【短編】再出発 No.01
はじめに
照葉のあらたな挑戦です。
好きな歌を自分なりに捉え、連想し空想してみると独特の物語が生み出せるのではないかと考え、挑戦してみたいと考えました。まずは「宣言」しなければと思い以下の記事を投稿して五日間が経過してしまいました。そろそろ皆さんの記憶から消えていく頃かもしれないと焦り、少しでも「ああそう言えば」と記憶の片隅に残っているうちに投稿しようと本日に至りました。
なんの歌を元に創ったのかは最初にお知らせすることはしません。ぜひ、元になった歌を推測して楽しんでいただければと思います。全ての話が終了した時にお伝えする予定です。最もその前に解ってしまうとは思いますが。
小説としては16000文字弱で構成しましたので連載としてお届けしたいと思います。毎日連載で文字数が多い日でも2000文字以下になるようにしていますので、サクッと読めるのではないかと思います。
※ タイトル画像はCANVAのText to Imageを利用して作ったものです。
それでは、短編連載小説「再出発」の第一話をお楽しみください。
開幕〜🎉
再出発
一転した生活
北海道に来てからどのくらい経っただろうか。ふと振り返ってみる。もともと東京生まれの裕一は、まだ北海道の寒さが残る春の日に、一人で夕陽を眺めながら思いを馳せている。大学を出て東京の小さな商社に就職をしたあと、北海道への転勤を命じられてやってきていた。その後は、がむしゃらに働き続けて数年後、苫小牧支店で勤務している時に、智美という女性と社内で知り合い、恋を育み、めでたく結婚したのだった。苫小牧での幸せの生活が始まった。二人で足繁くよくいった場所は支笏湖。季節ごとの違った風景が見られる場所でとても落ち着く場所だった。二人とも大好きな場所で数え切れないくらいの写真も撮った。
全てが順調で幸せな時間は永遠に続くものだと感じていた頃だった。もちろん、結婚後はそれまで以上に充実し幸せを感じられる新婚生活となり、誰しもが経験するように、もれなく裕一の体重も増え、同僚からは幸せ太りだなと揶揄われていたりもした。社員数も少ない支店内での結婚ということもあり、社員一同が結婚式に参加して祝ってくれた。チャペルでライスシャワーを浴びていた頃のことを裕一は思い出しながら夕陽に照らされ真っ赤に染まった顔を綻ばせている。
「あの頃が一番楽しかったなぁ。仕事も順調だったし、少しずつ給料も上がり、二人の生活にも少しだけ余裕ができていたころだったなぁ。もっといろんなところに二人で旅行もしたかったし、小さい家も欲しかった。そこで子供を育てられたら最高だっただろうな。最後まで海外には連れていってやることはできなかったことが心残りだけど」
裕一はしみじみと智美との二人の思い出に浸っていた。どんどん時間ばかりが過ぎていく。さっきまでは水平線の上にあった太陽がいつしか海の中へと沈んでしまい、眩しく明るかった昼間から冷えた空気に包まれる星空へと変わっている。裕一は一人で星空を見上げ続ける勇気もなく、仕方なく灯りのついていないマンションの部屋へと一人で帰っていった。
どうしても辛くなると、楽しかったことばかりが思い出されてならない。裕一は自分ではもっと強い心を持っていると思っていたが、どうやら崩れ始めると自分だけでは支えることができない心の持ち主だったのかもしれない。時間は無常に過ぎていく。どんなに止まってくれと祈っても過ぎていく。どうすることもできない自分を恨んでも何も変わらないことは解っていた。だからこそ、辛さだけが大きくのしかかっていたのだ。
部屋に入った裕一は真っ直ぐにキッチンに行き冷蔵庫を開け、缶ビールを手にした。その後、リビングに移動し智美の写真をじっと見つめながら缶ビールを煽り、シャワーも浴びずにベッドに入る。寝付けない夜は更に裕一を苦しめた。それでも疲れた体は睡魔に襲われ数時間は眠りにつくという日々を繰り返していた。
つづく
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