「古蓮町大運動会」第九話 年代別ベストメンバーリレー前編
最終種目となり、各地区テントの応援も白熱の上に白熱を重ねるほどだ。
それが僕を一層緊張させる。
スタートは60代以上女子。
僕が知っている人は次の2人だ。
稲見A パーマ屋さん
稲見B お菓子屋の女将さん
→稲見の年代別リレー常連奥様たち
他は……分かんない。
「位置について……ヨーイ……」
パーン!
一斉にスタート!
"スピードの稲見、さすがだ!1、2スタート!川林A、本町Bがそれに続く展開!しかし、1位から6位までほとんど差はない!そのまま第二走、60代以上男子にバトンが渡ったぁ!"
60代以上男子注目選手
稲見A 小学校の校長先生
→体育の先生から校長になった体育会系
稲見B 町の医師
→往診でいつも自転車を爆走させる脚力を走りにも生かす
本町A 谷東 甚一:谷じぃ
→70を超えても走力は60代
川林A 錦 時雄:錦じぃ
→時計店店主。そんなに速いわけではない。
「うおっしゃああああ!」
"谷じぃの咆哮!現在先頭稲見A、2位稲見B は変わらずだが、5位だった本町Aの谷じぃが、川林Aの錦じぃをかわして3位まで上がってきたぁ!"
校長と
チャリ先生に
追いつかん
吠えて注入
ワシの魂!
谷じぃ叫びの短歌
「バトンに魂乗せるぞぉぉぉ!イケェェ肉屋ぁぁぁぁ!」
"第三走、40代以上女子にバトンが渡るぅ〜!"
40代以上女子注目選手
稲見A 小畑 恵
→40代に入ったばかりの生産組合の星。
本町A 肉屋のおばさん
→自分を『オレ』と言う "オレっ子"。馬力は折り紙付き。
お母さんの走り、おにぎり作る手速さを足に移した感じ。
細かいピッチで足が高速回転してる!
肉屋のおばさんが持ってるバトンが、揚げ物をすくう時のすくい網に見えるのはなぜだろう。
"稲見A、少し抜けたか? 3位の本町Aが、2位の稲見B に並びかける!4位以降も僅差で続く〜!第四走へバトンタッチ"
40代以上男子注目選手
稲見B 浅越 八郎
→実は足も速い豪快おじさん。
本町A 電器屋さんの幸夫さん
→粘りが信条の電器屋さん
川林B チアおじさんリーダーの服屋さん
→ダンスで準備運動は万全か?
「グワッハッハッハァァァ!!」
"稲見B、浅越八郎。豪快だが意味不明な笑い声で稲見A に迫る!本町A、電器屋の若旦那、稲見B の後ろについて離れない!……っと? 現在6位の川林B!あははは!なんでその格好?"
チアリーダーの格好をしながら爆走する服屋のおじさん!
5位の本町Bにくらいついて行く!
現在の順位(僕の知ってる人)
1 稲見B 八郎おじさん
2 稲見A
3本町A 電器屋のおじさん
4川林A
5本町B
6川林B チアおじさん
うわぁぁ……僕は稲見A。
ヤバい!もう来ちゃうぅぅぅ。
でも、おじさんに言われた作戦を実行するだけ!あとは……走るだけ!
小学生女子にバトンが渡った!
僕の稲見Aは、セッチーの友達のなっちゃんだ。
本町Bはセッチー。
川林Bはみーちゃん。
よし!やるぞー!
"稲見A、稲見Bを抜き返しトップへ浮上!本町B、川林B、共に川林Aをかわして4位、5位へ浮上した!"
本町B 東條 雪那:セッチー
→目標 今度は靴が脱げないようする
みーちゃんがすぐ後ろにいる。
でも、それは気にしない。
もう一つ、順位を上げて次につなぐ!
川林A 迫沼 美森:みーちゃん
→秘密兵器勘違いが新たな必殺技を生む。
セッチーに追いつきたい!
よーし!新必殺技!
「商品前出しホコリ取りフットワーク!」
やぁぁぁぁ!
"川林Aの迫沼美森、何かを叫んだが順位は変わらず!スピードも変化なしぃぃぃ!"
ええ!毎日の店番で鍛えたのにぃ!
"そのまま小学生男子にバトンタッチ!……ああああ!稲見A小畑琉、これはどうしたことだぁ?"
稲見A 小畑 琉:リューチン
→八郎おじさんの秘策とは?
なっちゃんは足が結構速い。
僕は早めにスタート!
コーナー近くまでリードをとって……
トップスピードでバトンをもらう!
"稲見A、なにふり構わぬ奇策に出たぁ!小畑琉のバトン受けのうまさを利用し、弱点である走りの部分を最小限にする作戦だぁ!"
よし!うまくいった!
おおおおお!
稲見テントから地鳴りのような歓声が響く。
"華麗なバトンパス!稲見A圧倒的リードを奪ったぁ!"
でも、後ろからの足音が気になるよー!
早くゴールしたいぃぃぃぃ!
本町A 谷東 大和:やまにぃ
→今度こそ曲芸はしないぜ!
リューチン、すげっ!
ちょっとずるいけど。
稲見も必死だな。
よーし、俺は走りで勝ってやるぜ!
"本町Aの谷東大和、稲見Bを抜いて2位浮上!稲見Aには届かない!そのまま20代以上女子にバトンが渡る〜!」
現在の順位
1稲見A
2本町A
3稲見B
4川林A
5本町B
6川林B
本町B 谷東 登子:とこねえ
→堅実な走りと谷じぃ譲りの気合で勝負!
このままではまずい!
最低でも4位に押し上げなければ!
「うりゃァァァァァァ!」
"上位はそのままだが、下位争いが熾烈だ!5位の本町B、谷東登子。谷じぃ張りの雄叫びで順位を一つ上げたぁ!"
その時の琉たちの反応。
「とこねえ……壊れた……」
"そのまま20代以上男子にバトンが渡る!ジャンケンで決めた川林2チームが下位に沈んでいる!当然の帰結か?"
しかし……まさかこの時、川林の逆襲があると誰が思っただろう。
ふざけたチア衣装を着た若い細身の男。
川林Bの乾物屋の息子が波乱を巻き起こすこととなるのである……色々な意味で。
"稲見Bがバトンの受け渡しにもたついている!その間に本町Aが3位に上昇!そして川林Aも……いや、川林Bだ!ずっと最下位だった川林Bが怒涛の追い上げぇぇ!"
川林B 乾物屋の息子
→20歳を過ぎたばかりの若い走力が爆発力を発揮!でも格好はチアのまま。
「乾物屋の息子さんなんて言うか……ね。プッ」
「あら、ホントだわ。ププッ」
走りが速いのに、なぜか笑いが巻き起こっていた。
「乾物屋さん、チア衣装の下にちゃんとアンダースパッツ履いてる〜」
みーちゃんも笑っていた。
スパッツ履いてても別におかしくは……
ん?なにあれ!
「スパッツの後ろ、ブタさんの刺繍!ウケる!!」
セッチー大爆笑。
「あの人、さっきおならしたとき『ブタが鳴いた』って言ってたぜ」
やまにぃもヒーヒー言って笑っていた。
うまいなぁ。
座布団一枚!
そしてとうとう闘いは、一番速い男女へと引き継がれるのだった。
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