【駐在員の本音】ラーメン一杯20ドルの夜、湯気の向こうに見えた駐在の現実
第45話
はじめに —— 湯気の向こうにあるもの
その夜、どうしてもラーメンが食べたくなった。
一日の終わり、心も体もくたびれた帰り道。日本なら迷わずチェーン店に入って、千円も払わずに温かい丼をすすれる。
けれど、アメリカの街で目にしたメニューにはこう書かれていた。
——「一杯 19.95ドル」
湯気の向こうに見えたのは、ラーメンではなく「駐在員という肩書きの重さ」だった。
日本と同じを期待すると、つまずく
日本で慣れ親しんだ味を求めてしまうのは自然だ。
でもスープはどこか薄く、麺は少し柔らかい。
看板に「Tokyo Ramen」とあっても、実際に経営しているのは韓国系や中国系のオーナーだったりする。
もちろん一生懸命作ってくれているのは分かっている。
けれど、日本の平均的なラーメンを想像してしまうと、どうしても小さな違和感が残る。
20ドルのラーメンは、25ドルになる
アメリカでは「表示価格=支払い金額」ではない。
税金が乗り、さらにチップも求められる。
ラーメン19.95ドルでも、会計時には25ドル近くになる。
日本のワンコイン牛丼が、ここでは3,000円を超える感覚だ。
ただ一杯のラーメンに、財布の中身と自分の立場を考えさせられる。
それでも、すすってしまう理由
不満もある。違和感もある。
けれど、ひと口すすった瞬間、なぜか心が軽くなる。
——「ああ、日本の味だ」
完璧ではなくてもいい。
ここに来て初めて、「食べることは思い出につながっている」と気づいた。
高いラーメン代も、駐在生活を象徴する小さな通行手形のように思えた。
まとめ —— ラーメンは駐在の縮図
ラーメン一杯20ドル。
高すぎる、と笑われるかもしれない。
けれど、この一杯には「価格差」や「味のギャップ」だけでなく、異国で暮らすリアルと、小さな救いが詰まっていた。
きっと数年後には、あの高いラーメンを懐かしく思い出すだろう。
駐在生活は、そういう「小さな違和感」と「小さな安心」の繰り返しなのだ。
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