61.観察を続けていた私が、再び体調を崩した理由──それでも「観察が無駄じゃなかった」と言えるわけ
観察を始めてしばらくたった頃、実は私は体調を崩し、何年かぶりに抗うつ剤を飲む状態になっていました。
観察をしていたのに、どうして?
そう思う人もいるかもしれませんね。
でも、あのときの私に起きていたことは、「観察がうまくいかなかった」という話ではありませんでした。
観察を始めて、確かに楽になっていた
観察を教わって、やり始めてから4~5日ほど経ったころ、私はふと「なんだか気分が軽い」と感じました。
それまでずっと重たかったものが、少しだけゆるんだような感覚でした。
その頃、A6サイズほどの手帳に、毎日観察したことを書いていました。
気づいたことや浮かんだ思考だけでなく、感情も出たままに書きなぐっていたんです。
書いていると、小さな気づきが生まれたり、少しこころが軽くなったりすることもありました。
観察には、確かに効果がある。
その実感は、はっきりありました。
それでも、私はまた体調を崩した
当時の私は、ある仕事をしていました。
最初はごく短い時間数から始めた仕事でしたが、観察をするようになった頃には、週の勤務時間も負担も、かなり増えていました。
「少し続ければ慣れるだろう」
そう思っていたんです。
でも、実際には慣れることはなく、体調は徐々に悪化していきました。
そして半年ほど経った頃、私はとうとうダウンし、心療内科に通う状態に...。
問題は「観察」ではなく、置かれていた状況だった
今振り返ると、あの仕事量は私にとって明らかにキャパオーバーでした。
周囲の人たちはとても忙しく働いていて、次々と追い立てられるように仕事をこなしていく環境です。
その空気の中にいるだけで、私の気力と体力は削られていっていました。
観察をしていたからこそ、余計にわかったこともありました。
私は、自分に合わない状況の中で、無理を続けていたのだと思います。
私を動かしていた、たくさんの思い込み
観察を続けるうち、私は自分の中にある思い込みにも気付いていきました。
ちゃんとしなければならない
一度始めたことは辞めてはいけない
与えられた役割はすべて果たさなければならない
人にはやさしくしなければならない
こうした思い込みは、数えきれないほどありました。
その根底にあったのは、私が長い間抱えてきた強い恐れでした。
本音や本心よりも、その恐れを中心に据えて生きていたのだと思います。
何十年も積み重ねてきたものが、短期間の観察で消えるはずもありません。
「私はこんなことをしたいわけじゃない」
ある日仕事中に突然、体が自分のものではないような感覚になっていました。
そのとき、頭の中に言葉が流れてきたのです。
「私は、こんなことをしたいわけじゃない」
それは、とても静かな声でした。
でも、はっきりとした言葉でした。
観察を続けていたことで、自分を少し離れたところから眺める視点を、私はすでに持っていたのだと思います。
潰れる前に、やめるという判断ができた
ひとつの仕事が一段落したタイミングで、張り詰めていたものが、ぷつんと切れ、
私は動けなくなっていました。
「これはおかしい」と感じた私はすぐに受診し、その後決めたのは仕事を辞めること。
昔の私だったら、自分ひとりでは通院もできないほどの状態まで無理をしてからでないと、辞めるという判断はできなかったと思います。
でもこのときは、比較的軽い状態で、原因から離れることができました。
観察は、魔法じゃない。でも
観察は、こころに抱えていたものが一気に消えていくような魔法ではありません。
薄皮を一枚ずつはがしていくように、ゆっくりと進んでいくものです。
だから、途中でつらくなることもあります。
それでも、観察を続けていたからこそ、私は「酷い潰れ方をする前に離れる」という選択ができました。
それだけでも、私にとっては大きな変化でした。
辛くても、あと半年なんとか最後までやり通すという選択肢もあったと思います。
ただ、それを選択すると私はどうなってしまうか、容易に予想がつきました。
だって、かつて私がうつ病になり洗面や着替えもままならず、6年近く通院していたあの状態になるきっかけになったのと同じ仕事をしていたのですから。
私は、この職業には就きたくない!と、心のなかでず~っと嫌がっていた仕事に就いていたんです。
人からはなぜ?と思われるでしょうね。
今回は詳細は書きませんが、それこそ私が抱えていた思い込みや恐れのなぜるわざでした。
さらには、「嫌なことはやめる」「始めたものも途中でやめてもよい」という課題をクリアするチャンスでもあったのでした。
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