(実践解説)「プロジェクト発信型英語プログラムProject-based English Program /PEP ©鈴木佑治」(6)...DYOPIE Volume 1, PART 1, UNIT 1の活動: 書き込み型テキスト
表紙写真:『プロジェクト発信型英語Do Your Own Project in English Volume 1』(南雲堂)
はじめに
本シリーズは本テキストVolume 1 & 2に沿い、実践活動について解説、但し、本体内容の記載なし
今回から前回紹介した表紙写真の『プロジェクト発信型英語Do Your Own Project in English/DYPPIE, Volume 1』(南雲堂)に沿い、筆者授業活動につき諸々解説します。また、筆者が本テクスト出版以後教育現場、また、教育アドバイスの場で、特に最先端AI機器を念頭に入れ気づいたことを入念に話したいと思います。全て筆者の現場での直接体験です。
尚、テキスト本体の内容そのものの記載は一切ありません。おおまかな活動内容を紹介するだけです。
本テキストVolume 1 & 2はPEPの「魂」
従って実際にテキスト本体を手元に置き具体的なSteps内容の詳細を追った方がより理解納得いただけるかと存じます。「プロジェクト発信型英語プログラムProject-based English Program(PEP)」は本テキストに記されたStepsごとの活動を実際に踏まなければ不可能です。本プログラムのコンテンツそのもので「魂」、プログラムを作っても「魂」が宿らなければ、それ無しでの実施は似て非なるもの、PEPを語るに足りません。あまり大した成果は見込めません。PEP実施には本テキストVolume 1 & 2が不可欠であることを重ねてお断りいたします。[注1]
本テキスト各ユニットの構成
PART 1 そしてPART2 に振り分け収録されています。本シリーズではそれらUNITsにつき重要度に鑑み濃淡をつけて実例付授業解説をします。UNITsが進むにつれ学生が到達目標に向けて週単位で成長する姿を想像していただければと存じます。英語は教室の外にあるとの考えから、プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)では、プロジェクト活動の大部分は「クラス外ワーク」として行われます。教室に一堂に会する授業での「クラスワーク」は、外でのプロジェクト活動で「獲れた」物事をお互いに見せ合い意見交換・発表の場です。
よって本テキスト2冊の各UNITは「クラスワーク」としてのSteps活動が収録され、それらを通し互いのプロジェクトの進捗状況を発表し合い、意見交換して情報を得、今後の展開にどう生かすか熟慮し、次週までどのように進めるか計画を立てます。「クラス外ワーク」では次週までの空き時間利用し計画を実行します。次のUNITの「クラスワーク」では、まず、グループに分かれて前回の「クラス外ワーク」の成果を英語で発表します。これが大雑把な流れです。
「クラスワーク」のステップにはプロジェクトする上でのリサーチ方法やプレゼンテーション、ディスカッションに必要な英語表現も学びます。Volume lのPARTlとPART 2の30のUNITsを通し相当の知識と英語スキルを学び、自分独自のプロジェクトが出来上がっていきます。
本テキストは「書き込み型テキスト」、書かないと身につかず忘れる

多くの大学英語テキストは、文法・語彙表現・内容の注釈付き英語の読み物が収録していますが、本テキストにはそのような読み物は一切ありません。聞くもの、読むものすべては、学生さんが個々の関心事に基づいて集めたものです。クラスに30人いたら毎回30通り違います。Volume 1,PART1の15 UNITs、15回の授業だけで、相当量の聞く資料、見る資料、読む資料を持ち寄ります。通常の大学読解テキストの数倍の量になり、しかも、自分の趣味関心事ですから、みなしっかり理解してきます。
「読み」だけではなく「書き」の方も相当量です。「クラスワーク」の各ステップでは気づいたこと、アイデアからコメント、他に人のプレゼンテーションを聞きながらメモも取ります。4~5のStepsそれぞれにMemorandumsがついており、

それぞれ下線部余白にぎっしり書き込みます。それが毎授業4個も5個もあります。そして「クラス外ワーク」ではプロジェクトの進捗状況、その他色々な関連事項をまとめたりメモします。みな英語です。テキストには相当量の英語が書き込めれます。これはそのまま卒業後の思い出にもなるわけです。
筆者は本テキストを元々オンラインで考えていましたが、2008年着任の大学のインフラ事情で断念せざるを得ませんでした。しかし、怪我の功名とはこのことです。一学年400名全員が本テキストを購入し上記のようにテキストに書き込みました。
脳神経学を勉強すれば分かりますが、言葉は聞けるが書けない、書いたものが読めないという症状を呈す ディスレクシア(dyslexia)という失語症(aphasia)の症例がたくさんあります。書いて言葉を覚えることがヒトの生活にいかに重要かを示唆しています。筆者もここからヒントを得て思考の神経学を勉強しました。ご関心の読者は僭越ながら以下の2冊に詳細を綴りましたのでお読みいただければ幸いです。
Exploring D. F. Benson's Neurology of Thinking: A Search for ...
Exploring Antonio Damasio’s Descartes’ Error: Emotion ...
また、筆者はアメリカで多くの初等教育児童ががスペルが書けず苦労している姿を見ました。英語は発音とスペルが乖離しているからです。コンピュータを使えばコンピュータが間違っても正字に直してくれます。漢字もそうです。実際に手で書かなければ手続き記憶に残りません。
筆者が教鞭を執った立命館大学の上記両学部の学生さんたちは、1年春学期本プログラム受講前のTOEIC平均点は380点くらいでした。それが2年修了までに平均で450点近くに伸び、中には、800点、900点を取る人が出たのは、筆者も含め他の若手の先生たちもとにかく書かせたからであると思っています。書くことにより、例えば、animate, inanimate, animation,animal, etc.がバラバラではなく接頭・接尾辞による音韻形態ルール(morphophonemic rules)で繋がっていることが分かるのです。生命科学、薬学の学生は専門分野でラテン語オリジンの難しい用語覚えなければならず必要な知識です。興味ある読者は別稿
「英語の語彙を増やそう。「語形成について(その1)・・・接尾辞|鈴木ゆうじ N.Yuji Suzuki」
「英語語彙を増やそう。語形成について(その2)・・・接頭辞|鈴木ゆうじ N.Yuji Suzuki」」
をお読みください。英語教授法の一環として使用しました。
ですから、「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」は本書き込み式テキストを使うことは脳神経学的にも意味があることだと確信しています。
筆者自身1970年代アメリカの大学院言語学博士課程でを学んでいた時全ての授業でよくノートを取りました。手で書いて難しい言語学の用語を覚えました。以下はその一例です。60単位全20コマ、note takingが出来ない人は次々と去っていきました。1973年9月に入学した博士課程学生10名中課程を修了しPh.D.を取得したのは筆者を含め3名でした。

その時の体験が「書き込み型テキスト」という発想の原点になっています。PEPではnote takingは必須です。まず手書きをしましょう。その後でデジタル化することを強くお勧めします。
後述しますが、読み、書き、だけではなく、聞き、話しも相当量になります。また、触れます。TOEICのリスニング・セクションのスコアが急激に伸びました。
筆者対象学生、慶應義塾大学SFC、立命館大学生命科学部薬学部、千葉商科大学政策情報学部
また本テキストは英語が好きでできる人も、苦手でできないと思っている人も対象に入ります。基本的には、筆者は後者を対象にしました。1990年創設の慶應義塾大学SFCに移籍した筆者は、加藤寛先生率いるSFC創設準備委員会の同意を受け、環境情報学部約400名および総合政策学部約400名の新入生全員が4月早々TOEFLを受けるようにしました。SFC外国語科目は英語、フランス語、ドイツ語、中国語、マレイ・インドネシア語、朝鮮語、(後にスペイン語とアラビア語)の一つを選択し集中的に勉強できるカリキュラムを編成され、約半分の400人が英語を、残りの400人がそれ以外の言語を選択しました。よってSFCの卒業生は全員英語を履修しておりません。それは現在でも変わっていないと思います。ですからSFC卒業生の全員がPEPを体験していません。その1割弱です。
英語を選択した400人に対してはTOEFLの結果で一番下から
A, B, C, D,E,F,G, H,I,J, K, L, M,N,O, P, Qまで順に30人ずつ振り分けました。上の2クラスは650万点中600点以上であったと覚えています。この下のABCDは450点以下でAに至っては400点以下であったと覚えています。一クラス約30名計120名。数学・小論文受験の学生さん、あるいは、系列校のどこかで英語がすっかり嫌いになってしまった学生さん、今まで英語なんて聞いたことが無い地域からきてlistningが不得手な学生さん(当時はよくあった)、みな、それは利発な学生さんでした。ですが英語に対しトラウマを抱えた人たちばかり。英語が嫌だから他の外国語を選択しようとしたら断れられ更に傷を掛けてしまった学生さん。筆者と他のお二人の日本人専任が担当することになりました。加藤寛先生に直接そうするよ直接お願いされました。[注2]
立命館大学生命科学部・薬学部は2008年創立、ここは両学部併せて1学年400名。ここでは大学全学部が新入生全員と2年生を対象に新学年時の4月にTOEICを受験させておりました。両学部の平均は380点前後であったと記憶しています。数名を除きほぼ全員の平均であったためここではその結果でクラス分けはしませんでした。要は、SFCで筆者らが担当したクラスの学生さんたちとあまり大差ありません。ここはSFCと違い両学部全員がPEPを体験しています。少なくとも筆者在任中の2008年~2014年まではその後は関知しておりません。
筆者は2000年に創設された千葉商科大学政策情報学部で英語教育アドバイザー(顧問)兼非常勤で教鞭を執りました。SFCから移られた加藤寛先生が学長をされお招きいただきました。確か1学年200名程度で筆者は2コマ程担当しました。ここでも筆者の元には英語が大の苦手という学生さんが集まりました。ここも200人中のほんの1割がPEPを体験しました。ただし、2000年から2008年までの期間のみです。その後は関知していおりません。
これらの学生さんが、いかに素晴らしいプロジェクトを行い、みるみる進歩してい行ったか実名を使わずに英語頭文字略称のみで実例として紹介いたします。今回はここまで
Volume 1, Part 1, Unit 1の授業実践の続き、Unit 1の重要性について、筆者の長い留学体験で気づいたことを中心に、日本人が不得手で身に着けるべきスキルをお届けします。
[注1] 問い合わせ先は、南雲堂/郵便番号162-0801東京都新宿区矢吹町361/ 03-3268-2486 / nanundo@post.email.ne.jpです。改めて、テキスト巻末に付された【著作権法上、無断複写・複製は禁じられています。】との注意書きにご注目を。どの書籍にも付されている注意書きですが、筆者には出版業界の悲鳴に聞こえてきます。背景に相当の無断複写・複製が出回っていることが窺われます。最高学府としての大学は全ての教育研究活動において著作権の遵守を徹底しているはずです。筆者は現役時代、最初の授業で学生さんたちと折に触れて何度も共有しましたが、中には購入せずにコピーする学生さんがおり、「君は将来本を出版するかもしれません。それが勝手にコピーされて出回ったらどうしますか?」と問いかけるとすぐ理解してくれました。
[注2]1990年秋学期(当時SFC外国語科目は秋学期から)は10数名の専任、準専任がまんべんとなく上中下レベルを担当しました。確か、1991年の1月に校庭を歩いていると加藤先生に呼び止められました。「鈴木先生、できない子たちの面倒を見てください。できるようにしてあげてください」の一言。そこで同僚の田中繁氏に相談し一番下のABCDを中心にPEPの前身Action, Communication, English (ACE)を作りました。1991年には霜崎実氏も加わりました。ここから何人の学生が巣立っていったことでしょう。帰国子女も叶わないプロジェクトを行い感激させてくれました。どこかで紹介したいと思います。千葉商科大学でも立命館大学でも英語が苦手な学生はできるだけ筆者のクラスにと事務局にお伝えしました。極度の自閉症を抱えた学生さんも素晴らしいプロジェクトをしていました。多様な学生さんがコミュニティーを作っていく様子を見るのは圧巻でした。またお伝えします。
(実践解説)「プロジェクト発信型英語プログラムProject-based English Program /PEP©鈴木佑治」(7)...に続く
(2025年8月24日)
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