【第520回】 Marketing Cloud Next : 誰もが利用可能な無料開発環境が登場
Marketing Cloud Next Growth & Advanced Editions について、2026 年 5 月現在まで無料で利用できる開発環境といえば、Salesforce パートナー向けに提供されている SDO(Simple Demo Org)が実質的な選択肢でした。
そのため、多くの方にとって Marketing Cloud Next は「興味はあるけれど、実際に触れる環境がない」という状況が続いていました。
しかし、ついに誰でも利用できる Trailhead Playground に、Marketing Cloud Next Developer Edition が登場しました。

機能面では Marketing Cloud Next Advanced Edition(上位エディション)相当 の環境となっており、Marketing Cloud Engagement では実現されなかった「誰でも利用できる Marketing Cloud の Developer Edition」がついに提供されたことになります。
現在は、以下の Trailhead から利用を開始できます。
利用する際の注意点
現時点では、いくつか制限があります。
メール送信は利用できない
利用期間は 1 回につき 3 日間限定
これらは Trailhead Playground という環境の性質を考えれば、ある程度やむを得ない制約と言えるでしょう。
とはいえ、Marketing Cloud Next を実際に操作できる環境が一般公開された意義は非常に大きいと思います。
大きな前進
これまで、
✅「環境がない」
✅「機能をテストできない」
✅「どこから始めたらいいのかわからない」
という理由で学習や検証を進められなかった方も少なくなかったはずです。
今回の Developer Edition によって、
UI を自由に操作する
各機能を実際に触って確認する
Marketing Cloud Next の実践的な経験を積む
といったことが、誰でも行えるようになりました。
Marketing Cloud Next を学びたいと考えていた方にとっては、まさに絶好の機会です。
しかも、この機能を利用する利点として、
Playground 作成開始から 1 分後には利用を開始できる
Data 360 や Marketing Cloud のインストールをスキップできる
という点があります。
とにかく素早く実装に取り組めますので、パートナーの方でもこちらを選ぶ利点が多いです。
ぜひこの機会に、Marketing Cloud Next の探索を始めてみてください。
私自身も、Trailhead Playground でどこまで検証できるのか、どの機能が利用可能で、どの機能に制限があるのかを実際に試してみたいと思います。
一応、データグラフなども問題なく機能することは確認済みです。Summer '26 が反映されれば、AMPscript なども試せるようになるはずです。

個人取引先の環境を試すのにも好都合
Marketing Cloud Next コンサルタントであれば、お客様の環境でいきなり設定や機能を試すのではなく、まずは別の環境で検証したいという場面が多いと思います。
そのようなときに役立つのが、この Trailhead Playground です。
特に、私がこの Playground をよく利用するのが、個人取引先(Person Accounts)を使った検証です。
個人取引先は、一度有効化すると無効化して元の状態に戻すことができません。そのため、普段使っている検証環境で気軽に有効化するには少しハードルがあります。
一方、この Playground は 3 日間で利用できなくなる一時的な環境です。そのため、「個人取引先を有効化して試してみたい」といった、環境に永続的な変更を加える検証にはむしろ好都合です。
Marketing Cloud Next の機能を気軽に試すための「使い捨ての検証環境」として、うまく活用することをオススメします。
以下に個人取引先の有効化の方法を掲載しておきます。
有効化の設定方法
1. 設定を開き、オブジェクトマネージャーから「取引先」を選択します。

2. レコードタイプを選択します。

3. 新規をクリックします。

4. 続いて、法人取引先用のレコードタイプを作る必要があるので、レコードタイプ名に「Business Account」と入力して、先へ進みます。

個人取引先用のレコードタイプは個人取引先を有効化した際に、自動的に生成されます。
5. 次のページは検証目的の場合は、適当な 1 つを選択して、そのまま保存してください。

6. 続いて、設定 > Person Accounts を検索し、① の View Org Impacts をクリックします。

7. 「個人取引先を有効化する際の注意点」についてよく読んで、チェックを入れて「続ける」をクリックします。

個人取引先を有効化する際の注意点とは
個人取引先(Person Accounts)は、一度有効化すると無効化できません。
また、有効化によって組織にいくつかの影響があります。代表的なものは以下です。
・ 個人取引先は内部的に 取引先(Account)と取引先責任者(Contact)の両方で構成されるため、両方のストレージを使用する
・ 個人取引先は、取引先階層や取引先責任者階層には含められない
・ 個人取引先を作成・編集すると、取引先のワークフロールールが実行される
・ 個人取引先の利用をやめた場合でも、個人取引先由来の Contact 項目が取引先のリストビューやレポートに引き続き表示される
特に重要なのは、有効化後に元へ戻せないという点です。有効化する前に、関係者と影響範囲を確認したうえで実施することが推奨されています。
8. すべての準備が整ったら、個人取引先を有効化します。

9. 個人取引先が有効化されました。

プロファイルへの個人取引先レコードタイプの割り当て
個人取引先を有効化した後は、個人取引先を利用するユーザーのプロファイルに、個人取引先用のレコードタイプを割り当てる必要があります。
10. 設定 >「プロファイル」から「システム管理者」を開き、「レコードタイプの設定」で取引先(Account)を編集します。

11. 個人取引先(Person Account)のレコードタイプを利用可能に変更し、個人取引先をデフォルトレコードタイプとして設定します。

個人取引先(Person Account)のページレイアウト設定
続いて、デフォルトの個人取引先のページレイアウトには、取引先責任者の「Email」項目が存在しません。これを追加する必要があります。
12. オブジェクトマネージャーで Person Account を選択し、ページレイアウトを選択します。

13. Email をキャンバスにドラッグアンドドロップします。

14. 保存します。

新しい個人取引先レコードを作成する
15. 一度、ログアウトして、再度ログインし、取引先のレコードページで新規をクリックします。

16. すると、個人取引先として、連絡先を登録できるようになります。追加した Email がいることも確認します。

活用できる学習リソース
Marketing Cloud Next を学ぶためのリソースも、ここ数か月で大きく充実してきています。
Agentforce Marketing Workshop
最近、Salesforce 公式の Agentforce Marketing Workshop サイトが正式に一般提供(GA)となりました。
デザインが刷新されただけでなく、コンテンツ量も大幅に増加しており、Marketing Cloud Next、Data Cloud、Agentforce 関連の学習コンテンツが数多く公開されています。
Marketing Cloud Next、Salesforce Personalization、Data Cloud を学習している方には特におすすめです。
The Agentic Marketer(TAM)
Salesforce も公認している海外コミュニティの中で最も活発な MCN コミュニティです。
最新情報や実践的なノウハウが共有されているため、ぜひ Slack コミュニティにも参加してみてください。
Arthur Backouche さんのブログ
Marketing Cloud Next や Data Cloud に関する深い技術情報が数多く公開されています。
実践的なユースケースや検証記事も多く、非常に参考になります。私の書く長~い記事より、簡潔に書かれていて読みやすいです。
いかがでしたでしょうか。
現在、Marketing Cloud Next のエコシステムは急速に成長しています。
学習コンテンツやコミュニティリソースは継続的に拡充されており、開発環境へのアクセスも以前と比べて格段に容易になりました。
そして今回の Trailhead Playground 版 Developer Edition の登場により、Marketing Cloud Next を始めるためのハードルは過去最低レベルになったと言ってもよいでしょう。
ぜひこれらのリソースを活用しながら学習を進め、Marketing Cloud Next の可能性を体験してみてください。

今回は以上です。
