さあ「利下げ」の準備は整った ー 「アメリカ後」の世界をどう生き抜くか
今週の相場は本当に疲れた(苦笑)。これだけ▼1,000ドル(あるいは▼1,000円)単位で毎日下がり続ける株式市場は見たことが無い。これが "AI相場" というものなのだろう。もう "人間業" ではない
米株式市場は時価総額で▼300兆円以上吹き飛んだが、不思議と過去の「金融危機」のような緊張感はない。「富」が一部の「お金持ち」に集中しているからか。「銀行」など金融機関を直撃しておらず「お金」が詰まって動かない「クレジットクランチ」(信用収縮)の兆候も見られない
こういう時は ”マーケットの正直者” 「金利」を見てみよう
3月米雇用統計: 失業率 4.2% 予想 4.2% 前月 4.1%
NFP +22.8万人 予想 +14万人 前月 +11.7万人 ← +15.1万人
平均時給(前年比)+3.8% 予想 +3.7% 前月 +4.0%
労働参加率 62.5% 予想 62.1% 前月 62.4%
これだけ相場が乱高下(実際は ”下” だけ)すると今更「雇用統計」なんて…。そういう雰囲気も漂っているが、米国債も10年債だけ見ていると気がつかないが、短期債の動向を追うと面白いことに気がつく


4/1 3月米ISM製造業PMI 49.0 予想 49.5 前月 50.3
*雇用 44.7 予想 46.5 前月 47.6
*仕入価格 69.4 予想 59.4 前月 62.4
*新規受注 45.2 予想 48.4 前月 48.6
4/3 3月ISM米非製造業指数 50.8 予想 52.6 前月 53.5
*雇用 46.2 予想 51.2 前月 53.9
*仕入価格 60.9 予想 58.4 前月 62.6
*新規受注 50.4 予想 52.8 前月 52.2
鍵は「平均時給」の鈍化(2月+4.0% → +3.8%)。ISM指数 ↑ と併せて考えると今後「インフレ」圧力の減退が推定出来る。株価下落による「逆資産効果」も考慮すれば「利下げ」の準備は整った。次回5/7FOMCでの▼0.25%が視野に入り「ターミナルレート」も@3.25%まで低下

株価の下落は気にしないと強弁している ”Tariff Man” 。どこまで覚悟していたかは知る由も無いが、今年度9兆ドルもの米国債のロールオーバー(借換)を控えている立場からすれば、仮に平均期間5年で▼1%「金利」が違えば、e.g., 5年 × 9兆ドル × ▼1%=▼4,500億ドル ≓ ▼65兆円も「利払い」が減る。債務総額36兆ドルで計算すると▼1%で約▼260兆円。奇しくも吹き飛んだ株式市場の時価総額に近い
”国家非常事態” を額面通り受け取れば、これだけ巨額の財政収支改善が見込めるなら多少の景気後退は致し方ないと判断したと見ることも出来る。その分国の「資金繰り」は大幅に改善される
ニュースでは中国の「報復関税」などを派手に伝えているが、アメリカへの輸出が圧倒的に多い現状では「お金」的な意味はあまり無い。お互いに「メンツ」を保つためだけのただの "政治ショー" 。 "FACT" (事実)はアメリカが掛けた「輸入品消費税」のコストを他国がどれだけ負うか。(表向きには言えないが)各国の財政当局はその事を認識しているはず
まあそれだけアメリカに「お金」の余裕がない証拠でもあり、とても「例外主義」などと言っていられる状況では無い。そういう点では「覇権国家アメリカ」は終わりを告げたと言っていい。今回の「関税戦争」の本質は「アメリカ後」の世界をどう生き抜いていくかということに集約される
欧州連合(EU)加盟国のうちフランスなど11カ国が南米の関税同盟「メルコスル」(南部共同市場)と自由貿易協定(FTA)の締結に向けて協議に入ったのも一つの事例であり、日本もTPP等を軸に「アメリカ抜き」の貿易網を広げていくことになろう。これだけ景気を犠牲にすればいずれにしろ米国向けの輸出が減るのは避けられない
FRBとしては急激な「インフレ」を乗り切ったと思ったら一難去ってまた一難。景気へのダメージを和らげるべく「利下げ」を続けながら、同時に米政府の財政負担軽減を図っていくという重いタスクを負う。「スタグフレーション」を防ぐために物価動向からも目が離せない
難しいタスクを負うのは日銀も一緒。異常な「実質マイナス金利」を修正したいのは山々だが、「円高」「株安」が続く中「利上げ」は当面棚上げ。ただ 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 から目を離せないのはFRBと一緒。原油価格の下落や「円高」、あるいは「株安」による「逆資産効果」が小さい分、アメリカより政策運営は楽



自動車など日本の輸出企業は大変だが、この 「トランプ2.0」ショック -「お金」に "魔法" はない|損切丸 対処の仕方次第では「安全保障」やエネルギー・食品等日本が「自立」出来る絶好の機会にもなり得る。お隣の2つの独裁国家も「不良債権」「戦争」に喘ぐ中、経済的に世界の中の立ち位置を改善出来るかもしれない。インバウンドで日本に親しみを持つ海外勢が増えているのもプラスに働くだろう
NYダウは@40,000ドル割れ、ナスダックが@16,000ドル割れ、おまけにWTI(NY原油先物)が@62ドル割れと、筆者が想定していたワーストをもの凄いスピードで下回っており、来週以降もマーケットは大荒れ必至

経験的な ”勘” でいうとまだ「クライシス」(危機)にはほど遠い。おそらく実体経済には時間をかけて悪影響がジワジワ広がってくる。ここは「金利」を見て頭をクールダウンしながら "FACT" を追いたい。このまま真剣に「ドル円」とか株式市場を見ていたらそのうち目が回って倒れそう(苦笑)
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