幹部が3年経っても育たない会社は、何を教え忘れているのか
「もう3年になるのに、まだ一人で判断できない。」
そんな悩みを抱えている経営者やNo.2は少なくありません。
管理職に昇格させた。
研修にも参加させた。
現場経験も積ませた。
それでも重要な場面になると、「どうしましょうか。」と相談が上がってくる。
No.2や幹部の立場なら、「いつになったら任せられるんだろう。」と感じたことがあるのではないでしょうか。
もし本人の能力が原因なら、優秀な人を採用すれば解決するはずです。
教育の回数を増やせば、判断できるようになるはずです。
それでも実際には、人が変わっても、経験を積んでも、同じことが繰り返されます。
私は400社以上の組織と向き合ってきましたが、この現象にも共通点があります。
それは、「幹部を育てているつもりで、仕事しか教えていない組織」ができあがっていることです。
幹部が育たない原因は、経験不足ではない
「経験を積めば、そのうち育つ。」
そう考える会社は少なくありません。
もちろん経験は必要です。しかし、本当の問題はそこではありません。多くの会社が教えているのは、「仕事の進め方」です。
何をするのか。
どうやるのか。
どんな手順で進めるのか。
一方で、「幹部として何を基準に判断するのか」は、ほとんど教えられていません。だから仕事はできけれど、判断になると止まる。
役職は幹部でも、意思決定だけは育っていないのです。
幹部は育っていないのではない。「仕事ができる人」で止まっている
幹部候補は努力していないわけではありません。
現場も知っています。
仕事もできます。
部下からの信頼もあるでしょう。
それでも重要な判断になると、「どうしましょうか。」となる。
それは、仕事の正解は教わってきても、判断の正解は教わっていないからです。
現場で評価されるのは、仕事ができる人。しかし幹部に求められるのは、判断できる人です。
この違いを学ぶ機会がないまま昇格すれば、役職だけが上がり、判断は育ちません。
No.2も「幹部を育てる人」ではなく「現場を助ける人」になってしまう
この状態になると、一番苦しくなるのはNo.2です。
管理職から相談が来る。
部下から相談が来る。
考えさせたい。
任せたい。
そう思っていても、「自分がやった方が早い。」となってしまう。
その結果、No.2自身が現場へ戻り、幹部を育てる時間がなくなります。
本来の仕事は、判断できる幹部を増やすことです。しかし現実には、自分がプレイヤーとして動き続ける組織になってしまいます。
問題はNo.2の育成方法ではありません。
幹部を育てる時間と仕組みが存在しないことです。
優秀な経営者ほど、「経験すれば育つ」と考えてしまう
優秀な経営者ほど、自分自身が経験の中で成長してきました。
だから、
「現場を経験すれば分かる。」
「数をこなせば育つ。」
そう考えます。
もちろん、それで育つ人もいます。しかし、多くの管理職は経験だけでは幹部になれません。仕事は覚えても、判断基準は身につかないからです。
経験は増えている。
役職も上がっている。
それでも重要な判断だけは社長やNo.2へ戻ってくる。
幹部が育たない原因は、育成そのものが、「経験任せ」になっていることです。
最後に
幹部が3年経っても育たないのは、仕事は教えていても、「幹部として判断する基準」を教えていない組織が生み出す、育成の問題です。
だから、人を変える前に、「仕事を教える組織」になっているのか、「幹部を育てる組織」になっているのかを見直す必要があります。
もし、
「仕事はできるのに、幹部が育たない。」
そう感じたなら、その違和感は間違っていません。
組織は、人ではなく構造で育っていきます。
■メンバーシップ「No.2経営ラボ」

この記事では、「幹部が育たない」という一つの組織のバグを取り上げました。しかし実際には、この問題も単独では起きません。
権限委譲、評価制度、会議設計、意思決定、教育制度。一見すると別々の課題ですが、実はすべて組織の構造でつながっています。
メンバーシップ「No.2経営ラボ」では、「組織のバグ」を一つずつ分解しながら、No.2が組織全体をどう見立て、どの順番で改善していくのかという判断軸をお伝えしています。
社長へ仕事を戻すNo.2ではなく、組織を前に進めるNo.2になるために。
▼二宮誠悟プロフィール
現役取締役。400社以上の組織と向き合い、組織を構造から読み解く。
▼No.2経営支援サービス
組織課題を可視化し、意思決定・権限設計・実行プロセスを再構築する。
▼組織のバグ100本Q&A(有料記事)
組織のバグを言語化し、組織を動かす判断軸へ体系化する。
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