「アトム級のベルトはタイに持ち帰る」ONE173で吉成名高と対戦のヌンスリンのインタビュー翻訳~ONE podcast#32より
11月16日のONEチャンピオンシップ日本大会、ONE173で吉成名高とのONEムエタイ世界アトム級王座決定戦に挑むヌンスリン・チョー・ケットウィナーが、10月20日のONE podcast#32に出演した。ヌンスリンとONEチャンピオンシップの名物通訳&リングアナウンサーのフランク氏、レポーターのトンさんとの対談を紹介したい。所々は省略したり、意訳したところもあり、完全な翻訳ではない。
↓ ↓ ヌンスリンと同じくONE173で試合を控えるノンオー・ハマ(ONE podcast#30)
↓ ↓ インタビューの一部の映像(タイ語)
🔴ヌンスリンの出身は、スリンではなかった!
ーー今日は、ONE173、日本大会でアトム級の初代王座決定戦に出場するヌンスリンに来てもらいました。ヌンスリンさん、緊張してます?

はい、めっちゃ緊張しています。
ーー(ONE173で)日本に行くことになりましたが、準備はいかがでしょうか。
名高戦に向けて、今は70%くらいの仕上がりです。残りの時間も、これから追い込んでいきます。日本には、先日、ONE173の試合発表で行きましたが、試合で行ったことはありません。ONE173が、日本での初めての試合となります。

ーーリングネームはヌンスリン(スリン県の若者の意味)ですが、なんと、スリン県の出身ではないのですね。
はい、シーサケット県出身で、中学2年生の時にバンコクに引っ越してきました。
「ヌン・スリン・チョー・ケトーウィナ」、本名ユッタナ・タキアンラムは、シーサケート県フーシン郡生まれ。「ヌン・スリン」という名前は、バンコクでの学生時代、クメール語をユッタナが話せることに気づいた教師が、彼を(カンボジアに近い)スリン県出身だと勘違いし、「ヌン・スリン」と名付けた。当初、彼は名前を「ヌン・シーサケット」に改名することも検討していましたが、「ヌン・スリン」として周りに知られ、ムエタイでもこの名前で数々の試合に勝利してきたため、この名前を使い続けている。
ーームエタイ選手は勉強が好きではない人が多い中、(教師をしている為)勉強が好きみたいですね。ムエタイ以外にはスポーツはやっていましたか。
ムエタイだけです。いや、サッカーかな、でもサッカーはそんなにうまくはないです。
ーーヌンスリンという名前ですが、この名前以外のリングネームはありましたか。
10回以上変えていますが、5ラウンドのムエタイの選手の時には、ヌンスリンを名乗っていました。ONEに参戦する前は、ムエタイのメジャーなスタジアムなどでチャンピオンになったことはありません。シーサケット県のチャンピオンにはなったことはあります。
🔴教師生活について
ーー多くのムエタイ選手は、他に仕事を持たずに競技に集中しています。ヌンスリンさんは教師との二足のわらじで活動していることでも有名です。二つを両立させるのは大変ではないですか?
いえ、ムエタイ選手だけしていたら、休みが多すぎます。試合がなかったら、寝ているだけで、他に収入が得られません。自分自身も(教師の仕事で)もっと成長していきたいのです。
ーー教えている生徒は試合に出たりしますか。
はい、バンコク体育学校で教えていて、生徒たちはアマチュアボクシングの試合に出場しています。



ーームエタイ選手と教師でどう時間を配分していますか。
生徒たちに教えてから、自分の練習の時間をもっています。生徒たちはユースの大会やアマチュアの全国大会に出ています。
ーー選手と教師とどっちの道が良いとか考えたことはありますか。
どちらも時間をうまく配分していますから、、。どちらかなら、ムエタイを取ります。
ーー生徒はONEに出るヌンスリンを見ているわけですよね。
はい。応援してくれています。
ーーヌンスリンさんは、おとなしくやさしい印象ですが、生徒には怒ったり、強く教えたりするのですか。
いえいえ、普段もこのままです。
ーーこれからもっと勝っていって、露出も増えたら慣れて、もっとしゃべるようになるでしょうね。
🔴ONEへの参戦~クンスクノーイ戦
ーー日本大会の記者会見では、スーパーレックは日本の着物を着ていましたね。でも、ヌンスリンさんはタイ人っぽい(笑)日本での記者会見は緊張しましたか。誰と会いましたか。
記者会見(試合発表)ではスーパーレック、スタンプは着物を着用、ヌンスリンはスーツ姿だった。
会見は緊張しました。スーパーレックやスタンプにも会えました。トップ選手たちと一緒で嬉しかったです。
ーーONEに参戦してから、周りの反応などは変わりましたか。ONEで戦ってどうですか。
変わりました。私を知っている人が増えました。ONE以前は大きな試合に出たことはないですが、アマチュアボクシングの練習などで、パンチは良くなっていると思います。ONEの試合では、相手の次の動きが大体わかります。自然体で戦うことができます。でも最初のクンスクノーイとの試合なんかでは結構キックを喰らいました。それでも、最後はKOで勝つことができました。
ーー今は、試合後に眼鏡をかけて、ヌンスリンのキャラクターが出来上がっています。6戦して、全勝、とてもフォームも良いと思います。5ラウンドの試合とONEではテクニックも変わりますか。普段の教師の経験も活きていますか。
ONEだとパンチが必要です。学校のみんなも協力してくれまして、ONEに合わせたスタイルで良くなっていきました。
ーー以前はどんなスタイルだったのですか。フィームー(テクニシャン)ですか、ムアイマット(パンチの選手)ですか。
ムアイカオ(膝と首相撲)の選手でした。
ーー学校では、生徒と練習することもあると思いますが、スパーリングのパートナーをさせることはありますか。
教える立場でのパートナーであって、自分用の本格的な練習に生徒をつき合せまることはありません。
ーーONE6戦無敗はすごいですね。
特別なこととは思いません。対戦相手と対峙して、やるべきことをやってきただけです。
ーー印象的な試合はどのファイトですか。
やはりONEのデビュー戦となったクンスクノーイ戦です。彼は有名で強い選手ですから。でも、KOで勝てるだろうと思っていました。事前の予想では、クンスクノーイが有利で、みんなクンスクノーイがKOで勝つと言っていました。しかし、私は自信がありました。彼はONEのスタイルに対応できないのではと思いました。

クンスクノーイ・ブーンデクシアンは現在ラジャダムヌンスタジアムのランキングでスーパーバンタム級1位。双子の兄は元ラジャバンタム級王者のクンスクレック。
↓ ↓ ヌンスリン対クンスクノーイ映像(2023年3月10日)
🔴ソンチャイノーイ戦について
ーー前戦(8月29日のONE Friday Fights 122)についてもそうですね。ソンチャイノーイ(ソンチャイノーイ・ゲッソンリット)が有利という予想でした。彼はONEでは、9戦全勝でした。
試合の時は何も考えませんでした。もっと簡単に勝てると思ったのですが、なかなかそうはいきませんでした。
ーーソンチャイノーイの弱点はどうでした。
フックを打つ際に手が下がる、、。これは多くのファイターがそうですが。(初回、ソンチャイノーイの右フックの打ち終わりに左フックを顔面に入れ、ダウンを奪った。

もう一方の手のガードも下がりやすいが、私のフォームはちがう。こう高く顔面を守りながら左フックを打つ。日本人でこうやって打っている人(極端にガードを上げて)も見たことがあります。
ーー外国人選手にタイ人がパンチでKOされる時とか、どういう傾向にありますか?パンチの威力としてはそう変わらない気がしますが、、。
外国人はフットワークが良くてスウェーでパンチを外したりとかできる印象です。でも私たちでも、毎日練習すれば難しいことではない。できるようになりますよ。私の場合は、誰かに教わるのではなく、Youtubeなどで研究して、自分で考えて練習して身に付けます。
ーーヌンスリンさんのアイドルはいますか。
たくさんいます。大体は昔のファイターです。ノーンカイ(70年代の名選手)ですかね。他には、、ええと、、。でも昔のムエタイと今ではステップの仕方など、ちょっと違うところもある。
ーー昔と今とそんなに違いますか。
昔の選手は試合中は常に動いていました。サーマート(サーマート・パヤクアルン)なんかの動きは今のムエタイと比べてとてもきれいですね、ステップも重要でパンチの選手は特にそう思います。
🔴吉成名高戦について、ソンチャイノーイ戦後の変化
ーーそろそろ名高の質問をしましょうか。
名高のステップはとてもいいですね。
ーー誰かが言っていましたが、名高は自分がキックしてすぐにスウェーで相手の攻撃を避けることができる。でも、普通のタイ人のファイターだとそのまま攻撃を喰らってしまうと。
そうそう、ムエタイは防御もしっかりしないと、自分自身にも言えることですが、、。
ーー生徒にはどう防御について教えますか、どうやって身を守るか
私自身も防御に自信があるわけでははありません。でも、名高の攻撃にはしっかり備えていきたいと思います。
ーー方法としてはどういう感じですか?
ボクシングと同じようにポジション取りですね。脚は常に動かして、、練習の時もそうしています。
ーーソンチャイノーイ戦に話を戻しても良いですか。ソンチャイノーイに初回ダウンを奪った際はどう感じましたか。
強烈なダウンだったので、もう立ってこないかと思いました。立ち上がってきたので、それに驚いた。なんで立ち上がってくるのかとそれが怖いというか、何でと思った。3ラウンドの間に結構キックももらいました。そんなに威力はなかったのですが。
ーーソンチャイノーイ戦までに5連勝していましたが、(ONEとの)本契約についてはどう思っていましたか。ソンチャイノーイに勝てば本契約は近づきますが、この試合を落とせば、また遠回りすることになります。
本契約については意識したことはありませんでした。ただ、ソンチャイノーイに勝てたことはとても嬉しかった。ホントのところ、そんなに自信はなかったのです。

ーーソンチャイノーイに勝ったリターンはすごいですね。本契約も得て、日本での試合、タイトルマッチと3つ宝くじを引いたようなものです。でも、本契約は試合後のリングの上ではなく、後で発表がありましたね。リングの上で、「何でまだ本契約はないのだ」とは思いませんでしたか。※勝利者インタビュー時にリング上で本契約のオファーが出ることが多い。
ソンチャイノーイに勝ったことで、名高とできることは分かりました。でも、契約については分かりませんでした。
ーー名高もその時の一緒の興行に出ましたね。そして日本では名高と戦います。準備は70%と言っていましたが、残り30%は何ですか。
30%はスピードです。名高に追いつけるスピードが出るように日々練習しています。不安なのは日本の気候です。
ーー名高の気を付けないといけないところはどこでしょうか。実際、リングの近くで見てどうでしたか。
もう、彼は全てを持っていますね(苦笑い)。彼はひとりのタイ人ですね。頑張ってタイ語も話しているし、、。

🔴心配な日本での初めての試合
ーーヌンスリンさんは外国で戦うのも初めてなんですよね。
そうなんです。
ーーそれも不安材料ではありますね。でも、日本ではアトム級の初代王座が手に入ります。
名高がやりにくいように戦うつもりです。キックボクシングのスタイルでも、ムエタイのスタイルでも対応できる。こないだ名高とやったアズマニはKOされると思ったけど、少し粘りましたね。私はソンチャイノーイとやる前も勝つ自信はなかったから、大丈夫です。
ーー生徒には試合前に緊張しないように、どう声を掛けますか。
「考えすぎるな。練習と同じようにやれ。」と言います。でも素直じゃない子はやっぱりダメ。
ーー記者会見の時は、名高と何かしゃべりましたか。
挨拶しただけです。彼は一生懸命タイ語で喋ってくれました。記者会見時にスーパーレックと2人でいる機会があったのですが、スーパーレックは面白い人でした。
ーー11月の気候とは違うと思いますが、日本に行った際の気候はどうでしたか。
タイと日本とあまり変わりませんでした。
ーー寒い季節に試合をしたことはありますか。
子どもの頃までさかのぼりますね。今は、日本での試合については、経験のある人に色々と聞いています。あれはどうしたらいいの、これはどうしたらいいの、と。
ーー日本食はどうですか。
それが大きな問題です。前回の日本滞在時でもそうでした。
ーーイサーンの人だったら、トムセーブ(イサーン料理のスープ)なんかないじゃないですか。ピザはあるでしょうけど。
ピザはタイと同じです。でも日本食はあまり食べれません。平気なのはごはん(お米)くらいです。
ーー寿司はどうですか。
寿司はあまり、、。お腹を壊すのも怖いです。
🔴将来について、名高へのメッセージ
ーー将来についての質問ですが、いつかは自分のジムを持ちたいと思いますか。
考えたことはないですね。ジムを持ってもいいかな、、でも、学校で教えるのが好きなので学校がいいです。
ーー何歳まで現役生活を続けますか。
他に楽しみもありませんし、できることなら50歳になっても戦い続けたいです。自分自身の健康の為でもあります。ずっと戦い続けたいのです。
ーーSNSでの発信はしませんか。
いや、TIKTOKを見るくらいです。
ーーヌンスリンさんがインフルエンサーになれば、見る人も多いですよ。(ONEの)チームをサポートにつけましょうか(笑)どういう感じでアップしますか?やってみてください。
ノリが良く、実際にポーズをとるヌンスリン
ーー日本では、秋葉原で買い物ができますよ。何がほしいですか。ベルトが欲しい?
日本では色々ほしいです。兜(カブト)がほしいです。でも、カブトよりもやっぱりベルト。日本の武道にも興味があります。トニージャーの映画をよく見てて、柔道や空手の型も研究しました。
※追記( 11月17日 )→カブトとは、仮面ライダーカブトのグッズのことかもしれない。追って確認します。
トニージャーはスリン県出身のアクション俳優、マッハ!!(オンバーク)など、数々のアクション映画を残している。
ーーじゃあ、最後に名高に日本語でメッセージをお願いします。
え? (え、日本語で?と驚くヌンスリン)
ーーいえいえ(冗談です)、何か彼に言うことはありますか。

リングで会いましょう。ベルトはタイに持ち帰らせてもらいます。ベルトは私が先にもらいます。
※クンスクノーイ戦、ソンチャイノーイ戦と、番狂わせを起こしてきたヌンスリン、真面目でマイペースの印象。名高戦が好試合になることを期待したい。
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