さようなら、アメリカ
NYダウが+674.62(+1.65%)、S&Pが+117.42(+2.13%)、ナスダックが+451.07(+2.13%)と急反発した翌日にこんなタイトルを付けると「何を大袈裟な」とお叱りを受けるかもしれない。だが中長期的に「お金」あるいは「人」の脱・アメリカ ≓「ドル」は止まりそうに無い

筆者は本土が初めて攻撃された9/11(2001)がアメリカ凋落の端緒だと考えているが、ここに来て2つの「パンドラの箱」が開いた ↓
1.日銀による「利上げ」転換
2.ドイツの財政規律解除
1.日銀の「利上げ」については「円安」が大きく影響しているが、そのエンジンになったのが「円キャリートレード」。+4%を超える「金利差」を狙ってヘッジファンド等の市場参加者が殺到。ドル円を@110円→160円まで+50円(+45%)近く押し上げた
「異次元緩和」により日本から押し出された「円」は 続・「過剰流動性」の総本山は日本 ー 気になる「円キャリートレード」の行方|損切丸 となり、転換された「ドル」はまず米国債に流入。そこから押し出された「お金」が米株式市場等リスク資産に向かった。これが ”米国バブル” の元
更に2024年から開始された「新NISA」により月1兆円近くが米国株に流入。ラリー継続を可能にしたが「天井の無い相場は無い」。やたら "大口” を連発する "Tariff Man" の出現により転機を迎えている
そして米国とは対照的にずっと景況感が悪かったヨーロッパ。その原因が「ユーロ基準」と言われる厳しい財政規律=「単年度の公債発行額が対 GDP 比で3%を超えず、かつ累積債務の額が対 GDP 比で60%を超えない」。特に第一次世界大戦後「100兆マルク紙幣」発行にまで至ったドイツのハイパーインフレに対する反省が経済に ”蓋” をし続けた
そこへ "Tariff Man" が「ヨーロッパは安全保障コストをもっと負担しろ」と言い出し、半ば ”切れる” 格好で2.ドイツの財政規律解除。ここでも「パンドラの箱」が開いた。その事を如実に示したのが長期金利の上昇だ


これで「実質金利」の面でドルの優位性は薄れ「ユーロ買い」が続いている。今後金利の上がる「円」にも同じ事が言えそう

一方のアメリカには昨日(3/14)のミシガン大学消費者マインド指数 ↓ が示唆するように「スタグフレーション」の影が忍び寄る
3月ミシガン大学消費者マインド指数 57.9 予想 63.0 前月 64.7
1年先インフレ期待 +4.9% 予想 +4.3% 前月 +4.3%
5-10年先インフレ期待 +3.9% 予想 +3.4% 前月 +3.5%
本来「スタグフレーション」なんていうのはアルゼンチンやトルコなど「お金」のない「デフォルト予備軍」に起こる現象であって「例外主義」(American exceptionalism)のアメリカには関係ないはず。だがここに来て世界中にばらまき過ぎた「ドル」の副作用が酷くなっており「金を出さない」と言い始めたのは "Tariff Man" のせいだけではない。連邦政府税収(+1.8兆ドル)の70%以上も国債の利払い(▼1兆ドル強、2033年推計で▼1.4兆ドル)が占めるのは異常
つまりアメリカ ≓「ドル」は既に信頼できる投資先ではなくなりつつある。「危険度」を示す1つの指標がイールドカーブの「スティープニング」(長期>短期金利の傾斜化)で、その動きをFXや株式市場が先取りしている
一昨日(3/13)の米株急落にも関わらず翌日に反発した「日経平均」がその一例で、明らかに「お金」は "日本還り" を始めた。これ以上「円安ドル高」が見込めないなら米国株に投資するメリットは薄れる。「新NISA」にも相応の動きが出れば、やっと 「円高」→「日経平均安」の "パブロフの犬" からいつ脱却できるのか?|損切丸 が実現しそう。同じ理屈でドイツや中国にも「お金」が環流しつつある
「さようなら、アメリカ」 ≓ 「アメリカ基準」からの脱却
OpenAIの5分の1のコストで作られたDeepSeekが話題になったが、例えばアカデミーでVFX賞を取った「ゴジラー1.0」の予算はハリウッドの10分の1以下。「高い」と判っていても「アメリカ基準」に従っていたのは安全保障等相応のコストをアメリカが負っていたから。それが負担できないというならもう気兼ねする必要はなくなる。不当に高いコストから逃げるのは必然
そうは言ってもアメリカが世界一の経済大国である事実に変わりはなく、暫くは「アメリカ抜き」までには至るまい。ただ投資家、企業、個人等々はこれまでのように6~7割をアメリカ=「ドル」に依存するのは止めて「お金」のアロケーション(配分)を徐々に変えていくだろう
経済学史的に言えば、これは「プラザ合意」に匹敵するレベルの大変革。対応の仕方によってはピンチにもなるがチャンスにもなり得る。エンタメの世界が "先行" する形で 「憧れのアメリカ」の終焉。ー「音楽」「映画」等のソフト産業の変遷と共に。|損切丸 が進んできたが、もっと大きな胎動に移行しつつある。 "Tariff Man" が慌てて「宗旨替え」をする可能性もあるが一度転換した流れは止められまい。「アメリカ基準」を追う者は段々いなくなってくる。これは長年デフレに苦しんだ日本にはチャンスでもある

