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🎮寄り道ギルドクエスト#04

※ここは、「帰れない夜」にだけ辿り着ける場所。
その名を――寄り道ギルド。

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📖 ギルドクエスト記録 No.1

依頼:
📜 落とし物を届けてください。

同行者:
ギンコ
ひよこ
風の猫
旅人
(プルちゃん?)

進行状況:
▶ 橋の先

橋の上には、
風だけが静かに流れている。

「……行く?」

旅人が小さく尋ねる。

ギンコさんは、
にやりと笑った。

「ここまで来たら、
行くしかないやろ🤣」

ぷる。

橋の向こうから、
小さな返事だけが返ってきた。

一歩。

また一歩。

橋板が、
小さく鳴る。

ぎぃ……

誰も、
急がなかった。

夜だけが、
先を歩いていた。

* * *

橋を渡りきる。

気づけば、
橋板の軋む音は、
いつの間にか
聞こえなくなっていた。

境界の向こう側は、
思っていたより静かだった。

木々の間から、
月明かりが細くこぼれている。

森の匂いは、
さっきまでと同じ。

それなのに。

湿った土の香り。
葉のこすれる音。

遠くで、
小さな虫が鳴いている。

どこにでもある、
夜の森だった。

なのに、
空気だけが、
少し違っていた。

夜は同じなのに、
音が少しだけ遠く聞こえる。

息を吸うたび、
胸の奥まで澄んでいくような、
不思議な静けさがあった。

「……あれ。」

旅人が振り返る。

橋はある。
川も流れている。

けれど。

まるで
白い霧の向こうに溶けるように霞んでいた。

さっきまで見えていた景色が
どこか思い出せなくなっていた。

「……帰れないかもしれない。」

ギンコさんは、
珍しく笑わなかった。

「……まあ。」

「最初は、みんなそう思う。」

風だけが、
橋の向こうから吹いてくる。

旅人は、
小さく息をのみ、
前を向いた。

「帰れるかどうかは。」

「帰る理由があるかどうかや。」

ひよこさんが小さく頷く。

「ここへ来た人は、みんな帰る理由を見つけています。」

「帰る理由…...。」

その言葉だけが、
静かな森に残った。

森は、
何も答えなかった。

* * *

その時だった。

ぷる。

プルちゃんが、
また止まる。

今度は、
誰かを見つけたように。

その、
冷たくも温かくもない空気の真ん中で。

ふいに、
鼻先をくすぐるものがあった。

──珈琲の、香り。

土と木々の匂いしかないはずの夜の森で、
焙煎された豆の、
深くやわらかな香りが、
一瞬だけ風に乗って、ふわっと通り抜けていった。

「……あれ?」

その香りをたどるように視線を向けると、
木々の隙間に、ぽつんと、ひとつの灯りが揺れていた。

ランタンを持った人が、
ゆっくりこちらへ向き直る。

夜風が、
ローブの裾を揺らした。

灯りが、
旅人たちの足元まで届く。

「…来ましたね。」

旅人は思わず息をのむ。

「……。」

「……。」

「……。」


ギンコさんが、
小さく笑った。

「なんや。
イトさんやないか🤣」

旅人だけが、
きょろきょろしていた。

「……知り合い?」

ギンコさんが笑う。

「せや🤣」

「橋の向こうでコーヒー飲んでる人がおる思たら、大体この人や。」

「そんな頻度なんですか😳」

イトさんは、
静かに頷いた。

手には、
相変わらず湯気の立つコーヒー。

「……そこでコーヒー飲むんですね。」

旅人が思わず呟く。

イトさんは、
静かにカップを見つめた。

「落ち着くんです。」

旅人は、
ランタンの灯りと、
湯気の立つコーヒーを見比べた。
(……この人、何してるんやろ。)

「探し物ですか?」

静かな問いかけだった。

「落とし物を届けに来ました。」

旅人が答える。

イトさんは、
少しだけ考え込んだ。

「落とし物なら……。」

全員が息をのむ。

「交番へ届ければいいのでは?」

「そこちゃうねん🤣🤣🤣」

ギンコさんの声が、
森へ響いた。

イトさんは、
きょとんと首を傾げる。

「違いましたか。」

悪気は、
まったくない。

ひよこさんが、
静かに頷いた。

「その発想はありませんでした🐣」

「そこ納得するんや🤣」

旅人まで思わず笑ってしまう。

張り詰めていた空気が、
ふっとほどけた。

イトさんは、
コーヒーをひと口飲む。

「では。」

静かな声だった。

「その落とし物は。」

もう一度、
ランタンの灯りが揺れる。

「……誰が落としたものなんでしょうね。」

誰も、
すぐには答えられなかった。

夜風だけが、
静かに、
ランタンの灯りを揺らしていた。

答えは、まだ夜の向こうにあるようだった。


* * *

📖 ギルドクエスト記録 No.1

現在位置:
橋の先

クエスト状況:

▶ 境界の観測者と合流

次の目的地:
▶ 不明

同行者:
ギンコ
ひよこ
風の猫
旅人
(プルちゃん?)
イトさん

※橋の先では、
イトさんが今日も静かにコーヒーを飲んでいました。

* * *

橋の先には、

言葉より先に、

灯りが待っている夜もあります

* * *

📖おまけ

観測記録(非公開)

ギンコ:
「やっぱりおった🤣」

ひよこ:
「想定外です🐣」

風の猫:
「……記録にない。
(追記予定)」

※追記:
橋の先でイトさんを確認。
珈琲の香りによる事前認識が可能。



📚  前回の記録

橋の上で足を止めた一行は、
夜の静けさに包まれながら、
境界へと続く橋を渡ります。

寄り道ギルド|ギルドクエスト #03

📜 次の記録

橋の先で出会った境界の観測者。

物語は、さらに夜の奥へ続きます。


🌿 初めて寄り道ギルドへ来た方はこちら
📚 寄り道ギルド|ギルドクエスト #01「この依頼のはじまり」


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