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405 科学で語る現代思想・序の3 一般相対論の帰結

 当時、それは20世紀初頭のことですが、その頃はその道の専門家、天文や物理を研究する第一線、一級の科学者さえ確固たる宇宙観を持てていなかったのです。それに対して「ちょっと待て、海王星や冥王星を発見できたではないか」という人がいるかも知れません。
 確かに海王星の発見には天王星の軌道のずれ冥王星の発見には海王星の軌道のずれが関係していますが、そこで成功したニュートンの重力理論を宇宙全体に適用することは出来なかったのです。
 なぜか。宇宙そのものにニュートン力学を適用するには限界値、ここでは「果て」がどうなっているか指定しなければなりません。しかしニュートンの理論では重力を「あっという間」に伝わる、近接作用としていたので、それを宇宙に適用すると正に「あっという間」につぶれてしまうのです。だから一般相対論が登場するまで、宇宙に関係する研究者は(各自の思いはあったはずだけど)、「宇宙の姿」を研究対象にできなかったのです。
 しかし一般相対論により重力は光と同じく光速で伝わるものとわかった。つまり重力も時間をかけて伝わるから、物質が少なければ宇宙に物質はない物として計算できる。それで見つけたのがド・ジッタ―宇宙でした。日本語のWikipediaでは以下のように説明されています。

ーーー引用ーーー
この模型では、宇宙は空間的に平坦であり、普通の物質を無視し、そして宇宙の力学は宇宙定数により支配されている。この宇宙定数はダークエネルギーに相当すると考えられている。
ーーー引用終わりーーー

 平坦というのは現在の宇宙の規模、大きさが変わらない、つぶれもしなければ広がりもしないという意味。そして宇宙定数ですが、これはアインシュタインが一般相対論を完成した後、宇宙の現実に合せるために恣意的に加えた項目で。
 何故なら宇宙にはわずかでも物質があり、それが周囲の環境を歪ませ、最終的には長い時間がかかっても一塊になって強力な重力源になってしまうから。だからそれを防ぐため、アインシュタインは折角首尾一貫した自分が発見した重力方程式にノイズとなる項を付け足さなければならなかったのです。そこでアインシュタイン自身が提案したのが果てのない宇宙、円筒のローラー部分の宇宙なのですが。ちょっと考えればわかるようにこの宇宙項、少しでも小さくても大きくても、宇宙に「動き」が生じてしまう。でも当時、第一線、第一級の研究者や科学者さえ宇宙は変わらないものと(なんとなく)見なしていたのです。ところがどっこい、なのでした。
 何と距離が遠いほど我々から速く遠ざかっている天体があるという観測結果の論文が発表されたのです。我々、とは地球を含む太陽系。天体、とは恒星や惑星という宇宙からに見て「単独」の天体ではなく、(恒)星が寄り集まった銀河。実は当時、星の集団は我々の属する銀河系(当時の呼称。今は天の川銀河)だけだと考えられていたので、その意味でも当時の名だたる科学者にとっても驚きだったのです。(大塩高志)

参考文献:20世紀科学論文集 現代宇宙論の誕生/須藤 靖|岩波文庫 - 岩波書店 実は単独で書評したかった論文集です。

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