"忙しすぎて戦略に手が回らない"人事が、優先順位を間違えている本当のところ
「毎日忙しすぎて、戦略まで手が回りません」
「採用も、研修も、労務も、全部回しています」
「気がつくと、夜の8時、9時になっています」
人事担当者の方から、本当によくいただくご相談です。
人事コンサルタントとして、5,000人を超える面接、数十社の組織支援、4名から100名超への垂直立ち上げを経験してきました。
その経験から、断言できることがあります。
ただし、最初に正直に告白させてください。
私自身も、人事執行役員時代、なんでも引き受ける人事でした。
事業運営まで兼任していた時期もあります。
「全部やります」「全部巻き取ります」が、私の口癖だった時代があるんです。
だから、今、忙しすぎる人事の方の気持ちが、痛いほどわかります。
そして、当時の自分に伝えてあげたいことを、今日は言語化したいと思います。
◆人事が「全部対応」してしまう、本当の理由
少し、深い話をします。
人事が「全部対応」を抱え込んでしまうのは、能力の問題ではありません。
スキルの問題でもありません。
時間管理の問題でもありません。
人事は、構造的に、断れない人が多い職種なんです。
私自身を振り返っても、そうでした。
顧問先の人事責任者の方を見ても、そうです。
人事に向いている方の多くは、こんな性質を持っています。
人から頼られると、断れない。
他人の幸せが、自分の幸せ。
個人の損得で考えずに、動いてしまう。
お世話好きで、誰かのために走れる。
これは、欠点ではありません。
むしろ、人事という仕事に求められる、最も尊い資質です。
だからこそ、人事は仕事を抱え込みます。
「あの部署が困っている」「あの社員が悩んでいる」と聞けば、走ってしまう。
誰よりも、組織のために、動こうとする。
その優しさが、結果として、自分自身を、ぼろぼろにしていきます。
◆忙しい人事には、二種類ある
ここで、一つ大切な前提をお伝えします。
忙しい人事には、二種類あります。
一つ目は、運用だけの人事。
二つ目は、戦略を持った人事。
両方とも、客観的に見れば、同じくらい忙しい。
退社時間も、似たり寄ったりです。
でも、組織にもたらしている価値は、まったく違います。
そして、ここからが重要なのですが、本人が"どちらの忙しさを生きているか"は、自分では、なかなか気づけません。
なぜなら、目の前のタスクをこなしている時、人は皆、自分は仕事をしていると感じるからです。
◆運用だけの人事とは、どういう状態か
正直に言葉にします。
運用だけの人事とは、こういう状態です。
採用するために、求人を作成しました。
研修するために、研修プログラムを発注しました。
評価面談するために、面談シートを準備しました。
退職対応するために、退職届を処理しました。
すべてが、「ために」という言葉で繋がっています。
そして、その先にある「なぜ」を、誰も問うていません。
なぜ、その人材像で採るのか。
なぜ、その研修内容なのか。
なぜ、その評価項目なのか。
なぜ、その人は辞めたのか。
ここを問わずに、目の前のタスクだけを処理し続ける。
これが、運用だけの人事の正体です。
厳しい言い方になりますが、敢えて書きます。
それは、「脳死の状態で、言われたことをやっているだけ」の状態です。
そして、多くの人事の方は、無意識のうちに、ここに落ちていきます。
◆戦略を持った人事とは、何が違うのか
では、戦略を持った人事は、何が違うのか。
たとえば、採用一つを取っても、こんな思考が走っています。
ペルソナは、誰か?
競合他社は、どこか?
競合の強み、弱みは、何か?
私たちは、言葉で、どうポジショニングを取るのか?
ペルソナに刺さるキャッチコピーは、何か?
入社後に活躍する人材の、定義は何か?
採用後のオンボーディングは、どう設計するか?
ここまで考えて、初めて求人票を書き始めます。
研修も、評価も、退職対応も、すべて同じ構造です。
目の前のタスクを処理するのではなく、目的から逆算して、タスクを設計する。
これが、戦略を持った人事の、唯一の違いです。
そして、この思考の差が、3年後、5年後、組織にとんでもない差を生んでいきます。
◆ここで、私自身の告白
ここで、もう一度、私自身の告白に戻らせてください。
私自身、人事執行役員時代、なんでも引き受けていました。
事業運営も兼任していました。
正直、当時の自分は、「全部やれる自分」が、誇らしくもありました。
でも、振り返ると、運用と戦略が、ぐちゃぐちゃに混ざっていたんです。
戦略を考えるための時間が、運用タスクで埋まり、
運用タスクをこなす中で、ふと「これは何のためにやっているんだろう」と思っても、立ち止まる余裕がない。
結果として、私が当時の組織で本当に成すべきだった戦略人事の仕事は、3割もできていなかったと思います。
体調を崩して、執行役員を退任した経験があります。
あの時、本当の意味で、自分が""運用に飲まれていた""ことに、初めて気づきました。
今、戻れるなら、当時の自分に、こう伝えたい。
「全部やらなくていい」
「あなたが本当にやるべき仕事は、もっと少ない」
「"やらないこと"を、先に決めなさい」
◆人事の本当の役割は、「やらないことを決める」こと
ここから、本題です。
人事の本当の役割は、全部やることではありません。
人事の本当の役割は、やらないことを決めることです。
これは、戦略の本質と、まったく同じです。
戦略とは、「やることを決めること」ではなく、「やらないことを決めること」だ、と言われます。
人事の仕事も、同じです。
何でも引き受けてしまう人事は、戦略を持てません。
「私はこれをやる、これはやらない」を、自分の言葉で語れる人事だけが、戦略人事になっていきます。

◆やらないを決めるための、二つの問い
では、何を基準にやらないを決めるのか。
私が、顧問先の人事責任者に必ず投げる、二つの問いを共有させてください。
一つ目。
「その仕事は、事業の未来に直結していますか?」
人事の業務は、突き詰めると、二つに分かれます。
事業の未来を作る仕事と、今日の組織を回す仕事です。
未来を作る仕事は、戦略人事のコアです。
組織を回す仕事は、運用です。
両方とも必要です。
でも、人事責任者であるあなたが、自分の時間の何割を"未来を作る仕事"に使えているか。
ここを、まず可視化してください。
二つ目。
「その仕事は、あなたでなければできませんか?」
人事責任者の方の業務を見ていると、その6〜7割は、他の方でもできる仕事です。
採用の日程調整、研修会場の手配、評価シートの取りまとめ、入退社の事務処理。
これらは、人事アシスタント、外部委託、人事システムでも、十分に回ります。
でも、人事責任者の方が、これらに時間を取られている限り、
本当に「あなたでなければできない仕事」に、時間を使えません。
人事責任者の方にしかできない仕事は、こういうものです。
経営者と、組織の未来の方向性を握る。
事業部の責任者と、要員計画を作り込む。
組織全体の人事ポリシーを言語化する。
採用ペルソナの定義と、ポジショニングの設計。
活躍人材の言語化と、評価制度への接続。
ここに、人事責任者の時間の8割を、注ぐべきです。
◆「断る」のではなく、「役割を再定義する」
ここで、優しい人事の方ほど、こう感じるかもしれません。
「でも、頼まれたら、断れません」
わかります。
私自身も、ずっとそうでした。
だから、こう考えていただきたいんです。
これは、「断ること」ではありません。
「役割を、再定義すること」です。
「私の役割は、こうです」
「だから、これは、別の方にお任せします」
「私は、こちらに集中させてください」
この一文を、経営者と握ること。
それが、人事責任者が、戦略人事に向かう、最初の一歩です。
◆人事責任者の方へ、最後の三つの問い
最後に、三つだけ、問いを残します。
・あなたの今日の業務は、事業の未来に、どれくらい直結していましたか?
・あなたの今日の業務のうち、あなたでなければできない仕事は、何割でしたか?
・あなたは、自分の役割を、経営者と、自分の言葉で握れていますか?
この三つに、自信を持って答えられないなら、忙しさの原因は、業務量ではなく、優先順位の不在の中にあります。

◆人事は、お世話する人ではなく、組織の未来を設計する人
最後に、もう一度。
人事は、お世話する人ではありません。
人事は、組織の未来を、設計する人です。
優しさは、人事の最大の資質です。
でも、その優しさを、目の前のタスクを引き受けることではなく、
「組織の未来に向けて、本当に大切な仕事を選び抜くこと」に、使ってください。
あなたの優しさは、運用に消費されるためにあるのではありません。
あなたの優しさは、組織全体を、より良い未来に連れていくためにあります。
明日の朝、出社したら、まず、こう自問してみてください。
「今日、私が本当にやるべき仕事は、何か」
「そして、やらないと決めるべき仕事は、何か」
その問いから、あなたの人事の仕事は、静かに、確実に、変わり始めます。
ーーー
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
最初はみんな、副業は未経験です。
そこから挑戦して、成果を出す人と、出せない人に分かれます。
成果が出ない人の理由は明確です。
断片的な知識だけで動いているからです。
「どんな課題を解決できるか」の見つけ方も、
「どんな手段が最適か」の設計も、
すべて、構造で理解しなければ、再現性は生まれません。
私はこれまで、
・大手総合人材グループ企業でエリア統括・営業
・Webソリューション企業でマーケティング立ち上げ、採用責任者
・医療ヘルスケア領域で経営コンサル、執行役員
・現在は事業成長×人事戦略の伴走型コンサル
として、企業の採用と評価を、現場で見てきました。
だから断言できます。
副業未経験から月10万円が可能なのは、
「企業側が何を評価しているか」という構造を理解している場合のみです。
ただし、ブログでは、すべてはお伝えしません。
なぜなら、これは断片的に読むものではなく、構造で理解すべき内容だからです。
そして、「採用代行という仕事、
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ただ、
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