AIを投資の相談相手にする|バフェットの考え方を仕込んだ|AI活用 進化の旅 #3
銘柄も金額も、ここには書きません。それでも書きたいのは、"何を買うか"より先に、"どう考えるか"をAIに教え込んだ話だからです。
投資は、なんとなく「分かる人だけの世界」だと思っていた。
チャートをみて、ニュースを読んで……。始める前から、情報の多さに圧倒されていた。しかもそれだけ情報を集めても、結局「買うべきか、待つべきか」を決めるのは自分ひとりだ。誰かに相談しようにも、投資の話を気軽に聞ける相手なんて、そういない。
情報が多すぎて、逆に何も決められない。ぼくの投資は、長いことそんな状態で止まっていた。
きっかけは、健康管理でうまくいった「型」だった
第2話で書いた通り、ぼくは健康管理にNotebookLMとGemを使って、三日坊主から抜け出せた。「褒めてくれる係」を自分で仕込んだら、続かなかったことが続くようになった、という話だ。
あれをやってみて気づいたのは、この「NotebookLMに資料を登録する→Gemを作る→相談する」という型は、健康管理専用のものじゃない、ということだった。ようは、自分が読み込ませたい"考え方"さえあれば、どんなテーマにも応用できる。
投資についても、正直なところ判断基準はずっと曖昧なままだった。専門家でも何でもない、ただの素人だ。だったら、ここもAIにサポートを頼んでみようと思った。半年前、2026年2月ごろのことだ。
尊敬する投資家の"頭の中"を、AIに読み込ませる
投資で迷っていた一番の理由は、自分の中に「判断の軸」がなかったことだと思う。ニュースやSNSの意見に流されて、そのつど右往左往する。だから欲しかったのは、値動きの予想じゃなくて、ぶれない判断基準だった。
そこで、NotebookLMに新しいノートブックを作って、こんな言葉を打ち込んでみた。
「ウォーレン・バフェットの投資哲学」
「長期投資の極意」
特定の本を1冊読み込ませた、というよりは、こういうテーマの言葉を入力して、NotebookLM上に関連する内容をまとめてもらう、という感じだ。ここに加えて、テクニカル分析やファンダメンタル分析(株価チャートの読み方や、企業の業績から価値を判断する考え方)の資料も合わせて登録した。
これで、ぼくの手元に「長期目線で考える投資家の頭の中」を凝縮したノートブックができた。
「投資相談役」のGemを作る
NotebookLMのノートブックの作り方や、Geminiで新しいGemを立ち上げる手順そのものは、第2話(健康編)で書いた流れとまったく同じだ。手順を知りたい方は、そちらを参考にしてほしい。
情報源には、さっき作ったNotebookLMのノートブックを指定する。あとは、役割と、やってほしいことと、前提条件を指示文で決めるだけだ。実際にぼくが入れている指示文は、こんな感じだ。
## Role
知識の「長期投資の極意」からウォーレンバフェットならどうするかという観点で提言してください
## Tasks
・ユーザが指定した銘柄を以下いずれかの判定を行う
①購入推奨
②様子見
③売却推奨
その際、該当銘柄の事業概要、昨日の終値、上記判定の理由を列挙する
・ユーザが銘柄を指定しない場合は、現在購入推奨の銘柄を10銘柄あげる
その際、該当銘柄の事業概要、昨日の終値、理由を列挙する
## Prerequisites(前提条件)
・「知識」に追加されている「チャートとファンダメンタル」から判断する
・昨日の終値から分析する
・理由、推奨する要因は「知識」に追加されている情報を元に提言する細かい設定を詰め込んだわけじゃない。長期投資の考え方をベースに、目の前の話に意見をくれる相手、というイメージで作った。
使い方は、週1回、あくまで「参考」として
Gemができてからは、気になる銘柄があるときに、そのGemに聞くようにした。頻度としては、だいたい週に1回くらい。毎日相談しているわけじゃない。
ここは大事なところなので先に断っておきたいのだけれど、このGemの答えを鵜呑みにしているわけではない。あくまで「長期目線で考えるとどう見えるか」という参考意見の一つとして聞いている。最終的に判断するのは、いつも自分だ。
そして、これも先に書いておきたいこと。当然ながら、このGemに聞いたからといって、いつも都合よく上がるわけではない。実際、短期的に下がっている銘柄もあれば、短期的に上がった銘柄もある。大事なのはそこで一喜一憂しないことで、「この会社が10年後どうなっているか」を考えるようになった、というのが実感に近い。長期の考え方を仕込んだからといって、これで必ずうまくいく、という話では全くない。そこは誤解のないようにしたい。
変わったのは、結果じゃなくて「態度」だった
このGemを作って一番大きく変わったのは、実は投資の成績そのものじゃない。**自分の"態度"**だった。
以前のぼくは、値段が下がるとすぐ不安になって、「今のうちに売ったほうがいいんじゃないか」と焦っていた。逆に少し上がると、「もっと買い増ししたほうがいいのか」とそわそわする。結局、感情に振り回されて、短いスパンで売ったり買ったりを繰り返していた。
でも、長期投資の考え方をベースにしたGemに相談するようになってから、そのたびに返ってくるのは「短期の値動きより、長期でどうなるかを考えましょう」という趣旨のアドバイスだった。何度も同じ視点を聞かされているうちに、いつのまにか自分の中に、その視点が根づいていった。
気づけば、値段が下がっても、慌てて売ろうとは思わなくなった。逆に少し上がったからといって、焦って買い増ししようとも思わなくなった。「これは長期で持つと決めたものだから」と、いったん立ち止まって考えられるようになった。
頻繁な売買は、確実に減った。前より、よく待てるようになった。
投資の世界に詳しい人からすれば、当たり前のことかもしれない。でも、情報に振り回されて右往左往していたぼくにとっては、これはかなり大きな変化だった。判断基準を、AIに"仕込んで"おいたことで、ようやく自分の中にも判断基準ができた、という感覚に近い。
さいごに
投資は分かる人だけの世界だと思っていたし、今でも自分が「分かった」とは思っていない。それでも、尊敬する投資家の考え方をAIに読み込ませて、繰り返し相談することで、自分なりの——焦らない、という判断基準だけは持てるようになった。
もちろん、これは魔法の道具じゃない。短期的に見れば下がっている銘柄だってあるし、この方法を使ったからといって、これから先も必ずうまくいくとは限らない。あくまで、「考え方の軸」を自分の中に持つための一つのやり方として、参考にしてもらえたらと思う。
——次回は、この「NotebookLM×Gem」の型を、また別のテーマで使った話を書こうと思う。
(つづく)
この連載は「AI活用 進化の旅」として続いています。
いいなと思ったら応援しよう!
気に入ってもらえたら、コーヒー一杯分くらいの応援をもらえたら嬉しいです。次の話を書く励みになります。この記事は noteマネー にピックアップされました

