊急搬送されてね。今、病院に入院してらっしゃるの」
嫌な予感はしていた。私のメッセージに返信がなかったからだ。
「私、お見舞いに行ってきます」
「それがね…」
「どうしたんですか?」
「雲野先生はもう、話すこともできない、手を動かすこともできない。体調も良くならない。むしろ、前より悪くなっているらしいの」
「そんな…」
指先が小さく震え始めた。
「離れて暮らしていた息子さんがここに挨拶に来られて、最後は家族でみますって。だから、私達はもう…」
「そ、そんな…、たった一週間入院していただけなのに、急に悪くなるなんて」
「黙っててごめんね。花井さんが入院してるときに余計な心配をかけさせたくなくて」
雲野先生の笑顔しか思い浮かばない。
目尻を下げて優しく微笑む先生の顔。
涙が溢れ止まらなかった。
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