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『対夢魔調停局東京支部』第1話

【あらすじ】

ある日、少年は心臓を失った。

重傷の少年:灰渕虎竹はいぶち こたけは、夢魔:銀華ぎんかとの契約で延命するも、それにより『対夢魔調停局東京支部』に所属することになる。
個性豊かな面々と仕事をこなしながら、心臓の行方を探す中で、虎竹は銀華との距離を縮めていく。

ボーイ・ミーツ・ガール……ではなく、
ボーイ・ミーツ・モンスターなファンタジー×サスペンス×ラブコメ。

※異性愛/同性愛要素あり。
※軽度の暴力描写あり。
※出てくる人外は人型中心。



【第1話】

灰渕虎竹(14)(15)高校一年生
銀華  (18)雪女の夢魔
白峰無角むかく(16)調停員
椿   (23)古椿の夢魔。無角のつがい
灰渕虎徹(42)虎竹の父。故人
灰渕輝夜(38)虎竹の母。故人
丹羽千陽たんば ちひろ(39)(40)虎竹の伯母。声のみ
胡蝶  (30・声のみ)
男1  (35)
男2  (30)
男3  (25)
老婆  (65)
参列者1
参列者2
敵1



◯際会自然公園・中(深夜)
   灰渕虎竹(15)、左胸に穴が空いている。
   木に背を預けている虎竹。
   虎竹、口の端から血が垂れている。

虎竹M「馬鹿だなぁ、俺」


◯(回想)電車内(朝)
   人の多い通勤電車。
   座ってスマホを見ている虎竹。
   虎竹、黒いブレザーの制服姿。
   虎竹の前に押し出される老婆(65)。
   老婆に席を譲る虎竹。
   老婆、笑顔で座り、虎竹に飴を差し出す。
   虎竹、会釈しながら飴を受け取る。

虎竹N「はじまりは彼女との出会いだった」


◯(回想)路地裏
   壁に叩きつけられる銀華(18)。

銀華「ぅっ」

   銀華、白い和服に、蝶の髪飾りをつけている。
   銀華を取り囲む大柄な男1(35)、男2(30)、男3(25)。
   男1、男2、男3、黒服を着ている。
   銀華の胸ぐらを掴みあげる男1。
   銀華の首に、黒い金属製の首輪。
   建物の影に、焦り顔で覗いている虎竹。

虎竹M「やばい……絶対やばいって」

   虎竹、震える手でスマホを取り出す。
   銀華が殴られる音。
   虎竹の両肩が跳ねる。
   銀華、片頬が腫れ、鼻と口から血が垂れている。

男1「協力する気になったか?」

   銀華、男1の胸元に血の混じった唾を吐く。
   男1、銀華の首を抑えて、壁に叩きつける。
   腕を振りかぶろうとする男1。

虎竹の声「おまわりさーん! こっち! こっちです!!」

   男1、振りかぶった手を止める。
   舌打ちをする男1と男2。
   男1、銀華から手を離す。
   地面に横たわる銀華。

男2「一旦引くぞ」
男3「こいつはどうします」
男1「後で良い」

   男1、銀華を見下ろして、

男1「どうせ逃げられねぇ」

   銀華、男1を睨んでいる。
   男1、男2、男3、その場を去る。
   銀華、起き上がろうとするが、腕が震えている。
   チェック柄のハンカチを差し出す虎竹の手。
   顔を上げる銀華。
   虎竹、視線をそらしつつ、

虎竹「……すぐに警察呼ぶんで」

   両目を見開いている銀華。
   銀華、一度躊躇ってから、ハンカチを受け取る。
   虎竹、スマホに『110』と打ち込んでいる。
   ハンカチで顔を押さえている銀華。
   銀華、はっとして虎竹の片腕を掴む。

銀華「ダメッ!!」
虎竹「えっ」
銀華「警察はだめ、病院、もっ」

   ふらつく銀華を支える虎竹。

虎竹「危な。ちょっ、大丈夫……」

   銀華、気を失っている。

虎竹「じゃ、ない!」

   眉尻を下げて悩む虎竹。

◯(回想)マンション・エントランスホール(夕)
   郵便受けが並んでいる。
   『灰淵』と書かれた郵便受け。

◯(回想)同・2LDK・玄関(夕)
   フローリング。
   玄関には靴箱と傘、草履が置かれている。
   玄関扉はドアストッパーでわずかに開いている。
   銀華、玄関ホールに敷かれた掛け布団に座り、壁に寄りかかっている。
   チェック柄のハンカチを握りしめている銀華。
   銀華、目を開ける。

銀華「……ここは?」

   虎竹、廊下の方から救急箱を持ってくる。

虎竹「俺の家っす」

   顔をしかめる銀華。
   救急箱を置く虎竹。

銀華「不用心」
虎竹「他に思いつかんくて」
銀華「問答無用で警察を呼ぶか、放置すれば良かったのに」
虎竹「その手が」

   肩をすくめる銀華。
   救急箱から消毒液やガーゼを取り出す虎竹。
   虎竹、銀華の顔に手を伸ばし、手当てをしていく。
   銀華、目を細めて、

銀華「お人好し」
虎竹「自己満なんで」
銀華「ふぅん」

   虎竹、銀華の首輪を見る。
   首輪の脇に鍵穴がある。

銀華「……世話になってて言うことじゃないけど、なんで玄関?」
虎竹「すぐ逃げられる方が良いかなと。お互いに」

   ×  ×  ×
   救急箱を閉じる虎竹。
   銀華、顔にガーゼや絆創膏が貼られている。
   草履を履いている銀華。

銀華「ありがとう」

   立ち上がろうとしている虎竹。
   銀華、虎竹に背を向け、玄関扉に手をかける。

銀華「もう二度と、私に関わらないで」

   出ていく銀華。
   玄関扉が閉まる。
   虎竹、掛け布団を見下ろす。
   くしゃくしゃの二万円が置かれている。

虎竹「……良い人なんかな」

   片膝をついて、お札を拾い上げる虎竹。

虎竹「(はっとして)あ、ハンカチ」

◯(回想)同・外(夕)
   エントランスホールの外。
   銀華、チェック柄のハンカチを見ている。

銀華M「忘れてた……」

   男1、男2の足元。

◯(回想)同・2LDK・虎竹の部屋(夕)
   敷き布団に座っている虎竹。
   虎竹、スマホで通話をしている。
   スマホから丹羽千陽(40)の声。

千陽の声「入学式、行けなくてごめんねぇ」
虎竹「いえ、いつもありがとうございます」
千陽の声「何か困り事はある?」
虎竹「……特には無いです。じゃあまた、今月末に」

   スマホから耳を離し、通話を切る虎竹。
   通話履歴に『伯母さん』の文字。
   虎竹、背中から布団に倒れ込んで、

虎竹「もう一周忌か」

   本棚を見上げる虎竹。
   棚の上に、灰渕虎徹(42)と灰渕輝夜(38)の写真が並んでいる。


◯(夢)葬儀会場
   灰渕虎徹(42)と灰渕輝夜(38)の遺影が並んでいる。
   黒い学ラン姿の灰渕虎竹(14)。
   虎竹、頰にガーゼを貼り、片腕にギプスをつけている。
   無表情の虎竹。
   喪服姿の参列者1と参列者2が小声で話している。

参列者1「交通事故?」
参列者2「ご両親を一度にねぇ」
参列者1「可哀想に」
参列者2「……聞いた? あの子」

   虎竹、顔を伏せている。
   虎徹と輝夜の遺影が歪む。
   遺影の間から、黒い蝶が出てくる。
   驚いて後ずさる虎竹。

虎竹「なっ」

   黒い蝶、虎竹に向かっていく。
   黒い蝶から胡蝶(30)の声。

胡蝶の声「助けて、どうか」

   黒い蝶、大きくなりながら虎竹を包む。

胡蝶の声「場所は──」

   両目を瞑る虎竹。


◯(回想)マンション・虎竹の部屋(夜)
   布団に仰向けになっている灰渕虎竹(15)。
   虎竹、腹の上にタオルがかかっている。
   顔の冷や汗を拭う虎竹。

虎竹「ゆ、め?」

   ×  ×  ×
   虎竹、気絶している銀華に肩を貸している。
   銀華の頭に蝶の髪飾り。
   ×  ×  ×

虎竹「……」

   虎竹、枕元のスマホを手に取る。
   『マップ』と書かれたアイコンをタップする虎竹。


◯(回想)際会自然公園・入り口(夜)
   『際会自然公園』と書かれた立て札。
   スマホ片手に里山を見上げている虎竹。

虎竹「来ちまった」

   虎竹、左右に歩きながら悩んでいる。
   スマホの時間を見る虎竹。
   画面には『21:00』と表示されている。
   頭を搔く虎竹。

虎竹M「何もなければ、それで良い。一周したら帰ろ……」

   虎竹、公園の中に入っていく。


◯(回想)同・中(夜)
   スマホのライトをつけて歩いている虎竹。
   ふと、木々の間から明かりが見える。
   虎竹、スマホのライトを消し、手探りで近づく。
   草むらの前に、穴の空いたゴミ袋と壊れた自転車。
   落ちていたパイプで転ぶ虎竹。
   草むらの向こうから銀華の悲鳴。

銀華の声「ぐっ、ぅ、ぁあぁあああああああっっ!!」
虎竹「!?」

   伏せたまま草むらに近づき、向こう側を覗く虎竹。
   草むらの向こうにひらけた空間。
   銀華、地面に横たわっている。
   銀華の両足首から血が流れている。
   男1、シャベルを担ぎ、銀華を見下ろしている。
   男2、男1の斜め後ろでスマホを耳に当てている。
   男3、少し離れて懐中電灯を掲げている。
   男1、屈んで、シャベルを背後に放る。

男1「おーおー、可哀想に」

   懐から紐のついた鍵を取り出す男1。

男1「これさえあればなァ?」

   銀華、男1を睨みつけ、鍵を取ろうと手を伸ばす。
   鍵を頭上に掲げる男1。

男2「おい」
男1「どのみち自分じゃ開けられねぇんだろ?」

   男2、ため息をつく。

男2「壊すなよ」

   草むら越しに見ている虎竹、片手で口を塞いでいる。
   虎竹、スマホの画面を見る。
   液晶画面に『圏外』の文字。
   ゆっくりと体を起こす虎竹。

虎竹M「逃げろ、逃げて、急いで警察に」

   虎竹、草むらに背を向ける。

男1の声「あ? なんだこれ」
銀華の声「ッ?!」
男1の声「テメ、暴れんじゃねぇ!」

   声の方を向く虎竹。
   頭を押さえつけられている銀華。
   銀華の手から、チェック柄のハンカチが奪われる。
   両目を見開く虎竹。
   ハンカチを訝しそうに見ている男1。
   虎竹、草むらから駆け出し、男1の背後でパイプを振りかぶる。

虎竹N「馬鹿だなぁ、俺」

   ×  ×  ×
   虎竹、木に背を預けている。
   左胸に穴が空いている虎竹。
   虎竹、口の端から血が垂れている。
   銀華、愕然とした表情で虎竹を見ている。
   男3、筒状の容器の蓋を閉めている。
   虎竹、銀華の方に体を崩す。
   頰の返り血を拭う男1。
   男1、腕の噛み痕から血が滲んでいる。

男1「手間ァかけさせやがって」

   男2、虎竹の財布から、学生証を取り出す。
   学生証には『六辺高等学校 灰渕虎竹』と書かれている。
   男3、ジュラルミンケースに筒状の容器をしまっている。

男1「(男3に)おい、これ運ぶぞ」
男3「うっす」

   男2、スマホを耳から離し、はっとして、

男2「お前、鍵はッ」
男1「あ?」

   男1、懐から紐を取り出す。鍵が無い。
   銀華の首元に顔を寄せている虎竹。
   虎竹、舌先で首輪の鍵を鍵穴に押し込む。
   慌てて振り返る男1、男2。
   音を立てて外れる首輪。
   片目を見開く銀華。
   薄笑いで意識を失う虎竹。両目に光がない。
   銀華、歯をくいしばる。
   男1、2、3、拳銃を構える。
   銀華、両足を凍らせて片膝をつく。
   三発分の発砲音。
   銃弾が地面に落ちる。
   銀華、顔を上げる。
   顔の半分以上が氷で覆われている銀華。

男3「ひっ」
男1「怯むな!! 距離を取れ」

   男2、ジュラルミンケースから予備の首輪を取り出している。

男1「あれは体に触れたもんしか」

   咆哮する銀華。
   男1、男2、男3の方へと突き出される氷柱。

男1「(呆気にとられて)凍らせられ、ねぇ」

   氷に覆われる男1、男2、男3。
   男1の手から拳銃が落ちる。
   銀華、肩で息をしながら、虎竹に視線を移す。
   ゆっくりと虎竹の体を仰向けにする銀華。
   銀華、虎竹の両目を閉じさせる。
   虎竹の左胸の穴に手を添える銀華。
   銀華、苦しげに顔を歪める。


◯(精神世界)月面・日本家屋・縁側
   月面に日本家屋が建っている。
   縁側で目を覚ます虎竹。
   上空に地球が浮かんでいる。
   虎竹、立ち上がって辺りを見渡す。

虎竹「走馬灯……にしちゃ、思ってたのと違うな」

   背後から銀華の声がする。

銀華の声「ねぇ」

   振り返る虎竹。
   室内で正座している銀華。
   銀華、両目を閉じている。

虎竹「あんた、さっきの」

   銀華、両目を開く。

銀華「どうして助けたの?」

   戸惑いながら視線を伏せる虎竹。

虎竹「(小声で)助けられてないだろ」

   虎竹をまっすぐに見ている銀華。

銀華「今尋ねたのは動機。結果じゃない」

   虎竹、息を飲む。
   両拳を握る虎竹。
   ×  ×  ×
   ハンカチを差し出す丹波千陽(39)の手。
   灰渕虎竹(14)、ハンカチを見ている。

虎竹「……伯母さん」
千陽の声「どうか、無理はしないで」

   顔を伏せる虎竹。
   ×  ×  ×
   灰渕虎竹(15)、顔を伏せ、一度躊躇ってから口を開く。

虎竹「……泣けないんだ。父さんと母さんが死んだのに」

   銀華、真剣な表情で虎竹を見上げている。

虎竹「お涙頂戴の映画で泣くくせに、二人を思うと止まりやがる」

   両手で顔を覆う虎竹。
   虎竹、ふらつきながら室内に入る。
   畳に両膝をつく虎竹。


◯(回想)灰渕家・リビング
   食卓に座っている灰渕虎徹(46)と灰渕輝夜(39)。
   机にはマグカップが三つと、食事が並んでいる。

虎徹・輝夜「虎竹」

   微笑んでいる虎徹と輝夜。


◯(精神世界)月面・日本家屋・中
   畳に両膝をついている虎竹。
   俯いている虎竹、無表情。
   左胸に手を当て握りしめる虎竹。

虎竹「ずっと、痛くもない穴だけが空いてる」

   虎竹、うずくまる。

虎竹「ただ、これ以上、人でなしになりたくなかった」
銀華「……そう。それが理由」

   銀華、正面から虎竹を抱きしめる。
   虎竹の耳元で囁く銀華。

銀華「虎竹」

   両目を見開く虎竹。

銀華「穴(それ)をどう呼ぶか、名前をつけて良いのはあなただけ」

   銀華、虎竹の首元に擦り寄って、

銀華「でもね、覚えておいて」

   寂しげに眉尻を下げる銀華。

銀華「ひとでなし(わたしたち)に、そんな穴は空かないの」

   虎竹、体を離し、銀華と顔を合わせる。

虎竹「なんで、名前」

   虎竹の左胸に手を置く銀華。
   銀華、虎竹を突き飛ばす。
   驚いている虎竹。
   虎竹、銀華に手を伸ばしている。

虎竹「待っ」

   銀華、立ち上がり、虎竹を見下ろしている。

銀華「……これ以上、あなたを巻き込みたくなかった」

   虎竹、畳に沈んでいく。


◯際会自然公園・中(深夜)
   木にもたれかかっている虎竹。
   白峰無角(16)と椿(23)、地面の氷を踏みしめる。
   白峰、顔や腕に傷痕があり、両目の色が異なる。
   白峰の後ろに立っている椿。
   椿、片目が隠れており、頭部に木製の角がある。
   氷に覆われた男3をノックする白峰。

白峰「すげーなこりゃ」

   虎竹に近寄る白峰。

白峰「お、いたいた」

   虎竹の首元に指を当てる白峰。
   白峰、片耳の通信機に指先で触れる。
   椿、氷柱の前に立っている。
   木の根が氷柱を覆って砕いている。
   右目を閉じたまま通信する白峰。

白峰「報告にあった『雪女』と人間を確認」

   虎竹の左胸の穴、氷で塞がれている。

白峰の声「至急、帰還する」


◯対夢魔調停局東京支部・医務室
   ベッドに横になっている虎竹、両目を開け、跳ね起きる。
   虎竹、白い病衣を着ている。
   虎竹の腕に包帯が巻かれている。
   壁の時計は十三時を指している。

虎竹「……?」

   勢いよく医務室の扉が開く。
   両肩が跳ねる虎竹。
   扉の前に立っている白峰無角(17)。

白峰「起きたな!」

   白峰、虎竹に駆け寄り、片腕を掴む。

白峰「んじゃ行くか!!」
虎竹「え!?」

   虎竹を連れて医務室を出る白峰。


◯同・廊下
   中庭の脇の廊下。
   白峰、鼻歌交じりに、虎竹の前を歩いている。
   虎竹、眉尻を下げ、白峰の背を見ている。

虎竹「あの、ここってどこなんすか」
白峰「んー?」

   白峰、振り返って、

白峰「対夢魔調停局東京支部」
虎竹「(不思議そうに)た、たいむま?」
白峰「そっ」

   白峰のポケットから警告音。
   白峰、ポケットからスマホを出し、液晶画面を見る。
   曲がり角の手前で立ち止まる白峰と虎竹。

白峰「脱走? 珍し」

   地面が揺れ始める。

虎竹「地震?」
白峰「ハズレ」

   白峰、背中側に両手を入れて、二本の木製の柄を取り出す。

白峰「人間の精気を養分にする人外」

   曲がり角の向こうから、敵1が進んでくる。
   敵1、細かい手が複数生えた白い肉塊。
   白峰と虎竹の目の前に現れる敵1。
   辺りに壁材が飛び散っている。

白峰「俺らは夢魔って呼んでる」

   その場に尻餅をつく虎竹。
   白峰、木製の柄を握りしめる。
   柄の先から刃が伸び、マチェットが現れる。
   敵1から細い腕が二本伸びる。
   腕を切り落とす白峰。

白峰「強い奴はこうやって、受肉することがあんだけど」

   虎竹の脇に腕が一本飛んでくる。

虎竹「オワーッ!」
白峰「わりっ」

   白峰、肉塊の方に飛び跳ね、十字に切り裂く。
   傷口から木の根が伸び、敵1を地面に拘束する。
   動きを止める敵1。
   呆気に取られている虎竹。
   敵1を踏みつけている白峰。
   白峰、虎竹を指差して、

白峰「それが今、あんたと融合して、心臓の代役してんだわ」
虎竹「は?」

   病衣の前を外し、左胸を確認する虎竹。
   左胸の穴が氷で塞がれている。
   虎竹、口を開けたまま固まる。


◯同・中庭
   木が風に揺れている。

虎竹の声「はぁ────?!」




【第2話】



【第3話】


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