英語が遠い。 イザベラ、ごめん。
海外旅から離れていると、色々支障は出てくるのだが、私にとって結構大きい問題の一つは、英語から離れていることだ。
留学とか英会話スクールなどで英語をマスターした訳ではない私は、受験英語と洋楽やアメリカドラマの英語だけで何となく出来上がった脳を持って旅に出て、常に旅先での英会話が実践の場だった。
20日間くらいの旅だと、異国の空港に着いた時に早口の英語に少し慌てるところから始まり、宿のチェックイン、レストランやバルでの注文なんかはいつもの繰り返しなので割とスラスラ出るんだけど、同室の異国のバックパッカーや、バルの隣の席の人なんかから、「どこから来たの?」という会話から集中タイムが始まる。
単語単語単語でそれなりに必死に伝えて食らいついていき、目の前で英語を喋っている人の口癖なんかが耳に残り始めて脳がフル回転しだす。
この人、めっちゃ「depends on」って言うやん、
この人、めっちゃ語尾に「you know」って言うやん、
この人、めっちゃ「exactly 」の言い方カッコいい、
この人、めっちゃ「probably 」って言うけどmaybeとの違いとは?帰ってから調べよう、
この人、「I think so」「I don’t think so」「I hope so」だけで会話成立させてるやん。
などなど。シンプルなことから、もっと長い言い回しまで、まるでAIのように相手の口癖や表現を吸収していく。そして自分のものにしてマネして使っていくと、何となくカッコよく話せているような気がして、ご機嫌Englishになっていく。
20日後にはそれなりに使える表現が貯まっていって、何となく文章で英語を喋れるようになっていき、旅の間にグググーンとレベルアップしていくような錯覚をして、知り合った旅仲間とも長時間、英語で語り合えるようになり、「また会おうね」と約束して、英語を操れる人の顔をして日本に帰る。
帰ってきてから、旅の話を聞いてくる何人かの人に「言葉通じるん?」と聞かれたら「え?ああ、英語やけど。」と、さも当然ペラペラですわよ、な顔を匂わせて答えたりする。
しかし。
そこから、毎日、1秒ごとに一気に頭から英語が消えていく。映画「エターナルサンシャイン」みたいに誰かが私の脳内に記憶を消しに侵入していると思う。(この映画大好き)
いや、英単語などは残っているが、口からスラスラ英語が出る機能が消えていく。旅仲間と英語でメッセージのやり取りを続けるが、英文が出るのに時間がかかるようになっていく。
消えないでー、私の英語脳。
行かないで、お願い。
それでも日常に飲まれ、どんどん英語が遠ざかっていく。
なんとか英語を話す習慣を続けようと思ってオンライン英会話のNative campを数年前に始めたが、いかんせん、私は何事もコツコツと続けられない人間なので、秋以降、やっていない。
旅で実際に喋る方が身につくしね、とかなんとか自分に言い訳して、サボっている。
それでも英語脳がゼロになる訳ではなく、ある程度は維持されるので、早めに次の旅に出て、繋ぎとめるような、そんな繰り返しだった。
ちなみにスペイン語のduolingoはゲーム感覚なので遊び半分で毎日続けられているから、スペイン語の単語の方が今は先に頭に浮かぶ。一つ入れると一つ出ていくスタイルの脳みそなので英語がどんどん出ていっているようだ。
そして今。
海外へ旅に出られないせいで、英語が私の中のむちゃくちゃ遠い場所、銀河系へと消えつつある。
旅仲間とのメッセージのやりとりも、Covidの話題ばかりで、みんなに今の日本の状況を聞かれるが、日本語でも説明が難しいのに、それを英語にするのが非常に億劫になってきている。
メッセージをやりとりしている相手と私は、本当に一緒に旅をしながら英語でコミュニケーションを取ってたのだろうか?本当に恋に落ちたり別れたりしたのだろうか?私の妄想(吹き替え)だったのではないか?
信じられなくなっていく。
この10年、こんなに海外に行かないことがなかったので、英語と距離ができてしまい、遠く遠く感じる。
英語も、旅で知り合った大切な友達のことも、旅での思い出も。何だかすごく遠い。
それがとても悲しい。
2年前のフランスのルピュイの道を歩いて旅をしていた時に、知り合って一緒に過ごしたイザベラから新年の挨拶と長文のメッセージが先月来ていたのに、私は返事をしていなかった。
友達のオランダガールズや他の旅仲間は、フランクな感じに短めのメッセージがくるので、返事をしやすかったのだが、ボルドーに住むイザベラがくれるメッセージはいつも長文でくれるので、こっちから送る返事も長文になるから、すぐに返せなくて、そのまま何となく時間が経ってしまい、返事をせず2月になってしまった。
昨日、彼女から「心配してる」とメッセージが来てしまい、とても悲しかった。
本当に毎日毎日、イザベラになんて返事書こうかな?って考えていたのに、本当に送ろうと思っていたのに。送らなかったら一緒だよな。やろうと思っててしないのは、ただやらなかったのと同じ。心配させてしまって、自分が情けなくなった。
イザベラのことは本当に大好きで、同年代の女性として、結婚や子供を持つこと、パートナーのこと、働くこと、旅のことなど、夕方から毎日飲みながら延々と話し合って笑い合って過ごした。一緒の部屋で眠り、朝ごはんを一緒に食べて。一緒に過ごしたのはたった1週間未満だったけど、私にとってはとても大切な友達。ボルドーのワインを見るたびイザベラを思い出すし、イザベラのいるフランスは大丈夫だろうかとニュースを見るたびに思う。
日本語で書くnoteならどんどん言葉が出てきてスラスラ書けるのに。
英語が遠い。
私がもしも口下手で、文章も全然浮かばない、口数も言葉数も少ないおとなしい日本人だったらそうは思わなかったのに。
こんなにも日本語では長文になるタイプで、どちらかというと友達とは長時間喋りまくるタイプの私にとって、英語では言葉数が少なくなるのがとてももどかしい。
イザベラだって英語は母国語じゃないし、時々フランス語の単語が混ざってたりするけど、それでも英語でメッセージを送ってくれている。それに、コロナが落ち着いたらイザベラ夫妻で日本に遊びに来たいと言ってくれている。
また、英語で楽しく話せるのだろうか。色んな意味でその日がいつになるのか、叶うのかが分からない。
とりあえず、即、単語と短文を並べまくって、イザベラに謝った。元気だということ、フランスのニュースを見るたびにイザベラを思っていること。私は毎日元気に働いていること。岐阜を旅して雪にまみれたこと。うまく伝わればいいな。
久しぶりにオンライン英会話を再開させようかな。
直接イザベラや旅仲間とテレビ電話をすればいいんだけど、シャイなもんでテレビ電話ができないし自信も今はない。
イザベラやオランダの友達と再び会って話す日のために、英語を取り戻したい。
旅での実践がまだまだ先になりそうなので、コツコツと何かをやることが致命的にできない私だが、少しだけ頑張ってみようか。
新しい自分になろうと思うとどう考えても今更無理なので、細く長く飽きずに続けることができる自分を、自分の中で、どこかに潜んでないか探している。
探さずにまずやれよと言う自分の言葉を聞き流しながら、探している。きっといるはずだと思うので、見つけたら取りかかる。

イザベラが送ってくれた、クリスマスホリデーで旅したPyrénées, vallée du Louron, lac Génos-Loudenvielleの写真。
フランス語の発音が全く分からないが、彼女はいつも写真と一緒に地名を書いてくれるので、Google mapで検索してみるのが楽しい。
私が見た奥飛騨温泉の景色に少し似ているなと思ったので、私も、Gifu,Shin hirayu onsenと添えて、雪景色の写真を送った。
彼女もきっとGoogle mapで検索するだろう。
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