【第241回】 Data Cloud : Marketing Cloud スターターデータバンドル 解説
Data Cloud と Marketing Cloud の接続について
Marketing Cloud を Data Cloud に接続することで、Marketing Cloud 内のデータを Data Cloud にインポートできます。

この接続時に、以下の 2 種類のデータを選択することが可能です。
データエクステンション(Data Extension)
スターターデータバンドル(Starter Data Bundle)

データエクステンションについて
データエクステンションはカスタムで作成されたものが多いので、どのような内容であるかは、皆さんの方で既に把握済みかと思います。
スターターデータバンドルについて
一方、Data Cloud が自動的に構成するスターターデータバンドルは、この記事を通じて、その内容を把握して、必要に応じて接続してください。
※ 以前は、Marketing Cloud Engagement からのデータ接続は有料でしたが、2025 年 8 月 12 日以降は無料になりましたので、データストレージを気にしなければ、基本的には接続する方針でよろしいかと思います。
Data Cloud へのデータ連携の概要
データストリーム と DLO(データレイクオブジェクト)の作成
Data Cloud では、Marketing Cloud のデータを取り込む際、各スターターデータバンドルに対応するデータストリームおよびデータレイクオブジェクト(DLO)を 自動作成 します。
DMO(データモデルオブジェクト)へのマッピング
DLO の作成後、DMO へも 自動的にマッピング されます。ただし、すべての項目がマッピングされるわけではありません。ここで、DMO にマッピングされる項目が、後のセグメントや計算済みインサイトなどで利用されるようになるため、自動的に DMO にマッピングされるデータが何であるかを把握して、それが本当に必要であるかを見極めましょう。
3 つの主なデータカテゴリ
スターターデータバンドルは、以下の 3 つのカテゴリに分類できます。
「連絡先」関連のデータ
「ジャーニー」関連のデータ
「エンゲージメント」関連のデータ
各データストリームの更新頻度について
Marketing Cloud スターターデータバンドルのデータストリームの更新頻度も押さえておきましょう。これは対象の オブジェクトカテゴリ によって異なってきます。
プロファイル、その他:1 日 1 回、フル更新が実行されます。
エンゲージメント:1 時間に 1 回、更新/挿入が実行されます。
インサイト(SFMC Einstein Email Scores のみ):1 日 1 回、更新/挿入が実行されます。元データ(Marketing Cloud 側)は週に 1 回しか更新されません。
連絡先関連のデータ
この連絡先関連のデータでは、購読者キー、メールアドレス、属性データを取り込みます。
① SFMC Subscriber(カテゴリ:プロファイル)
「すべての連絡先」の「連絡先キー」を取り込むためのオブジェクトです。
Subscriber Key:連絡先キー(PK)
Party Identification ID:PersonIdentifier_MCSubKey_[Subscriberkey]
Party Identification Name:固定値「MC Subscriber Key」
Party Identification Type:固定値「Person Identifier」
※ 「Contact Key」と「Contact Id」との関連付け が含まれています。
この「Contact Key」と「Contact Id」との関連付け とは Contact Key ○○○ の Contact Id は △△△ であるといった感じのものです。この関連付けの一覧は、現在 Marketing Cloud では取得できないので、役に立つ場合があります。例えば、データビュー「_PushAddress」は Contact Key が取得できず、Contact Id しか取得できないことが知られています。
② SFMC Contact Point Email(カテゴリ:その他)
「すべての連絡先」ではなく「すべての購読者」の「購読者キー」「メールアドレス」「メールドメイン」を取り込むためのオブジェクトです。
Subscriber Key:購読者キー(PK)
Email Address:メールアドレス
Email Domain:メールドメイン
Is Primary Email Address:固定値「1」
③ SFMC Ent Profile Attribute(カテゴリ:プロファイル)
「すべての購読者」に登録されている「属性」項目や「プリファレンス」項目を取り込むためのオブジェクトです。
Subscriber Key:連絡先キー(PK)
Party Identification ID:PersonIdentifier_MCSubKey_[Subscriberkey]
Party Identification Name:固定値「MC Subscriber Key」
Party Identification Type:固定値「Person Identifier」
カスタムされた顧客属性(First Name、Last Name など)を持っている場合は、手動で DMO とのマッピングを行う必要があります。
※ HTML Email プリファレンスは連携されません。
重要な注意点:
Marketing Cloud 側で 属性の名前を変更した場合は、取り込みが「失敗」します。連携後は、極力 Marketing Cloud 側で属性名をせず、新しい属性を作ってください。どうしても名前の変更が必要な場合は、Marketing Cloud 側で、再度「古い属性名で」属性を作ってあげることで、マッピングが再開し、取り込みエラーが解消します。
ジャーニー関連のデータ
このジャーニー関連のデータでは、メール送信のジョブやジャーニービルダーの構成要素を取り込みます。
④ SFMC Campaign(カテゴリ:その他)
Marketing Cloud のクラシック機能である「キャンペーン」のプロパティ情報です。
ID・・・キャンペーン ID
Name・・・キャンペーン名
Start Date・・・通常は NULL
End Date・・・通常は NULL
Created Date・・・キャンペーンが作成された日
Modified Date・・・キャンペーンが変更された日
※ Is Active はマッピングされていません。Is Active が「0」は、削除された過去のキャンペーンを示します。
■ SFMC のキャンペーンに関する FAQ は以下をご確認ください。
⑤ SFMC Email Publication(カテゴリ:その他)
メール送信の「ジョブ」単位のレコードです。データビューの「Job」を連想してもらえれば分かりやすいと思います。Email Publication DMO にマッピングされます。
ID・・・ジョブ ID
Name・・・送信者名
From Email・・・送信メールアドレス
Created Date・・・ジョブが作成された日
Modified Date・・・ジョブが変更された日
上の項目のみ DMO にマッピングされていますので、以下の項目は必要に応じて手動でマッピングが必要です。
Email ID・・・メール ID(アセット IDではありません)
Email Name・・・メールの定義名(日本語だと文字化けします)
Email Name 2・・・メールの定義名(日本語でも文字化けしていません)
Send Time・・・送信実行日
Subject Line・・・メールの件名
Email Pre Header・・・メールのプリヘッダー
⑥ SFMC Email Template(カテゴリ:その他)
Content Builder に格納されている「メール」のプロパティ情報です。Email Template DMO にマッピングされます。
ID・・・メール ID(アセット IDではありません)
Email Name・・・メールの定義名
Email Subject・・・メールの件名
Asset Type・・・固定値「EmailTemplate」
Created Date・・・メールが作成された日
Modified Date・・・メールが変更された日
⑦ SFMC Journey(カテゴリ:その他)
Journey Builder に保存された「ジャーニーのバージョン 」ごとのデータを保存しています。データビューの「Journey」を連想してもらえれば分かりやすいと思います。Market Journey DMO にマッピングされます。
ID・・・ジャーニーのバージョン ID
Name・・・ジャーニーのバージョン名
VerionID・・・ジャーニーのバージョンの ID
Created Date・・・ジャーニーのバージョンが作成された日
Modified Date・・・ジャーニーのバージョンが変更された日
上の項目のみ DMO にマッピングされていますので、以下の項目は必要に応じて手動でマッピングが必要です。
Version Number・・・ジャーニーバージョンの数字
Description・・・ジャーニーバージョンの説明
Status・・・ジャーニーバージョンの現在のステータス
Original Definition Id・・・ジャーニー ID
Last Published Date・・・最終公開日
※ 通常、ジャーニー ID は、ジャーニーバージョンが「1」のジャーニーバージョン ID と一致します。
⑧ SFMC Journey Activity(カテゴリ:その他)
Journey Builder に保存された「ジャーニーアクティビティ 」ごとのデータを保存しています。データビューの「Journey Activity」を連想してもらえれば分かりやすいと思います。Market Journey Activity DMO にマッピングされます。
ID・・・ジャーニーアクティビティ ID
Name・・・ジャーニーアクティビティ名
Journey ID・・・ジャーニーバージョンの ID
Created Date・・・アクティビティが作成された日
Modified Date・・・アクティビティが変更された日
Name が NULL の場合、詳細不明の場合がありますが、Type Name を確認することで、情報が補完されます。
※ Winter '26 で SFMC Journey Activity Run が追加されました
エンゲージメント関連のデータ
このエンゲージメント関連のデータでは、配信後のユーザーの行動データや配信の結果データを取り込みます。スターターデータバンドルが有効化された時点で、過去 90 日分のみが取り込み対象 となり、その後は差分で蓄積されます。

エンゲージメントデータは DMO に、様々な項目がマッピングされるため、以下のヘルプで詳細をご確認下さい。データビューにも存在する Is_Unique が必要な場合は、カスタムでマッピングする必要があります。
⑨ SFMC Email Engagement Send(カテゴリ:エンゲージメント)
データビュー「Sent」に相当するデータが取得できます。
⑩ SFMC Email Engagement Open(カテゴリ:エンゲージメント)
データビュー「Open」に相当するデータが取得できます。
⑪ SFMC Email Engagement Click(カテゴリ:エンゲージメント)
データビュー「Click」に相当するデータが取得できます。
⑫ SFMC Email Engagement Bounce(カテゴリ:エンゲージメント)
データビュー「Bounce」に相当するデータが取得できます。
⑬ SFMC Email Unsubscribe(カテゴリ:エンゲージメント)
データビュー「Unsubscribed」に相当するデータが取得できます。
⑭ SFMC Email Complaint(カテゴリ:エンゲージメント)
データビュー「Complaint」に相当するデータが取得できます。
ここからは Einstein Engagement Scoring 周りのデータになります。
⑮ SFMC EES Email Snapshot(カテゴリ:その他)
このデータは 「購読者キー」ベース で構築されており、Marketing Cloud の 「Einstein MC Predictive Scores」データエクステンション に現在格納されているメールアドレスと「SFMC Contact Point Email」 に登録されているメールアドレスを JOIN で紐づけたものです。
紐づけが成功した購読者に限定して、その Einstein エンゲージメントスコア をリスト化しています。これにより、各種セグメントやインサイトで購読者キーベースで使用できるようになります。
⑯ SFMC Einstein Email Scores(カテゴリ:インサイト)
このデータは、Marketing Cloud の 「Einstein MC Predictive Scores」データエクステンション の更新履歴を保持しています。
「Einstein MC Predictive Scores」は週に一度評価が行われ、そのたびに最新の購読者データで上書きされ、過去のデータは削除されます。
一方、この SFMC Einstein Email Scores では、削除された過去のデータも履歴として蓄積しており、過去分のレコードも保持されます。
注意事項
SFMC Einstein Email Scores は「インサイト」用データであり、DMO には自動的にマッピングされていません。
Einstein Engagement Scoring は、従来「メールアドレス」ベースで評価されるため、購読者キーには代表的な一つの購読者キーが格納されています。そのため、購読者キーでマッピングを行わないよう注意してください。このデータは、セグメントなどで使用するものではありません。
Created Date が最新のレコードは、現在の Marketing Cloud の「Einstein MC Predictive Scores」に格納されているデータを示しています。
いかがでしたでしょうか。
私の印象としては、スターターデータバンドルとは、 Marketing Cloud の標準機能である「データビュー」と「Einstein Engagement Scoring」を Data Cloud 内に提供するもの であると認識しています。
SFMC EES Email Snapshot に関しては、Marketing Cloud 標準では存在しませんが、SQL を使えば作成することは Marketing Cloud においても取得可能ですので、このスターターデータバンドルでなければ取得できないデータと言えば、SFMC Subscriber で取得できる「Contact Key」と「Contact Id」の関連付け くらいかと思います。参考にしてください。
補足情報
Einstein Engagement Frequency(頻度)のデータ
このデータが Data Cloud に必要な場合は、データエクステンションに格納する方法を以下で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
特定データストリームの接続解除について
一部のデータストリームのみを接続解除する方法については、以下のヘルプ記事をご参照ください。詳細な手順が記載されています。
今回は以上です。
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