トーマス・カーライル について
トーマス・カーライル(Thomas Carlyle, 1795年~1881年)は、19世紀のヴィクトリア朝イギリス(スコットランド出身)を代表する、きわめて影響力の高かった歴史家、評論家、哲学者です。
当時の社会に鋭い批判を投げかけ、多くの知識人に影響を与えた「時代の預言者」のような人物でした。彼の特徴や思想をいくつか分かりやすく紹介します。
🏛️ 主な特徴と思想
「英雄崇拝論」の提唱者
歴史は少数の優れたリーダー(英雄)によって作られるという「英雄史観」を主張しました。前の質問に出てきた「Heroarchy(英雄支配体制)」も、この思想から生まれた言葉です。
近代(工業社会)への強い批判
当時、イギリスで急速に進んでいた産業革命や金勘定ばかりの資本主義(功利主義)を激しく批判しました。
経済学のことを「陰気な科学(dismal science)」と呼んで嫌ったことでも有名です。
ドイツ文学・哲学の紹介者
当時イギリスではまだ知られていなかったゲーテやシラーなどのドイツ・ロマン主義文学を熱心に勉強し、翻訳して国に紹介しました。ゲーテ本人とも熱心に文通をしていました。
📚 代表的な著作
1.『英雄崇拝論』:歴史上のナポレオンやクロムウェルなどの英雄を分析した、彼の代名詞となる本です。
2.『フランス革命史』:まるで目の前で起きているかのような、激しくドラマチックな文体で革命を描き、大ベストセラーになりました。
3.『衣装哲学』:独自の人間観や社会観を、風刺とユーモアを交えて語った哲学的な小説風の作品です。
💡 有名なエピソード
『フランス革命史』を書き上げた際、友人である哲学者ジョン・スチュアート・ミルに原稿を貸し出しました。しかし、ミルの家の家政婦が「ただの紙くず」と勘違いして暖炉に投げ込み、全原稿が燃えてしまうという大悲劇が起きます。
カーライルは絶望のどん底に突き落とされましたが、狂気的な精神力で最初からすべて書き直し、名作を完成させました。この不屈の精神も彼の「英雄」的なキャラクターを物語っています。

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