「古蓮町大運動会」第十話 年代別ベストメンバーリレー 後編
"さぁ、レースも大詰め!各チームの足自慢女子にバトンが渡るぅ!ここからは一周だぁ!"
バトンが渡った順(僕、琉が知っている人)
1稲見A
2本町A
3川林B
4本町B(真生姉)
5稲見B(澄子おばさん)
6川林A
「本町!こっからだぁぁぁ!」
「稲見!まくれまくれぇぇぇ!」
鳴り響く本町・稲見の応援。
「フレーフレー!」
川林テントからも大きな声が聞こえてきた!
今度は学ランを着ている人が前にいる!
……って、あれ……
みーちゃんのお母さん〜〜!!
「か・わ・ば・やシ」
字余りにしないようにムリヤリ『シ』をねじ込んでるぅぅぅ!
「お母さんカッコいい!」
みーちゃん、大喜びしてるし!
あれ?レースに出てないチアおじさんの一人……
みーちゃんのお父さん〜〜!
しかもみーちゃんのおばあさんまで踊ってるぅぅぅ!——なぜか古蓮町音頭を。
"最高潮の盛り上がりの中、選手たちが躍動するぅぅ〜!"
本町B 谷東 真生:真生姉
→本町のブレーンにしてエース。
このままなら本町が優勝だ。
しかしまだわからない。
稲見の去年MVP、澄子さんが後ろ。
でも私は負けない!
"本町B、闘将谷東真生、川林Bを抜いて3位浮上!2位の本町Aも射程に捉えたぁ!速い速い!……あっ!"
えっ……後ろから……風?
"うおおおー!稲見B浅越澄子!バックストレートで大外から本町B谷東真生を風のようにかわす〜!谷東真生が闘将なら、浅越澄子は風神かぁ?"
稲見B 浅越 澄子
→40を過ぎても衰え知らずの去年MVP
な……んなの?
このスピード!
……でも、負けるわけにはいかないんだからぁぁぁぁ!
"抜かれてもなおついて行く、本町B谷東真生!2位以下の順位は大きく変動している〜!"
※
本部前 川林Bアンカー 三千里カケル
この調子だと川林Bは5位で来るな。
そして4位は本町A……あの人だ。
風野高校の神崎さん。
チラッと見たら……あれ?こっちに来る?
「三千里カケル。名前は聞いている」
神崎さんに話しかけられた!
「俺も知っています。神崎 剛健さん」
すると神崎さんは、俺の傍を通り過ぎながら言った。
「お前——自分のケツで走ってるか?」
えっ……
※
"アンカーにバトンが渡るぅ〜!トップは依然稲見A!浅越澄子の活躍が光った稲見Bが2番手!谷東真生の本町Bが3番手だぁ!"
アンカーのラインナップ(順位順)
1 稲見A 小畑 武
2 稲見B 生産組合長の息子
3 本町B 東條 秋生
4 本町A 神崎 剛健
5 川林B 三千里カケル
6 川林A チアおじさんの中で速い人
"4位以降は少し差が開いたかぁ?しかしまだわからな〜い!"
現在1位 稲見A 小畑 武
とにかく1位を守り抜く!それが俺の使命だ。
若くてイキのいいのが後ろにいるが、俺の脚力なら……耐えられる!
"稲見A、速い!早くも逃げ切り体制突入か?"
現在3位 本町B 東條 秋生
武、こうやって一緒に走るの久しぶりだな。
子供の頃以来か?
あの頃、俺はお前に負けたことはなかった。
それは今でも同じだぁぁぁぁ!
「セッチーのパパ速い!もう1人抜いたよ!」
みーちゃん興奮気味!
「やっぱ秋生おじさん速ぇぇ!でもリューチンのお父さんも速ぇぇ!」
やまにぃも目を皿のようにしている。
僕とセッチーは固唾を飲んで見守っていた。
……後ろで巻き起こっている暴風を。
そしてその暴風の対決は、会場全体を巻き込んだ。
現在4位 本町A 神崎 剛健
カケルは俺の後ろにピッタリついて走っている。長距離選手がよくやる "相手のリズムを借りて走る" というやつか。
それは日頃の鍛錬の証。さすがだな。
しかしお前の筋肉のつき方。
ロングスパート型と見た。
そろそろ仕掛けてくる……だろ?
"バックストレート、3位本町Bと4位本町Aの差が急速に縮まっているー!"
現在5位 川林B 三千里カケル
とにかく後ろにピッタリついて走る。だけどスパート勝負になったら勝ち目はない。神崎さんのラスト100はヤバい。その前に……
ん?
体が光に包まれる。
『カケルくん、行ったれぇぇぇぇ!』
ハッ!
造宮さんの声!
力がみなぎってくる!
これは……
"願いをかなえたろか光線feat.都胡弥はん!"
※『ツッコミ神様見聞録』より
いける!!
※
"川林B、三千里カケル、本町Aの神崎剛健を抜いたぁぁ!"
盛り上がる川林テント。
「カケルくん、すごい!すごい!高校生も抜いたよ!」
みーちゃんがピョンピョン跳ねて喜ぶ。
「待って、なにか……違う」
セッチーが真剣な顔でレースを見ていた。
「あの神崎さんって人……これからだ」
やまにぃは完全に2人の攻防に目を奪われていた。
※
"川林B、本町A、第3コーナー突入!すでに2位、3位まで上がっているぞー!"
現在2位 三千里カケル
ゥオン——————————————
な……んだ? この音は?
そして……音が消えた。
周りの音も……。
空気が……重い。
「ヴァアアアアアアアアアアアア!!!!!」
後ろから……何か来る!
ドゴゥゥゥォォォ——ォォォォォォ——ッッッ——!!
横を抜ける風を感じた。
そ……そんな!
次の瞬間、神崎さんの背中が前にあった。
な……なんだ? 何があった?
一瞬で……抜かれた……。
『自分のケツで走ってるか?』
心に浮かぶ神崎さんの言葉。
確かに……今俺は、神様と造宮さんの念に押されてスパートをかけた。
自分のケツじゃなかった。
遠ざかる神崎さんの背中。
……でも……でも……
俺だって、何回もケツ割れてんだよぉぉぉ!!
「うわぁぁぁぁぁ!」
※
"第4コーナー、本町Aの神崎、稲見Aの小畑を捉えた!後ろから川林Bの三千里カケルも怒涛の追い上げを見せる!"
場内大熱狂!
大地が揺れる!
空気が揺れる!
ゴール前の争い!
割れんばかりの絶叫がこだまする!
うおおおおおおおおおお!!
みんなの雄叫びと共に、ゴールテープが揺れた。
「1位……」
「本町Aチーム!」
わあああああああああああ!!
最終結果〜アンカー名
1位 本町A 〜神崎 剛健
2位 稲見A〜小畑 武
3位 川林B〜三千里 カケル
4位 本町B〜東條 秋生
5位 稲見B〜生産組合長の息子
6位 川林A〜チアおじさんで一番速い人
総合得点
稲見 56点
本町 62点
川林 47点
「今年度優勝は本町地区!」
全員の拍手と歓声の中、大会は全日程を終了した。
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