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2025年度の知的財産・知的資産関連政策の動き

2025年度も、じきに始まりますね。
個別の補助金等の情報と併せて、中小企業やスタートアップ向けに、来年度に実施される知的資産・知的財産分野の政策その基本的な方針となる「知的財産推進計画2025」の策定状況などの情報は、把握と事業計画への反映の必要性が高まっていると感じる次第です。


1.2025年度の知的財産・知的資産関連政策の動き


 2025年度にも、中小企業の知的財産や知的資産の保護・支援について、内閣府や経済産業省などの行政から各種支援策が施行されますね。

補助金政策に関心を持たれる方が多いかと思いますが、本記事では、個別の補助金政策よりは、その背景となる国レベルでの政策の動きの一端を見てみたいと思います。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)

例えば、特許庁の『令和7年度 特許特別会計予算案のポイント』(https://www.jpo.go.jp/system/laws/sesaku/yosan/document/yosanan/2025chizai_yosan.pdfを見ると、
『イノベーション創出・経営力強化のための知財活用支援 56.6億円(+33.2%)及び(独)INPIT交付金の内数』
として、

『優れた技術・アイディアを市場獲得・更なる成長に繋げる知財活用支援の強化 38.2億円(R6fy31.9億円)+INPIT交付金120億円(R6fy116億円)の内数
・ベンチャーキャピタルへの知財専門家派遣等によるスタートアップの知財戦略構築支援【拡充】
・大学やナショナル・プロジェクト等の革新的な研究開発における知財戦略構築【拡充/INPIT交付金】
・ 国内投資に積極的な中堅企業の事業再編時の知財戦略策定等の支援【新規/INPIT交付金】
・中小・スタートアップ等の海外での権利取得支援【継続/一部INPIT交付金】
・海外での市場獲得に向けた諸外国・地域の知財制度調査・途上国の制度整備支援【継続】』

『令和7年度 特許特別会計予算案のポイント』(https://www.jpo.go.jp/system/laws/sesaku/yosan/document/yosanan/2025chizai_yosan.pdf

や、
『地域の中小企業へのワンストップ支援や情報発信を通じた知財エコシステムの裾野拡大 18.4億円(R6fy10.6億円)+INPIT交付金120億円(R6fy116億円)の内数
47都道府県に知財支援に関する相談窓口を設置【拡充/INPIT交付金】
・自治体や地域の支援機関等が連携して知財経営支援に取り組むモデル地域の創出【拡充】
・知財を切り口とした地域の金融機関による中小企業の事業性評価の推進【継続】
・地域の経済産業局や産業支援機関による知財活用施策の促進/地域の中小企業向けの普及啓発イベントの実施【継続】
・知財活用による社会課題解決に関する情報発信等を通じた様々なプレーヤーの知財意識向上【拡充】』

『令和7年度 特許特別会計予算案のポイント』(https://www.jpo.go.jp/system/laws/sesaku/yosan/document/yosanan/2025chizai_yosan.pdf

などの政策の実施が予定されています。

経済産業省全体の予算要求『令和7年度 経済産業省関係 概算要求等概要』( https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2025/pdf/01.pdf )では、知的財産関連の施策として、

『(2)イノベーション・新陳代謝の加速』
の中で、
『>スタートアップ支援事業(ユニコーン創出支援、フェムテック等実証)【9.5億円(5.5億円)】 』
や、

『○知財を活用した中小企業等の稼ぐ力を向上すべく、「知財経営支援ネットワーク」を活用し、地域の知財エコシステムの構築を進める。』
施策として、
『> コンテンツ海外展開促進事業【11 億円(11 億円)】
※国際映画祭支援等で文化化庁と共同要求(文化庁「創造活動・クリエイター等育成による国際プレゼンスの強化」に関する取組と連携)
>中小企業等海外展開支援事業【11 億円(8 億円)】(特許特)
>知財経営支援援モデル地域創出事業【3 億円(1 億円)】(特許特)
>独立行政法人工業所有権情報・研修館運営費交付金【121 億円の内数(1116 億円の内数)】(特許特)』

『令和7年度 経済産業省関係 概算要求等概要』( https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2025/pdf/01.pdf )

などの施策が掲載されています。

また、 2025/1/17に、経済産業省が設置した「「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」が公表した、『会社法の改正に関する報告書』(https://www.meti.go.jp/press/2024/01/20250117001/20250117001-b-1.pdfでは、「価値創造ストーリーの構築と実行」に焦点を当てた会社法改正の方向性が示されていますが、
「価値創造ストーリー」は、まさに知的資産経営の主要部分であり、コーポレートガバナンスや株主を含むステークホルダーとの対話などの面から、知的資産や知的財産に関連する施策にも影響を与えるものと思われます。

なお、文化庁の予算要求資料『令和7年度 概算要求の概要』( https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/yosan/pdf/94105201_01.pdf )
の中でも、無形文化財やクリエイターの育成と支援、模倣品対策などの面から、知的財産の保護・構築支援に関する施策が掲載されています。

このように、知的資産・知的財産に関する施策は、これらの資産の構築のためのクリエイター等への支援や特許出願等知的財産権取得の支援等に加えて、それらの知的資産・知的財産を国家や企業の競争力向上や産業育成に活用するための支援の双方が2025年度についても数多く実施される方針であることが窺えるかと思います。


なお、近年注目を浴びている生成AIを始めとするAIの進化と普及に対する知的財産関連の政策動向については、以下の特許庁の資料などでも課題と捉えて検討している様子が窺えるため、今後の施策への反映についても要注目と考える次第です。

『AI技術の発達を踏まえた特許制度上の適切な対応
産業構造審議会知的財産分科会 第51回特許制度小委員会 令和7年1月17日』( https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/tokkyo_shoi/document/51-shiryou/02.pdf )


また、標準化に関する施策として、経済産業省は、『標準の利用側から標準の手動側へ』と銘打って、日本の国際競争力向上のために、企業と大学等が共同で実施する研究開発について、標準化と知的財産を一体的に活用する戦略(オープン&クローズ戦略)の策定・活用を促進するための計画認定制度として、「特定新需要開拓事業活動計画認定制度」( https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/katsuyo/ocean_project/index.html?a8=SG_fMGlctJRwyBCNcORwb7BF_QQMn7gYq8ID78Ich2aRpD_KsDAgzJ_KUwhDgn_ShG.BtV_0fVbLxs00000003166005%3Fwtime%3Fwtime%3Fwtime )を新規創設しており、

企業・大学等の共同研究開発におけるオープン&クローズ戦略セミナーの開催に加えて、この認定を受けることで、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助言を受けることができる支援策などを実施しています。


2.「知的財産推進計画2025」策定の動きからみる今後の方向性

 上記の、2025年度の政策に加えて、更に中長期の知的財産関連の方向性を、例年5月~6月に内閣府 知的財産戦略本部から公表される「知的財産推進計画」の2025年度版「知的財産推進計画2025」の策定の動きに関する資料から見てみると、

昨年2024年の10月に知的財産戦略本部 知的財産戦略推進事務局から公表された『「知的財産推進計画2025」の検討に向けた論点(参考資料)』 (https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2025/dai1/siryou4.pdf
では、
『グローバルで進展する変化を取り込み、知財で未来社会の価値創造をリードする「知的創造サイクル」(「IPトランスフォーメーション」)を検討する必要があるのではないか』
との課題や、
『知的創造サイクルを巡る将来の環境変化』
として、

『第一に、創創造・イノベーションの担い手となる人材は、中長期的にみて、減少していくことが想定される。
(中略)
第二に、将来にわたって革新的な技術の進展が想定される。
(中略)
第三に、グローバル市場の成長の取り込み。我が国の国内市場は頭打ちとなる一方で、グローバル市場は成長が見込まれる。』
などの想定を挙げ、
これらの想定の裏付けとなる調査事例などとともに、
『①中長期的課題、②国際標準戦略、③クールジャパン・コンテンツ産業戦略)
の具体的な論点の中で、特に、2025に向けた検討において力点を置くべき点』

『「知的財産推進計画2025」の検討に向けた論点(参考資料)』 (https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2025/dai1/siryou4.pdf

に付いての議論を行っていることが記載されています。

その中でも、中小企業の海外市場展開の貢献度が高いドイツを参考とすべきとの指摘や、中小企業に不利な知財制度・システムの改善の提案なども掲載されていますので、技術やコンテンツなどの知的資産・知的財産を持つ中小企業への期待の高さと支援の必要性から、
今後、スタートアップに限らず、中小企業全体について、
以前のブログトピックス『中小企業の知財保護政策にみる知的資産の重要性』でもご紹介した、2024年10月に中小企業庁から公表された以下の「知的財産取引に関するガイドライン)」のような、支援策が出される可能性が窺えるかと思います。

『知的財産取引に関するガイドライン・契約書のひな形について』
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/chizai_guideline.html

また、2025年12月16日付けで公表された『知的財産推進計画2025に向けた取組等について』(経済産業省のHP)https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiteki_zaisan/fusei_kyoso/pdf/026_04_00.pdfが公表されており、
この中では、
日本の競争力の現状として、

『 ・ 環境変化や主要国動向を踏まえて知財戦略を推進するも、日本の競争力は長期的に低落傾向
・ グローバル化とデジタル化への遅れが顕著な課題
・ コンテンツ産業やクールジャパン関連産業は大きく発展。日本の国家ブランドや魅力は世界トップクラスに
・ 他方、グローバルでの収益拡大については課題であり、知財マネジメント高度化の必要性』

『知的財産推進計画2025に向けた取組等について』(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiteki_zaisan/fusei_kyoso/pdf/026_04_00.pdf

を課題として挙げ、今後の知財戦略の方向性について、

『国内外の社会課題の解決を図る「新たな知的創造サイクル」の構築』を掲げて、
『創造人材の強化・ダイバーシティの実現
知財・無形資産投資の促進
国際的に求心力ある制度・システムの実現
グローバル市場の獲得』

『知的財産推進計画2025に向けた取組等について』(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiteki_zaisan/fusei_kyoso/pdf/026_04_00.pdf)

の4項目について施策例を記載しています。

また、
『AIの利活用による知的創造サイクルの加速化』
も主要論点として記載されていることからも、
今後、生成AIを始めとするAIの発達と適用先の拡大に対して、知的財産制度の対応を急ぐ動きが進むものと改めて感じています。


3.中小企業の知的資産と知的財産の保護・支援政策と、中小企業自体も受ける規制の把握と予測を事業計画に活用する

以上、駆け足で、かつかなり大雑把に2025年度の知的資産・知的財産分野の国レベルでの政策の動きを見てきましたが、

昨年11月に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス保護法)のように、中小企業も義務を負う側となり得る法制度もあり、

チャンスとリスク双方の面から、中小企業に関わる知的資産・知的財産分野の施策動向を把握しておく必要性は増しています。

研究開発や事業展開はある程度の期間を要するため、知的財産・知的資産関連政策の動きをその背景も含めて把握し、2025年度だけでなく、自社の中長期の事業計画に反映する重要性が高まっていると考える次第です。

御社は、この分野の政策動向についてどのような情報収集を行っていらっしゃるでしょうか?

なお、中小企業庁や特許庁の中小企業向けの施策や、フリーランス保護法が中小企業に与える影響については、以下の本ブログトピックスもご参考になれば幸いに存じます。

『中小企業の知財保護政策にみる知的資産の重要性』

『特許庁のコンテンツを知的資産の取得と活用の面から見てみる』

『「フリーランス保護法」に考える、働き方の多様化が中小企業に与える影響』


【今日のまとめ】

・2025年度も、中小企業の知的資産・知的財産の構築と保護を支援する政策実施されることがが各省庁の予算要求内容などからも窺える
・これらの政策の背景となる、国の課題意識や中長期も含めた方針が掲載される「知的財産推進戦略2025」の策定に向けた取り組み状況も、今後の政策動向の把握に有用な情報源となり得る
・中小企業の持つ技術力やコンテンツ力などの知的資産・知的財産への期待は高く、また中小企業がフリーランスなどに対して義務を負う法制度も始まっているため、これらの政策動向の把握と事業計画への反映は重要性を増していると考える次第です。

【今日のまとめ】

最後までお読み頂き、有難うございます(*^^*)!
コメント、ご質問お待ちしております(^o^)!

#知的財産 、#知的資産 #ビジネス #知的財産推進計画2025 #AIと知的財産

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