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看護管理を、もっと楽にするために

この記事は、冊子『AI時代の「学習する看護組織」〜おしゃべりがマネジメントを変える〜』(2026年5月発行)の内容を投稿記事の形にしたものです。

私は、大学時代から「他者をケアする人」のストレスに関心を持ってきました。看護師さんたちが、身も心もすり減らしながら、どうにか日々を乗り越えている姿に触れるうちに、「ケアする側の人たちが、少しでも肯定感を持ちながら働けるように、何か貢献できないか?」と思うようになりました。会社を立ち上げてからも、「看護に誇りと喜びを」を理念に掲げ、看護職の皆さんに関わる仕事を続けてきました。

看護管理の領域に関わるようになったのは、現場の看護職が良い環境で働けるかどうかに、看護管理者の影響がとても大きいと感じるようになったからです。看護管理者の教育や支援、看護組織のマネジメントの可視化に取り組むうちに、組織とスタッフの間に挟まれ、相談できる仲間も少ないなかで、へこたれそうになりながらもなんとか頑張っている師長さん・主任さんの姿を目の当たりにするようになりました。自分自身も小さな組織のプレイングマネジャーとして悩むことがあり、「看護管理の仕事にも、誇りと喜びを心から感じられるようにできないか」という思いが強くなっていきました。

2015年の文部科学省委託事業への参画を機に、PDP(Problem-Discovery Process)を開発し、2018年にはマネジメント・コンパス(MC)を考案しました。以来、趣旨に賛同してくださる様々な医療機関の看護部の方々と協働しながら、「学習する看護組織」を目指す取り組みを進めてきました。有志で立ち上げた「持続可能な看護組織を考える研究会」では、施設の枠を越えた学び合いが続いています。

こうした取り組みの考え方とメソッドは、既刊テキスト『学習する看護組織のマネジメント』(部署マネジメント編・看護部マネジメント編)にまとめています。また、2025年2月には『AIがひらく看護管理の未来』という冊子を発行し、対話型生成AIの基本的な性質と、看護管理領域への活用可能性についてお伝えしました。本冊子は、その続編にあたります。前回冊子ではAIの「使い方」が大きな論点だったのに対し、本冊子では、AIの進化によって看護管理の仕事そのものがどう変わりうるのかを論じます。

「看護管理に楽しく取り組もう」「一人で抱え込まずにみんなで助け合おう」——PDPやMCの開発と実践を通じて、私自身もその大切さに改めて気づかせてもらいました。看護管理はもっと楽にできるはずだ、一人で抱え込まなくていい、チームでマネジメントすればいいのだと。実際に、研修を受けた方々からはこんな声をいただいてきました。

「看護管理は『難しく』考えず、『楽しく』取り組むことが、次世代育成につながることがわかった」

「誰かに頼り相談することで、より良い解決策が見つかることを、PDPを通して実感した」

「管理者だけが管理を学び実践するのではなく、チームとしてマネジメントする力について共有し、みんなで試行錯誤しながら活動していくことの重要性を理解した」

こうした声をいただくたびに、手応えを感じてきました。しかし、「PDPや MCは難しい」「自分たちだけでやろうと思うとできない」という声が多かったのもまた事実です。

特にMCチャートは、「楽しく」「やさしく」というところが不十分だったように感じています。「目標設定が一番難しい」「行動計画と目標の区別がつかなくなる」「書いてはみたけど、本当にこれでいいのか自信がない」。こうした声は、研修を重ねても消えませんでした。PDPでは質の高い語りができた人が、MCチャートを自分で埋めようとすると、どうしていいかわからなくなってしまう。

これは管理能力の問題でしょうか。実際にお話ししてみると、いろいろな考えや問題意識を持っている方々ばかりです。それなのに、MCチャートに書くとなるとうまくいかない。管理者の皆さんにシンプルに楽しく管理に取り組んでほしいのに、なかなかそうできない。それはやはり、私たちの支援がまだ足りなかったのだと考えています。

こうしたなか、AIの進化は、ここに突破口を与えてくれそうです。本冊子のタイトルにも含まれているように、自分の思いや気づきを「おしゃべり」すれば、その内容をAIが整理し、言語化する支援をしてくれる。そんなことが、実用レベルでできるようになってきたのです。

この冊子では、私たちがこれまでやってきたことの手応えと限界を振り返り、そこにAIという新しい道具が加わることで何がどのように変わるのかを、できるだけ率直にお伝えします。

なお、本冊子はサービスのご案内ではありません。これからの看護管理がどこに向かうべきか、看護管理者がどうあるべきなのかについて、私たちなりの考えをまとめたものです。

有限会社ノトコード
平林 慶史