マナー研修で顧客満足度が下がった?──接遇の正解は“お客様の期待値”で変わる
接客応援団アールです。
「接客業のお客様対応力=マナー研修をすればよい」と考える上層部の方も多いのですが、実はもっと奥深いものなんです。
今回は、ある経営者の方からの質問をもとに、接客教育について考えてみたいと思います。
ある社長の素朴な疑問
ある居酒屋チェーンの社長から、こんな相談を受けました。
「接遇研修ってやる意味あるのかな?
知り合いの居酒屋がマナー講師を呼んで研修したら、逆に満足度も客足も下がったらしいんだ。アールはどう思う?」
アールの回答
「それは、マナーを学んだだけで“CS(顧客満足)を考慮した接遇”になっていなかったからではないでしょうか。」
マナーは、いわば社会の共通ルール。
どんな業界でも使える基準点のようなもので、あいさつや言葉づかい、身だしなみなどを共通言語にしてくれます。
初対面の方や相手の価値観が掴みづらいときに、一定の距離を縮める役割を果たしてくれる便利なものです。
でも、それだけではお客様満足を勝ち得ることはできません。
マナーを実際の接遇に生かすには、「私たちのお店ではどう使うか」とお客様に合わせてアレンジする必要があるのです。
実際の現場からの声
以前、直売所の運営会社からこんな相談がありました。
「接客を強化したくて、以前マナー研修をスタッフに受けてもらったけど、現場から反発があったんです。
混雑しているお店で立ち止まって丁寧にあいさつするなんてムリですよって。」
それももっともだなと思う面があります。
だってそのまま使うと、私たちを選んでくださるお客様が求めるものと合わない。
だから実際のお客様をよく知っている現場の人に受け入れられないということも起こります。
お客様の求めるもの「期待値」ってなに?
お客様は背景によって、それぞれ期待値が異なります。
丁寧に対話を楽しみたい時もあれば、とにかく早く対応してほしい時もある。
人はその時々の状況や価値観によって、求める“心地よさ”を選んでいるのです。
お客様の背景によって、求めるもの=期待値は変わります。
たとえばこんな場面です。
Lさんという人がいます。今日一日疲れて一刻も早く寝たい、だから、もう身だしなみなんて気にしないで、疲れたありのままの自分で気兼ねなくサッと食べたいと思って牛丼屋さんを選んだ。
それなのに、丁寧に椅子を引かれて案内されたり、料理の説明なんかあったら…きっと、居心地の悪さを感じるでしょう。
でも、同じLさんが、大切な人の記念日にラグジュアリーホテルのレストランを予約して、おめかしして出かけるなら…
さっき“わずらわしい”と感じた丁寧さが、今度は「非日常の心地よさ」として心に残るはずです。
つまり、接遇の正解はお客様の“期待値”によって変わるのです。

接遇アレンジこそ接客の腕の見せどころ
顧客満足は“自分たちのお客様”を起点に考えるもの。
どんなに正しいマナーでも、自分たちのお客様が求めているものを考慮しなければ、逆にマイナスにもなります。
だからこそ大切なのは、「私たちのお客様にとって心地いい接遇はどんな形か?」を考え、お店ならではの接遇にアレンジすることです。
その後、私がその直売所の研修を担当させていただいた際は、
CSを考慮しながら「私たちのお客様に合うコミュニケーション」をつくる形にしました。
すると、以前は反発していたと聞いていたスタッフの皆さんが「それならできそう!」と笑顔で受講してくださり、
さらに「こんな言い方もいいかも」と現場ならではのアイデアがどんどん出てきました。
結果、お客様満足度も売上も向上したと聞き、“やっぱり現場の知恵ってすごいな”と感じた出来事でした。
小さなあとがき
そんなことを考えている私なので、
「アール先生、一般的な営業にも、販売にも、飲食にも使える内容で研修お願いします」と言われると、
つい心の中で「うわ、出た…苦手なやつ…!」と思ってしまいます(笑)
だって、どのお客様も、どの現場も、それぞれに違うんですもんね。
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