「女性ファイターも道は開けている。恐れずチャレンジを」ロッタンの義理の妹、ドゥアンダオノーイのインタビュー翻訳~ONE podcast#34より
10月10日のONE Friday Fights 128にて、ONE初戦を勝利で飾ったドゥアンダオノーイ・ルークサイゴンディンのインタビューが、10月27日からONE podcast#34で放送された。所々は省略したり、意訳したところもあり、完全な翻訳ではないが、ここで内容を紹介していきたい。
ドゥアンダオノーイは大家族で知られるルークサイゴンディン16人兄弟の10番目で現在26歳、通算戦績は38勝11敗5分(少女時代からは100戦以上)、元ラジャダムヌンミニマム級2位、WMO世界ミニマム級王座、WPMF世界ミニマム級王座などのタイトルを獲得している。兄弟13番目のアイダはロッタンと結婚した為、ロッタンの義理の妹(正確には姉だが年齢は下)となる。
今回のONE PodcastもONEチャンピオンシップの名物通訳&リングアナウンサーのフランク氏、レポーターのトンさんとゲストとの対談形式で行われた。
↓ ↓ ルークサイゴンディン16人兄弟が出演したテレビ番組(2023年4月)、ドゥアンダオノーイが兄弟姉妹で最強と紹介されている。
↓ ↓ インタビューで話題になった試合について
🔴ムエタイ大家族について
ーー10月のONEで素晴らしい戦いを魅せたドゥアンダオノーイ・ルークサイゴンディンにONE Podcast に来てもらいました。まず、ルークサイゴンディン一族について聞かせてもらいましょうか。
家族についてですが、父母は苦労して、、仕事もきつかったと思います。普通の家庭に子どもがたくさん(16人)いました。そして父は自宅の側にムエタイジムを作り、兄や姉が練習し始めました。

ーー誰が一番初めに練習しましたか。
上から3番目の兄が私たちのジムでの初の選手です。
兄弟の3番目のマンファーは元プロボクシングPABA(現WBAアジア)スーパーライト級王者。22勝14敗の戦績を残している。現在はマンファーボクシングプロモーションを主宰する。
ーールークサイゴンディンの兄弟はみんな有名で、魅力的、ドゥアンダオノーイさんもですが、スポンサーも付いています。どこからその魅力や強さは来ているんでしょうか。

16人兄弟姉妹が一緒に住んでいて、それが普通だったので、誰か人と会って話すこと(外行きの顔のような)は自動的にできるようになります。他人は10人も一緒に小さい家で暮らせるのか、と言いますけれど、私たちにとってはそれが日常でした。
ーー昔はSNSも今ほどではないし、どこでルークサイゴンディン兄弟は有名になったのでしょうか。
子だくさんのジムということで話が広まり、ニュースなどで取り上げられるようになりました。毎日誰か取材に来ることもあり、疲れている時とか「ちょっと疲れてるから撮るのをやめてほしい」とお願いしたこともあります。当時、私が8歳か9歳ですが、取材に合わせて父が私たちの練習を見るから、大変でした。当時はどうして、記者が取材に来るのかもよく分からなかった。
ーールークサイゴンディンの兄弟は、みんな社交的で面白い、自分のプレゼンがうまいですよね。それもやはり子供の頃からなんでしょうか。
(取材時など)こう振舞うといい、とか外に行ったらこうするんですよ、と父母が色々と教えてくれました。子どもがたくさんいるからと、放置していたわけではありません(笑)父は私たちが子供の頃は結構怒りましたけど、今はやさしくなっています。
🔴ムエタイを始めた理由
ーームエタイのことは好きでしたか。自分でやりたかったか、家がジムだから無理やりやらされたのか。
正直なことを言いますと、そのころはお金がなかったのです。小さなお菓子を買うお金もなかった。でも子供は仕事して稼ぐことはできません。
父からムエタイの試合に出たら、お金がもらえると誘われた。初めての試合なんか興奮したり、怖かったりとか何とも思いませんでした。お金がもらえる。それで頭がいっぱい。
普通の子どもとは違いますよね。遊ぶこともせずにムエタイばかり。6時に走って、シャワーを浴び、学校へ行って、学校終わっても友だちと遊べない。3時半に学校が終わったらすぐにジムへ。その生活は7歳からです。
3時半になると急いでジムにいく。他の子たちと同じように遊びにいけない。小さい頃は、自分だけ(自分の家だけ)なんでこんなことをしないといけないか、分からなかった。でも、大きくなってからは名声も得て、必要だったと理解できました。6時に走って、午後からジムに行って、それを20年近く続けているわけです。
ーー練習せずに怒られたことはありますか。
うーん、練習しなかったことはないですね。いい子だったんでしょう。
ーー前に一度引退していた時もありましたね。
休んでいたのはコロナ渦の時でした。対戦相手もいなかったんです。若い選手もどんどん出てきましたが、みんな50キロ以上で、48キロの自分とは体重が合わない。自分と同じようなレベルの選手はみんな引退してしまった。それで2年ほど試合をしなかった。でも練習は続けていました。
ーーこれまで、何試合くらいしましたか。
100戦以上はしたけど、正確な数は分かりません。そして最近は結婚しました。もうやめてもいいよ、と父母からいつも言われている。子どもができたら戦えない。でも2年試合をしていなかった時も、2か月前に決心して(練習の強度を上げて)元の状態に戻ることができた。
以前は女子のリングは限られていて、ファイトマネーも少ない。でも今はよくなりましたね。昔は大きい大会はホアヒンの大会など、年2回だけ。
🔴ONEデビューについて、義兄ロッタンのアドバイス
ーー昔は女子は少なく、困難でした。でもONEに来たらどうでしたか、ファイトマネーも多いと思います。
ONEでやりたかったけど、自分に合う階級がありませんでした。先日の試合も48.5キロ契約で、ウェイトはONEの女子最軽量級の52.2キロに足りなかったけど、ONEがどんなものか一度やってみたかったのです。
ーー義理の兄のロッタンはONEで何試合もこないしています。ロッタンから、何か教わったことがありますか。
ONEの戦い方について、色々教えてくれました。こんな練習をしたほうがいいとかアドバイスをもらいました。

ーーロッタンがルークサイゴンディンファミリーの一員となってどうですか。
彼は家族の中でもエンターテイナー、とても楽しませてくれます。面白い人です。

ーーロッタンともう一人、家族でONEで戦っているメンバーがいます。弟のバンジュ(センアーティット)です。彼についてはどうですか。
センアーティットは私がONEに来て喜びましたよ。彼はムエタイに戻りたいとは言ってるけど、長くプロボクシングを戦ってきたので、2‐3試合はキックボクシングで慣れさせていくようです。彼も新しいスタイルを模索していて、もっと良くなっていくと思います。

センアーティットは兄弟の14番目、タイ語で「太陽の光線」の意味を持つリングネーム。ONEでの表示は「サンガルティット」だが、英語表記からそのまま日本語に変換したのだろう。プロボクシングでは19戦全勝の元WBAアジアスーパーライト級王者。階級から世界を目指すのは難しく、アメリカでの活動を望んだものの叶わず、ONEに参戦。ONEキックボクシングで2勝1敗の戦績を残している。
ーードゥアンダオノーイさんは元々はフィームー(テクニシャン)の選手です。ONEのスタイルに合わせるのは難しいですか。
それについては、ロッタンが、ONEではどう戦ったらいいか教えてくれました。ステップはこうしたらいいとか。ずっと歩いていたらダメだとか。逃げるようにパンチを打つのはダメだとか。
ーー結局、一番重要なことはなんでしたか。
特別なことは教わっていません。やはり、ベーシックが大事、ワンツー、でまた体勢を戻して防御、そして次の攻撃など、、ムエタイ選手みんなができることです。でも上手になるとみんなベーシックを忘れてしまいます。
ーーロッタンは賢く戦いますね。
なんでロッタンは自分から殴られにいくの?と思ったことも。痛いですよ。
ーーロッタンはリング上で迷いなく戦っているように見えます。他のファイターは試合によっては、途中でプランを変更することもあるでしょう。
ロッタンも試合で修正しますよ。彼はIQで戦う。相手の出方によって、戦いながら修正していきます。
🔴ONEで対戦したキム・タウンゼントについて
ーー先日のドゥアンダオノーイさんの初戦はどうでしたか。キム・ダウンゼントは強豪でした。
とても緊張しました。キム・タウンゼントとは、9年ぶりの対戦でした。彼女は子供もいる、歳も重ねたけど、ずっと戦い続けていて沢山ベルトもとって丈夫で強い選手です。7年も負けてないとも聞いた。彼女になら負けてもしょうがないと思った。

ーー試合への向き合い方は今までのリングと比べてどうでしたか。
以前と比べて、大分違いました。練習は普段と同じようにしましたが、自分自身を責めすぎないよう(鼓舞しないよう)心掛けました。ジムでも西洋人や学生が練習に来て、私とスパーリングをしますが、私はみんな打ちのめしています。どうしてか分かりますか?何も考えず無心で相手と向き合うのです。戦って、あ、これは強い、絶対勝ってやるぞと思い出したら自分へのプレッシャーも強くなる。動きも悪くなります。そう気づいたのは最近なのですけど。
ーーどうしてドゥアンノーイさんや、他の選手たちはそうやって気持ちを抑えられるのでしょうか。
以前は自分自身にパーフェクトを求めていました。なぜ自分がパーフェクトでないか責めることもありました。
ーーキム・タウンゼント戦は、当初、ドゥアンダオノーイさんは以前とスタイルが違っているように見えました。なぜ得意の肘を使わないのか、キックが多いのかなど。
初めてのONEのリングでしたから。第1ラウンドはまだ分からない状態でしたが、2ラウンドで勝てそうだと思いました。


ーードゥアンダオノーイさんの肘攻撃は見事で有名ですけど、やはり子供の頃からの武器なのでしょうか。
そうです。14歳の頃から練習し始めました。当時の女子のムエタイ選手については、あまり肘を多用する選手がいなかった。でも西洋人の選手にはいました。タイ人女子で初の肘の選手になろうと思いました。ホントのところは誰が最初の選手とかは知りませんけどね。
ーー自然に肘攻撃をして、対戦相手をダメージを与えているイメージでしたけど、練習のたまものなのでね。
🔴弟のセンアーティットについて

ーー自分を責めすぎない、ということについて、弟のセンアーティットは前戦 (9月26日のアーリー戦) はその内容に満足しているように見えませんでした。アーリーに勝ったけど、内容はパーフェクトでないと、あなたにこぼしたりはしませんでしたか。
アーリー戦でなく、その前、6月にセンアーティットがスアブラックに負けた時は、彼はかなり自分を責めていました。でも彼の敗戦の前に私も大事な試合に負けて自分を叱っていたのです。
私も6月14日RWSでのモンクンペット戦で負けたばかりで、彼の気持ちが痛いほど分かりました。ジムでパーフェクトに仕上げたくても私は95%くらい。センアーティットは120%に仕上げます。

同じ両親で、同じジムで練習してきて、彼がどう考えているか手に取るように分かります。面倒がっていい加減に戦った(前戦のアーリー戦での反則トラブルについてか)とか、そういうことはありません。
ーードゥアンダオノーイさんのONE初戦は動きも美しく、いい試合でした。
私自身は、まだ早いとは思いますが、プロモーターから機会を頂けるのであれば、ONEのチャンピオンになりたいです。
ーー新しい階級(48.5キロなどの)ですか。従来の52.2キロですか。
それはもちろん、新しい階級ができれば私にとってありがたいです。
ーー体重は増えませんか。
全然増えません。一番太った時でも51キロでした。ずっと練習し続けてるからでしょうか。脂肪も全然つきません。
🔴夫のウバロック登場
ーードゥアンダオノーイさん自身の人生について聞いてもいいですか。みんなSNSなんかで見て知っていると思いますが、外国人の旦那さんかいるのですね。お名前は?
ウバロックです。
ーーじゃあ、こちらで一緒にインタビューを受けてもらいましょうか。どうぞ。ウバロックさん、奥さんとはどこで会いましたか。
ルークサイゴンディンジムで出会った。とてもきれいな人と思いました。(ウバロック)
ーー最初から彼女は有名な選手と知っていましたか。
はい、彼女のことを知っていて、ジムに会いに行ったのです。(ウバロック)
私は、彼をただのファラン(西洋人)と思った。ジムのパーティに来てたんですが、私はファランは興味はなかった。一緒にジムに練習して、ご飯をみんなで食べて、8か月目くらいで付き合いだした。
私の国ではそんなに強い女性はいないから、すごく興味を持ったのです。今で、結婚して1年、知り合って2年です(ウバロック)

子どもは欲しいです。でも自分の子どもにムエタイをさせるか分かりません。
ーー子どもができたら体重も増えるかもしれませんね。
彼女は素晴らしい選手です。子どもができたら、母親としての時間が必要になります。フルタイムの母となってほしいが、そうなっても、いつかはリングに戻ってほしい。(ウバロック)
ーー男性のファイターに奥さんや恋人がサポートする例は多いけど、その逆はどうですか。
練習や試合を間近で見て、アドバイスもくれます。でも、朝起きて私が走っている時、彼はまだ寝ている。私がご飯炊寝ている時に起き出して、練習を始めます。ルークサイゴンディンジムで練習を続けて、彼も2回試合しました。2回ともKO勝ちです。
ーーあなたもONEチャンピオンシップに出ますか?夫婦で同じ日に出ましょう。
私はもう31歳です。(ウバロック)
ーーいえいえ、31歳、まだ時間はあります!
🔴女性ファイターへメッセージ

ーードゥアンダオノーイさんに、最後に女性ファイターへ、また女性ファイターを目指す人へメッセージをお願いしたいと思います。
新人のまだリングに上がっていない後輩、また戦い始めたばかりの後輩たち、女子ムエタイは以前よりも世間に認められて、活動も難しくないと思います。あなたが本当に強いなら、大丈夫、こちら側に来て、チャレンジしてください。今は、SNSで自分自身をプロモートできます。他人に任せなくてもいいのです。さあ、決心してください。負けを認めず、進むことができるなら大丈夫です。うまくいきます。
※RWSのリングなどで肘でKOしたり、対戦相手の額を切り裂き、血まみれにするイメージがあるドゥアンダオノーイは、女子選手の中でも怖いファイターという印象だった。ONEでは対戦相手選びに苦労するかもしれないが、センアーティットと一緒にルークサイゴンディン兄弟で頑張ってほしい。妹のザイタニアもRWSで試合出場を続け、ラジャのミニマム級タイトルを目標としている。
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