小学生の放課後の居場所の種類と仕組み解説
放課後児童クラブやこども食堂など……。近年、様々な子どもの居場所の名前を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。今回は、小学生の放課後の居場所にはどのようなものがあるのか、その特徴や違い、仕組みについて詳しくまとめました。
小学生の放課後の居場所にはどんなものがある?

本記事では、小学生の放課後の居場所の種類として、児童館、こども食堂、放課後子供教室、放課後児童クラブ、民間学童、放課後等デイサービス、子ども第三の居場所を中心に紹介します。
すべての子どもが無料で利用できる「児童館」
「児童館について(こども家庭庁)」によると、児童館とは、地域において子どもに健全な遊びの場を提供しサポートすることにより、子どもの心身の健康な発達を促し、情操を豊かにすることを目的としていて、全国に4,259か所あります。
子どもに対して安心して遊べる場を提供することに加え、母親クラブの運営など保護者への支援を行っているのも特徴で、運営は、都道府県や市町村などの自治体と、管理を引き受けた民間の事業者が行っています。
児童館は、原則として0歳から18歳未満のすべての子どもが利用できます。しかし、施設の受け皿が追い付かないことに加え、放課後児童クラブ(学童)が併設されている児童館ではクラブの利用児童が増加し、他の自由来館の子どもが利用しづらいことも多いのが現状です。(今後の放課後児童対策における児童館の役割について(令和4年11月、厚生労働省))
特別なイベントなどでお金がかかる場合もありますが、基本的には児童館は無料で利用することができます。
無料または安価に食事ができるみんなの居場所「こども食堂」
こども食堂は、子どもが無料または安価に食事をとることのできる居場所であり、地域の「みんなの居場所」としての役割も担っています。生活に困窮している家庭の子どもに限らず、すべての子どもや保護者、地域の高齢者なども参加して食事をすることができます。
「2023年度活動報告書(むすびえ)」によると、こども食堂は年々増加しており、全国各地に9,132か所あり、市民活動団体やボランティア団体、NPO法人、個人などが自発的に運営しています。
小学生が自由に参加でき、様々な体験ができる「放課後子供教室」
放課後子供教室とは、小学校や地域の施設を活用した、小学生の安心・安全な放課後の居場所です。学習支援や室内遊び、運動遊びに加え、多様な学びの機会の提供を目的として様々な体験プログラムを実施しているのが特徴です。
保護者が就労しているか否かに関わらず、小学1〜6年生は誰でも参加することができます。参加費は基本的に無料ですが、自治体によっては、年間登録料や保険代、体験活動代がかかる場合もあります。
「放課後児童対策に関する二省庁会議 説明資料(令和5年、文部科学省)」によると、令和5年1月時点で放課後子供教室は全国に17,129か所あることが分かりました。文部科学省管轄のもと、自治体からの委託を受けた民間事業者や地域のボランティアが主体となって運営しており、地域の実情に応じた実施頻度・形態になっています。
共働き世帯などの子どもを対象とした「放課後児童クラブ(学童)」
「放課後児童対策に関する二省庁会議 説明資料(令和5年、文部科学省)」によると、一般的に「学童(保育)」と呼ばれる放課後児童クラブは、共働き家庭などの就労している保護者を持つ子ども、保護者が疾病・介護などによって昼間家庭にいない子どもを対象として、放課後に適切な遊びや生活の場を提供することを目的としています。
放課後児童クラブの運営費は、公立の場合でも自治体からの公費と保護者からの利用料で賄っているため、利用料が発生します。
「令和6年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(こども家庭庁)」によると、令和6年5月1日時点で放課後児童クラブは日本全国に25,635か所あり、子どもの放課後の居場所としては最多になっています。
放課後児童クラブはこども家庭庁が管轄する事業の一つで、運営主体は市町村が運営する公立公営、市町村から委託をされた事業者が運営する公立民営、民間事業者が運営する民立民営の施設があります。
子どもの放課後の居場所として最多の放課後児童クラブですが、利用希望者数に対しての受け皿が十分に整っておらず、待機児童数が増加傾向にあるなどの問題もあります。
民間が運営する、サービスの独自性が高い「民間学童保育 」
民間学童保育とは、小学1~6年生を対象とした、民間の事業者が運営する学童保育で、保護者が支払う利用料金によって運営が行われています。「民間学童保育利用率推計について(2023年3月、一般社団法人民間学童保育協会)」 によると、民間学童は 2,220か所あり、近年増加傾向にあります。
民間学童保育は、利用料金の相場が高い分、延長保育に対応してくれるケースが多いなど、利用上の自由度が高いことが特徴的です。また、子どもの勉強サポートや習い事などのサービス内容も独自性が高いです。
一方で、公立よりも利用料金が高いため、利用できる家庭が限られます。
困難に直面している子どものための「子ども第三の居場所」
「子ども第三の居場所」は学校や家庭以外で、放課後の時間に子どもたちが安心して過ごせる場として設置されています。食事、学習習慣・生活習慣の定着、体験機会を提供しています。
ひとり親世帯や経済的に困窮した家庭の子ども、発達に特性をもつ子どもなど、おかれている状況により困難に直面している子どもたちを主な対象とし、すべての子どもたちが安心して過ごせる居場所として全国に展開されています。子どもたちは基本的に無料で利用することができます。
「子ども第三の居場所」は、学校や地域、企業、専門機関などと連携し、地域全体で子どもを育て支えるコミュニティづくりを担っているのが特徴的です。
「子ども第三の居場所(2024年12月、日本財団)」 によると、子ども第三の居場所は全国に243か所あり、年々増え続けていることが分かります。日本財団が一般財団法人や社会福祉法人、特定非営利活動法人などの事業者を支援する形で居場所の開設・運営を行っています。
障がいや特性のある子どもの居場所「放課後等デイサービス」
放課後等デイサービスとは、児童福祉法に基づく福祉サービスの一つで、障がいのある子どもや発達に特性のある子どもを対象に、放課後や長期休暇などに様々な支援を行っています。
主に、子どもが自分の力でできることを増やせるよう自立支援を行い、障がいのある子どもを持つ保護者の支援や、居場所をつくる役割も担っています。
対象は小学生から高校生(6歳~18歳)までの子どもで、知的障がいや発達障がいなど、医師などから支援の必要性が認められていることが利用の条件となります。
放課後等デイサービスの利用料金は、自治体によって定められており、自治体が発行する受給者証を取得することで、利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスが利用できます。
「障害福祉サービス等の最近の動向について(令和6年11月、厚生労働省・こども家庭庁)」によると、放課後等デイサービスは全国に21,917か所設置されており、放課後児童クラブに次いで多いことが分かります。運営主体は、主に社会福祉法人、営利法人、NPO法人などです。
放課後児童クラブと放課後子供教室が連携してつくる「校内交流型」
放課後児童クラブと放課後子供教室の違い
放課後児童クラブも、放課後子供教室も、どちらも小学生の放課後の居場所ですが、対象者が異なるという違いがあります。
放課後児童クラブが、対象を共働き家庭などの主に就労している保護者を持つ子どもに限定しているのに対して、放課後子供教室は、小学1~6年生のすべての子どもたちが参加することができます。
また、放課後児童クラブの運営費は、自治体からの公費と保護者からの利用料で賄っており、利用料が発生する一方、放課後子供教室は原則無料で利用することができます。
放課後子供教室では、主に小学校の空き教室を活用して、地域のボランティアが子どもたちの見守りを行うことが多い一方、放課後児童クラブには放課後児童支援員という資格を持った専門の支援員がいることも大きな違いといえます。
また、放課後児童クラブは放課後に適切な遊びや生活の場を子どもたちに提供することを目的としている一方、放課後子供教室は地域交流や多様な学びの機会の提供を目的としており、活動内容にも違いがあります。
校内交流型とは?
放課後児童クラブと放課後子供教室が連携して、同一小学校内等で事業を実施しているものを「校内交流型(一体型)」と呼びます。
共働き家庭などが直面している「小1の壁」「待機児童問題」を解消し、すべての子どもが放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことを目的に、こども家庭庁・文部科学省が、全国の自治体で「校内交流型」の整備を進めています。
「令和6年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和6年5月1日現在」によると、校内交流型は全国に5,660か所設置されています。
校内交流型は、希望するすべての子どもに居場所を提供できること、放課後児童クラブや放課後子供教室などに限らず、同じスペースで子どもたちが一緒に遊ぶことができる特徴があります。さらに、すべての子どもが多様な体験活動に取り組むことができ、地域住民など、多様な大人と交流することができます。

放課後児童クラブの予算は保育園に比べて少ない
保育園は利用者271万人に対し予算が約2兆3000億円(令和6年度)である一方、放課後児童クラブは利用者約152万人に対し予算が約1,398億円(令和6年度)となっています。(「令和6年度保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日、こども家庭庁)」 「令和7年度 保育関係予算概算要求の概要(こども家庭庁) 」「令和7年度放課後児童対策・子ども・子育て支援関連予算 概算要求の概要(子ども家庭庁)」、「令和6年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和6年5月1日現在)」)
放課後児童クラブの予算は保育園に比べると約17分の1となっており、小学生の放課後の居場所整備に十分なリソースを割けていないことが分かります。
放課後児童クラブの需要は年々高まっているにもかかわらず、その重要性や子どもたちの見守りを行う放課後児童支援員の専門性・役割が社会に十分に認知されていないことから、なかなか予算が拡充されないことが課題となっています。

地域に子どもたちの選択肢が広がる多様な居場所を
日本では、小学生の放課後の居場所が、多様なニーズに合わせて展開されてきました。近年注目を集めている「小1の壁」や待機児童問題など、まだまだ問題が残っていますが、放課後児童クラブと放課後子供教室が連携する「校内交流型」を推進するなど、国としての施策も行われています。
今後は、量だけでなく、子どもたち自身が「行きたい」と思える居場所の選択肢を広げていくことが求められています。
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文:コミュニケーションデザインチーム/伊藤
