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【駐在員の本音】美容院は“安心料”──3倍の値段でも、日本人のハサミを選んだ理由

第42話

赴任してから3か月。
社外の人に会う機会もほとんどなく、生活の立ち上げに追われていた僕は、自分の髪の毛のことなんて気にしていなかった。

ある日、洗面所の鏡をのぞいて、ようやく気づいた。
「……長すぎる。」

アプリで探して、思い切って予約したローカルの美容院。
店内に入ると、シャンプーの香りとドライヤーの熱気が漂うなか、美容師は笑顔で言った。

「初めてアジア人を切るんだよね」

その一言に、心臓が一瞬止まった。
怖気づいた僕は、思わずこう答えてしまった。

「髪をすく程度でいいです」

――しかし、鏡に映った自分は、ため息が出るほど無残だった。


安心を求めてたどり着いた答え

もう二度と同じ失敗はしたくない。
そう思って探し当てたのは、“日本人美容師”のいる美容院だった。

そこでは日本語でオーダーでき、黒髪や直毛にも慣れている。
仕上がりに安心できるのは間違いなかった。

ただし、値段はローカルの美容院の3倍以上。
カットするたびに、財布の中身までスッキリする。

だから僕は、割り切ることにした。
カットの間隔を延ばす。
日本にいた頃は1.5か月に一度だったけれど、今では3か月に一度。
「安心」を選んだ代償は、伸びすぎた前髪と、クレジットカードの請求書に残った。


髪型ひとつに潜む“異国で生きる感覚”

髪型なんて、ただの見た目。
けれど、異国に住むと、それが「文化の違い」や「安心へのコスト」の象徴になる。

駐在生活は、こうした小さな決断と折り合いの積み重ねだ。
そして今日もまた、伸びてきた髪を見ながら考える。

次は、ローカルで挑戦してみるか。
それともまた、日本人美容院に“安心料”を払うか──。

…あるいは、キャップを深くかぶってごまかすか。


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