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今寓話「"一を聞いて十を知る"人ってどんなやつ?」|塾理念

「新部長のマワリさん、昔から相当デキル人だったらしいぞ」
「へえー、どうりで」

「『あいつは一を聞いて十を知るやつだった』って教育係だったベテラン課長が言ってたわ」
「はえー、そら凄いっすね」

「てか先輩、『一を聞いて十を知る』って、そもそも何すか?」

「ん?」

「だからー、『一を聞いて十を知る人』は、どういう人なんすか?」
「あー、それなー、・・・あれ?」

「わからないんすね・・・」

「違う!あれだ!パッと出てこないだけ!」
「はいはい。スマホ見ていいですよー」

先輩:歴史好き(自称)。部下さんの教育係。
部下:理系出身。先輩イジリをいとわない。


由来は論語

「バカにしてるだろ・・元ネタは"論語"だな」
「あー、『シーいわくー』ってやつっすね」

「論語は中国の孔子っていうエライ人の言葉集だ。『キングダム』よか前の時代だぞ。すごくね?」
「すいません、『キングダム』未読っす」
「・・・後で布教するか」

「孔子さんの弟子の凄い人が、『一つ事を聞かせたら、その周りの十を連想できる』ほど頭良かった、というのが由来だな」
「おお~」

「ちなみに、孔子さんは1から2を連想するくらいだったそうだ」
「弟子に負けてるじゃないすか」
「それだけ凄い弟子だった説な、察して」


ただ知っているやつ、ではない

「でも、なんかあまりピンとこないっすねー」
「まあ、確かにな。具体的な例なんかは書かれてないぽいわ。一を聞いて十を知るヤツって」

「例えばこんなんすか?
『"運動始めたら痩せた"と言ったら"それ関係ないよ、運動じゃ痩せないと最新の論文じゃ言ってる、前の説は政府とメーカーの陰謀、体重は毎日変わる、早起きするだけで痩せる、ダイエット食は〇〇が1位、そもそも痩せない方がモテる"とあれこれ教えてくれる人』」

「ムカつくな。多分違う。そら"よく知っている風のヤツ"だ。あるいは"知識マウントやろう"。ソースもだいたいネット情報のな。無自覚だからタチが悪い」
「恨みでもあるんすか?」


AIはある意味"目標"?

「AIとか?『10個いい感じのアイデアちょうだい!』とチャッピーに聞いたらいい時代ですもんね」
「論語は紀元前だぞ」
「まあ今に例えるならっすよ」

「確かにAIの開発者は、そういうものを目指しているだろうな」
「10どころか何百個も楽勝ですもんね」

「まあ、"既に知っている人"は目標ではあるけど、論点ていうか大事な所はそれじゃない気がするな」


学ぶ人の在り方

「察するに"学ぶ人の在り方"じゃないかな」
「え?どういうことっすか?」

「前提として、『聞く人』はある程度の基礎知識アリ」
「弟子さんもまあそうでしょうね」

「『聞く人』に一つ教えると、自分の知識をフル動員させて『じゃあこれは?』『こうともいえる?』『ならこっちは?』『そもそもなぜ?』・・と問いと考えを繋げていく」
「ふむふむ」

「その結果、新しいアイデア、深い原因、別分野への発展に繋がる。多くを知ってて、深く考えられる人ほど、出力の数が多いわけだ」
「確かに、元々の知識量と考えグセあったら有利ですね」


「何事も色々な方向から考える事ができて、
 新しいものに繋げていける。
 これが『一を聞いて十を知る人』だと思う」

「な~るほど」

「まあ、”1から10”ができるヤツはよほどの天才かもしれん」
「ですね、孔子さんも無理って言ってますし」

「ぶっちゃければ、"学ぶときは色々な方向から深く考えよう"ってことを伝えたいんじゃないかな」
「シチュエーションが教室っぽいですもんね」


天才じゃないとムリ?算数で例えると・・

「算数で例えるなら、
 割り算教えたら分数、小数、割合、掛け算との絡み・・とかまで分かるってやつですか?」
「そうそう、そんな感じ」
「まあ天才かもしれんすね」

「かもな。ただ順番を変えたら出来るんじゃないかな」
「というと?」
「例えば割り算を知っている人に分数を教える。すると分数と割り算の関係が繋がる。それで分数も割り算もより分かるようになる。そういう人に割合を教えると、もっと繋がってさらに分かる」
「あー確かに。それならまだ出来そうな気がしますね」
「持ち武器に繋げられる力、ってことかな」
「伏線回収って感じもします」


「数学の例えも面白いですね、
 三角形の面積計算教えたら、回転形体積からの積分で代数と幾何を繋げる、あるいは三角関数からベクトルの理解、力積と運動方程式なんかにも繋がって、当然逆に辿っても・・」

「すまん、俺文系だから数学の難しいのは・・」
「これ、義務教育っすよ」
「絶対ウソだ」


"1から2分かる"の凄さ

「ちょっと脱線かもしれんが、"1から2分かる"も十分凄いぞ」
「ですね、なんか例ありましたっけ?」

「例えば『蒸気機関』。蒸気機関の発明そのものも、文字通り革命レベルで凄い。そして蒸気機関を見た各分野のプロたちが『小さくできない?』『燃費上げれない?』『工場に使えない?』『列車に積めない?』『船に積めない?』てな風に問いて考えて、次々と繋げていったわけだ」
「どれも十分革命レベルっすね」

「分かるっていうか、1から2生み出すって言った方がいいのかな。ちょっとした工夫や発見を、自分の得意領域に"輸入"するだけで"革命"になる。ただ、これが難しいんだよな」
「優秀な専門家ほど、他分野へのアンテナが低いのはあるあるですね」

「思いつくだけじゃダメで、実行して形にするのが本当に大変だ。組織じゃ特にな。アイデアだけじゃなくて、"そっから先"もたくさん考えんといかんのだわ。ホント、どんだけ説明させるんか・・」
「実感こもってますね、お察しします」


「好奇心」が考える原動力?

「偉人の皆さんは、ホントよく考えますね」
「だな」
「なんでそこまで考えられるんすかねー?」

「うーん、ある意味"好きだから"かもしれん」
「へ?」


「先日小3の甥っ子にな、『ジュラシックワールド』みせたんだわ」
「ほうほう」
「そしたらドハマりよ。1カ月で恐竜100匹覚えて、肉食・草食・生息地全部言えて、地質時代もカンブリアから白亜紀までコンプしてて、絵もクオリティ凄くて、最近は塩基配列の話とかし始めたわ」
「・・・」
「おい、引くんじゃあない」

「まあ、好奇心があるやつは、一つ聞いたら勝手に繋げて学んでいく。これもある意味『一を聞いて十を知る人』かな」
「そうすかね?まあ勝手に学ぶやつが強ええのは納得っす」
「将来有望ってみていいな、な? だから引くなって!」


「"恐竜坊や"にもっと合う言葉ありますよ。『好きこそものの上手なれ』」
「その元ネタも、論語らしいぞ」
「マジっすか」


教える側がラクな人

「まあ一番実感できる例は、お前に教えている時だな」
「何すか?急に」

「いやほら、この前マニュアル渡した件、もうほぼマスターしてるよな」
「あーあれですか、説明が全然足りないから苦労しましたよ」

「あのマニュアルは昔から分かりにくいんよな。改善は俺の責務だし、マジすまんかった。でも出来てるってことは、自分で学んで考えて、人に聞いて、色々試したんだよな。いつでも聞いてくれてよかったのに」
「は・・はい、先輩すごく忙しそうでしたし・・」


「ホント一聞いて十知る部下で、教える側は助かるわ」
「へっ?あー・・ぁざっす・・」
「褒められ慣れてないのな」


次回:なぜ失敗は伝わらない?『歴史は繰り返す』×『温故知新』の失敗学


おまけ|マニュアルの改善

穴だらけのマニュアル渡された時の絶望感たるや。それを必死で解読して、分かりやすく改善して、頑張って浸透させた頃に、、また新しいシステムにリニューアルされる。※以後繰り返し。


おまけ|恐竜坊や

聞いたことのあるあだ名かもしれません。翼竜推しのガルーダパイロットは無関係です。恐竜にしろポケモンにしろ、無用な知識ほど皆アホほど覚えますよね。


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