読書感想文がイヤだったワケ【思春期に戻ってわかった納得の理由】
「読書感想文が、一番イヤだった」
私は一瞬耳を疑いました。
愛読書で埋もれた事務室での、塾長のぼやき。
塾は開校以来「読書」を推奨しているし、塾長自身も相当な読書家です。
そんな塾長がもっともイヤだった課題、
「読書感想文」。
最初は意外でしたが、理由は大いに納得できました。話していくうちに「そらイヤだわ」と共感さえしまいました。
トラウマ宿題の二大筆頭;「自由研究」、そして「読書感想文」。
世間は「読書が大事!」「本を読めないやつは〇〇だ!」という“お説教”で溢れています。
しかし「読書感想文」。この課題に良い思い出が果たしてあるでしょうか。
それは、国内に読書アレルギー界隈を量産させる処方だったのかもしれません。
なぜ、読書感想文はイヤだったのか
ここからは童心に帰って、思春期の立場からイヤだった理由を述べていきます。
※小(中)学生が複数憑依していますので、“幼い未成年の主張”であることご留意ください。
イヤな理由1|「読書」も、「感想」も、「文」もイヤ
全部イヤなんです。
あるいは「読書」、「感想」、「文」、どれかは苦手です。
読書?教科書以外、読んでいません。
3分以上、同じ文章読むとかきついです。
そもそも「文字いっぱい」の時点で無理です。
SNSや動画の方が面白いし、わかりやすくないですか?
「感想」って言われてもわかりません。
「すげえ」「やべえ」しか知りません。
感想があっても、言うのが恥ずかしいです。
「〇〇はすばらしいと思いました」
「私も〇〇みたいになりたいです」
こんな、エラソーな文が書けるヤツって、生意気にみえませんか?
「ハーマイオニーがかわいい。好きです」
なんて書きたくないです。
みんなの前で発表とか、もう地獄です。
「文」を書くのも難しいです。
作文はたくさん赤ペンもらうし、何がいけないのかわかりません。
「感想文」ってなんですか?
どうすれば、×になりませんか?
イヤな理由2|時間がかかる、楽しい時間が奪われる宿題

あの書きにくい原稿用紙。
全部文字で埋めろという宿題。
えっと、400字?無理です。
何時間かかると思っていますか?そんな時間があったら、遊びにいきます。サッカーします。ゼルダの続きやります。
夏休み前の修了日、あの原稿用紙が渡された時の絶望感たるや。ただでさえ、「宿題」なんてやりたくないのに。
なんであんなに書かないとダメなんですか?
たとえ20字や五七五で感想書いても、先生は×つけないでくれますか?
イヤな理由3|何でやるのかわからない
本の感想を文にする、ってそもそもなんの意味があるんですか?
みんなそれぞれ読んで、感想を持てばいいじゃないですか。別に自分で物語を書くわけじゃないし、「私が(すでに出回っている)本の感想を言ってみた」があったところで面白いんですか?無いとだめなんでしょうか?
Amazonのレビューみたいなのが、まだ書きやすいです。あれは「星1。つまらない」でもOKですよね。
内容は全部本に書いてあるなら、それを読んでください。感想動画も出回っているので、そっちの方がためになりますよ?私の意見は、読書感想文関係ない所で書きたいです。
オリジナルな意見でもない、私が作った「感想文」とか、要りませんよね?
イヤな理由4|興味がない・面白くない
【課題】これらの推薦本から1冊選んで、以下の質問に答えましょう。
・なぜこの本を選びましたか?
・どこが面白いと思いましたか?
・この本を読んでどう思いましたか?
学校が推薦してくれる本があります。加えてご親切に、感想文が書きやすいように質問が用意されているパターンもあります。
が、無駄です。そもそも興味がないんです。
【解答例】
・なぜこの本を選びましたか?
→「なんとなく。家にあったから」
・どこが面白いと思いましたか?
→「面白くなかったです」
・この本を読んでどう思いましたか?
→「何も思いません」
好きなことには、いくらでも力を注げます。
ですが、興味が無いことには全然気が乗りません。
「どうでもいい」のです。
名作本だろうと、伝説の映像作品だろうと、頭を使うのは苦痛です。
人がいくら「ためになる」「面白い」といっても、「私」がそう思うかは別です。
【例題】なぜシャアはアクシズを地球に落とそうと考えたのか? 400字で書きなさい。
【解答】「知りません」(シャアって誰?)
そして「原稿用紙埋めゲーム」が始まる
でも「宿題」なので、やらなきゃ怒られる。
じゃあ、なるべくラクして読書感想文を終わらせることにします。
ここで小(中)学生必見の「読書感想文・裏ワザ」を伝授します。
※効果には個人差があります。良い子は真似しないでね。
裏ワザ1:「まえがき」「あとがき」文を使う
多くの本には、「まえがき」「あとがき」が載っています。そこには「本のざっくりした内容」「作者の思い」「大事なメッセージ」がだいたい書かれています。それをほぼそのまま使えばあら不思議、読書感想文の出来上がりです。
つまり、本編を読まなくても、おおかた読書感想文は書けてしまえるのです。
裏ワザ2:「引用文」を使う
自分でゼロから文を考えるなんて、とても大変です。そこで本の引用文を活用しましょう。「本によれば〇〇とあります」「〇〇と本では言っていますが、私は△△と思いました」みたいな形を活用して、〇〇の部分に文字数を稼いでもらいましょう。本の最後に書かれた文なんかはおすすめです。
裏ワザ3:文字稼ぎ小ワザをフル活用
あとは数々の小ワザを使って、文字数を稼ぎましょう。例えば「こまめに句読点」「です・ます調を使う」「略さない横文字(“ロサンゼルス・ドジャース”“センチメートル”など)」「段落でよく区切る」などです。
これらの裏ワザを駆使すれば、「原稿用紙埋めゲーム」とも呼ぶべき読書感想文は怖くありません。さっさと片づけてしまいましょう。皆さんの健闘を祈ります。
受験国語を経て、気づいたら読書アレルギー
以上、ひねくれ思春期学生(なりきり)による駄文失礼いたしました。
各々幼いながらも、読書感想文がイヤでしょうがないと言える理由が多々おありのようです。
意見の正誤は置いておきますが、たとえ読書感想文を何とか裏ワザで乗り切ったとしても、まもなく次の関門がやってきます。
受験国語です。
そこには長文読解という、読書感想文の上位問題が待ち受けています。
ただでさえ読書感想文で苦しんだのに、全然興味がない文を読む、感想を考える、文章にするという強制苦役をこなさないと、進学できません。裏ワザも使えません。
兎にも角にも「点数」が必要で、それが「国語力の評価」になります。
元々本好きな人でさえ、他人より低い国語の点をみて「私、国語無理かも、、」と悟らせかねない。そんな強制イベントです。
スギ花粉を浴び続けて発症する花粉症患者のように、昔から読書免疫が低い人は、読書感想文~受験国語の苦役に耐えきった結果、あえなく読書アレルギー患者となってしまいます。
イヤなら読まない、という選択
読書・読書感想文の“素晴らしい効果”については、この場での説明は省きます。
一方で、「本を読め」という“脅迫”に溢れた現世間では、読書アレルギーがいかに苦しいかは想像に難くありません。
イヤなら読まなくていい。
途中で投げてもいい。感想も書かなくていい。
課題全否定の意見で恐縮ですが、これに尽きると思います。
読書感想文の強要で、読書の楽しさが伝わらず、読書アレルギー国民が量産されるくらいなら、いっそやらせないという選択肢もアリではないでしょうか。
「歩くことは楽しいし、健康に良い。なので、夏休みは全員50km歩きましょう」という課題が最適解でないことと同じです。本人に適さない負荷を課すことで、「歩くこと自体がイヤ」になる人が多く出てくるようでは本末転倒です。
言うまでもなく、「読書の楽しさ」を知ってもらえることは大事です。
しかし同時に、「読書アレルギー勢をこれ以上増やさない」ことも目的として設定しなくてはなりません。
そもそもなぜ、読書感想文をやるのか
注意するべきは、「目的/そもそもなぜやるのか」と「手段/どのようにやるか」を混同しないことです。読書感想文は目的(Why)ではなく、有効な手段(How)のひとつです。
「そもそもなぜやるのか」をまず確立し、手段を講じる。効果が見えてきたら、目的に立ち返って評価し、今の手段を見直していかねばなりません。
目的が読書アレルギーを出さないことでしたら、現状の効果を評価した上で、手段/読書感想文のあり方を見直すことも視野に入れるべきでしょう。
ここでのお話は、塾長・執筆者が受けた過去の教育が基になっています。
今後の教育は問題点が改善され、読書アレルギーが出にくい方法で、有効性も評価されている。それが地方に至るまで浸透しつつある、という状況であればいいのですが。
「これからの若者は、読書感想文でイヤな思いをしない!」
それが実現できるような、国語教育の明るい未来を切に願います。
塾長ないし執筆者を含めた日進塾生は、幸い読書アレルギーの憂き目に遭わずに、日々読書を楽しんでいます。読書の楽しさをどう生徒に伝えるかは試行錯誤の日々ですが、受験だけではない本当の学びの楽しさを長年育んでいます。
日進塾ポリシーのひとつ、「読書推奨」についての記事はこちらです。
塾長は小1以来、「筋金入りの宿題ぎらい」でもありました。それが日進塾の「宿題を出さない」というポリシーに表れています。
補足1|シャアって誰?
通称「赤い彗星」,「情けない奴」。数々のアウトな言動も、見た目がよいおかげでなんか流されている。緑のおじさん曰く、「将来どうせ地球人粛清に走る人」。ロリコン説が根強い。
補足2|ハーマイオニーがかわいい
教室でそのように発表しても、みんな瞬時にエマワトソンの映像が浮かぶからまだマシ。「知らないけどなんとなく想像できる」キャラ名を出した時が一番危険。
補足3|ゼルダの続き
米メリーランド大学工学部で講義に「ティアキン」が採用されるなど、創造性育成効果も期待される義務教育推奨ゲーム。そろそろ「新作発売年の学力・GDPの相関調査」が望まれる。
