社長の返事待ちで仕事が止まる会社は、どこで仕組みを間違えたのか
「社長の返事が来たら進めます。」
こんな言葉が、会社の中で当たり前に飛び交う。
見積書の提出。契約書の確認。取引先への回答。採用の判断。
担当者もNo.2も、「社長の確認待ち」という一言で仕事が止まってしまう。
一つひとつは小さな案件でも、それが積み重なると現場は待つことが仕事になり、社長は返事をすることが仕事になります。
No.2や幹部の立場なら、
「返事を待つ前に進められることがあるだろう。」
そう感じることもあるはずです。
もし、社員の主体性が原因なら、教育をすれば改善するはずです。
優秀な人を採用すれば、仕事は止まらないはずです。
それでも実際には、新人でもベテランでも、幹部になっても同じように社長の返事を待っています。
私は400社以上の組織と向き合ってきましたが、この現象には共通点があります。
それは、「社長の返事を待つことが正解になる組織」ができあがっていることです。
仕事が止まる原因は、返事が遅いことではない
社長が忙しいから。
返事が遅いから。
本当の問題はそこではありません。社長が返事をしなければ進めない仕事が、組織の中に数多く存在していることです。
現場は動きたくても動けない。
No.2も判断できそうな内容なのに、一応確認してからという選択をします。
すると、仕事は社長の返事待ちになります。
つまり、仕事を止めているのは社長ではありません。
社長の返事が必要になる仕組みなのです。
社員は待っているのではない。「待つこと」が正解になっている
社員は仕事を進めたくないわけではありません。
本当は早く終わらせたい。
お客様も待たせたくない。
それでも止まるのは、過去の経験があるからです。
自分で進めたら、「なんで確認しなかった?」と言われる。逆に待っていれば、「確認してくれて助かった。」と言われる。
この経験を繰り返すと、人は自然に学習します。
迷ったら待つ。
返事が来るまで動かない。
その方が安全だ、と。
つまり、社員は組織の中で、「待つこと」が最も正しい行動だと学習しているのです。
だから、社長待ちは社員の性格でも能力でもありません。
組織が生み出した行動パターンなのです。
No.2も「返事待ちの中継役」になってしまう
この状態になると、一番苦しくなるのはNo.2です。
現場から相談が来る。
自分で決められそうな内容でも、「社長にも確認しておこう。」となる。
現場から見れば、
「No.2に聞けば、社長に確認してくれる。」
という流れが当たり前になります。
するとNo.2は、判断する人ではなく、返事を取りに行く人になります。
現場はNo.2ではなく、その先にいる社長を見て仕事をするようになります。
だから、経験を積んでも、役職が上がっても、No.2としての影響力が育ちません。
問題はNo.2が判断できる仕組みではなく、返事を待つ仕組みになっていることです。
優秀な社長ほど、「社長待ち」を生み出してしまう
仕事ができる社長ほど、判断が早い。
現場が迷っていれば、その場で答えを出しますし、問題が起きれば、自分で修正する。
その方が早いし、失敗も少ない。
だから会社は成長します。しかし、ある時から違和感が生まれます。
社長は一日中、誰かの相談に答えている。一方で現場は、返事が来るまで次の仕事へ進めない。
No.2も幹部も、「一応確認してから」という行動が当たり前になる。
社長は任せているつもりでも、現場は「最後はトップの返事が必要な会社」だと学習しているのです。
仕事が止まる原因は、返事を待つ仕組みになっていることです。
だから、どれだけ社長が頑張っても、この状態は変わりません。
むしろ、優秀な社長ほど組織はその人に最適化され、「社長待ち」が当たり前の会社になっていきます。
最後に
社長の返事待ちで仕事が止まるのは、「社長の返事を待つことが正解になる組織」が出来上がった結果として生まれる、組織の問題です。
だから、返事を早くすることよりも先に、返事を待たなくても仕事が進む組織になっているかを見直す必要があります。
もし、
「返事待ちで止まる仕事が、うちにもある。」
そう感じたなら、その違和感は間違っていません。
組織は、人ではなく構造で動いています。
■メンバーシップ「No.2経営ラボ」

この記事では、「社長待ち」という一つの組織のバグを取り上げました。しかし実際には、社長待ちは単独で起きる問題ではありません。
権限委譲、決裁権、会議設計、幹部育成、評価制度。
一見すると別々の課題に見えますが、実はすべて意思決定の仕組みでつながっています。
メンバーシップ「No.2経営ラボ」では、「組織のバグ」を一つずつ分解しながら、No.2が組織全体をどう見立て、どの順番で改善していくのかという判断軸をお伝えしています。
社長の返事を待つNo.2ではなく、組織を前に進めるNo.2になるために。
▼二宮誠悟プロフィール
現役取締役。400社以上の組織と向き合い、組織を構造から読み解く。
▼No.2経営支援サービス
組織課題を可視化し、意思決定・権限設計・実行プロセスを再構築する。
▼組織のバグ100本Q&A(有料記事)
組織のバグを言語化し、組織を動かす判断軸へ体系化する。
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップは、組織づくりやNo.2に関する実践知の発信、記事制作、テンプレート作成などの活動費として活用させていただきます。
少しでも学びや気づきがありましたら、応援いただけますと励みになります。