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接客で『お待ちください』はNG?|現場が迷う命令形と依頼形の使い分け

こんにちは、接客応援団アールです。
私は顧客満足を専門とした研修講師を本業とし、様々な業界へお客様対応力の研修を行っています。
今回は「毅然とした」言葉遣いについて、接客現場から上がった質問をもとに書きたいと思います。

店長研修で現場からあがった質問

以前、ある業種の店長を対象に、現場指導力研修を行った際、こんな質問がありました。

強引なお客様の場合、『少々お待ちいただけますでしょうか』ではなく、
『少々お待ちください』と毅然と対応するよう、
新人に指導してもいいでしょうか。

接客現場では、お願いの際には、「~してください」という命令形ではなく、「~していただけますでしょうか」などの依頼形が基本とされていることへの質問でした。


店長の言いたいことを想像すると

その店長は、依頼形でお願いすると「待てない!」と反論されることもあるため、言い切る表現の方がよいのではないかと考えられたのでしょう。
それだけ現場で大変なお客様も対応していることが表れているご質問だと感じました。

ですがそれは、特に新人さんにとって、あまり良い効果を生まないと考えます。

『少々お待ちいただけますでしょうか』
「いいや!待てない!」

とおっしゃる方は、

『少々お待ちください』でも
「いいや!待てない!」

とおっしゃるのではないでしょうか。
結果は変わらないにもかかわらず、お互いの主張がぶつかり合い、感情面での歩み寄りがしづらくなってしまいます。
多くの店長が「確かに!」とうなずいていました。


毅然とした対応とは

おそらく店長のこの質問は「命令形」を使って、言い切りたい!というよりも、
「毅然とした対応が大切!」とお考えなのかなと思いました。
カスタマーハラスメントへの対応でも、「毅然とした対応」という言葉を耳にする機会が増えました。
ですが、毅然とした対応とは、強い口調で言い切ることではありません
相手を尊重しながら、伝えるべきことはきちんと伝えること。
相手の意向にただ流されるのではなく、丁寧でありながら一貫した姿勢で対応すること。
これが毅然とした対応なのです。

では、なぜ接客指導では、「少々お待ちください」ではなく、「少々お待ちいただけますでしょうか」を基本形としてお伝えするのでしょうか。


なぜ接客の基本は依頼形なのか

依頼形は、お客様が選択できる表現です。
私は依頼形のコミュニケーションは、お互いに尊重し合える対等なコミュニケーションだと思います。

さらに「待て」と言われる命令形ではなく、「待ってもらえますか」でお客様自身がYESと決めていただくことに意味があるのです。
待つか待たないかお客様に選択肢がある伝え方は、心理的にも納得度が高まりやすいからです。
人は、自分の自由を制限されたと感じると、反発したくなる傾向があります。
これを「心理的リアクタンス」と呼びます。
例えば、子供に「宿題しなさい!」と言った瞬間に、やる気がゼロになる現象です。
本人も「やらなきゃ」と頭では分かっているのに、「しなさい」と指示された途端、「今やろうと思ってたのに!言われたからやりたくない!」と反発したくなってしまう。

接客現場の現象では、
お客様は、待つとわかっているのに、「お待ちください」ということで、
押し付けられた気持ちになり「いや、待てって、さっきからずっと待ってますけどね!」と反発したくなってしまう。
お客様に決めていただくというアプローチは、相手を尊重していることにもつながるのです。

そして、海外でも、
"May I help you?"(何かお手伝いしましょうか?)
のように、相手の意向を尊重するコミュニケーションは海外でも大切にされているので、日本独自ルールというわけではないのです。


命令形はダメなの?

ですが、命令形は間違えた言葉遣いというわけではありません

命令形は「強いメッセージ」です。
短い言葉で意志を伝え、相手の迷いを断ち切る力もあります。
緊急時や危険時、お客様が判断に迷い疲弊している時などは、強いメッセージで「プロとしてのサポート」につながることもあります。
大事な使い方ですよね。

普段使いにすると「強引」な印象、でもここぞというときは「頼もしさ」を示せるのが命令形。
だからこそ、基本は依頼形でメッセージ性を高めることが大事です。
この使い分けが明確だからこそ、一貫して「毅然とした」印象の言葉遣いとなるのです。


小さなあとがき

もちろん、状況に応じて、どんな言葉を使っても声のトーンや表情、これまで築いてきた信頼関係によって、柔らかく受け取っていただけることもあるでしょう。
ですが、基本形は個人のセンスや経験に頼らずとも、新人さんなど多くの人が再現できる対応が基準です。
接客指導では、現場の人が安心してお客様とコミュニケーションが取れるよう、具体性と納得度を意識して伝えることが大切ですね。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。 よろしければ「スキ♡」、フォローをしてくださると嬉しいです。

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