「母親はサンドバッグですね」そんなわけない理由[癇癪への対応]
こんにちは、sioです!
今まで何度か
「子どもが感情コントロールをうまくできない理由」や「扁桃体を落ち着かせたり、前頭前野の発達を助ける関わり方」
などをお話ししてきました。
それは保護者の方や支援する方が、イライラしたり、強く叱ってしまう悪循環から楽になってほしいという思いがありました。
でも以前こんなことがありました。
児童発達支援事業所(児発)をご利用の、年長さんのお母さんが初回の面談で、
「家では癇癪がひどくって、叩かれたり蹴られることもあります。
でも辛いのは本人ですもんね。
私はサンドバッグになって、気持ちを受け止めます。」
とおっしゃったんです。
いえ、それは違います。
「理解すること」と「仕方がないと諦めて我慢すること」は違うんですよ〜!!
誤学習は脳の発達を妨げる
癇癪が起きる時、扁桃体は過興奮し、前頭前野はオフライン。
冷静な判断はできない状態です。
扁桃体の過興奮に任せて、周りのものを投げる、手足をばたつかせる、近くの人に暴力を加える、泣き叫ぶなどの行動をとることがあります。
これは脳のシステムとして「起こり得ること」ではありますが、「受け入れてよいもの」ではありません。
なぜなら脳は「学習」をする臓器だから。
「泣き叫んだら要求が通った」
「物を壊すと気持ちがスッキリした」
「お母さんを叩いても、誰にも何も言われなかった」
そんな経験が続くと、脳はそれを
「最短で不快を回避できる行動パターン」
として学習してしまうんです。
誤学習あるいは不適切行動の強化と呼びます。
この誤学習は、経験すればするほど強化されます。
適切な環境や関わり方であれば脳は「学習」し、脳の発達を助けますが、
「誤学習」は脳の適切な発達を妨げます。
癇癪には「気持ちの主張」と「問題行動」が混ざっている
癇癪という言葉は実はなんとも曖昧です。
人や学問や立場によって
「発達段階で生じる自然な情動反応」だったり、「怒り・苛立ちが抑制できない問題行動」
と説明されることもあります。
つまり、癇癪には「気持ちの主張」と「問題行動」が混ざっているんですね。
保護者や支援者が受け止めるのは、「嫌だった」「欲しかった」「したくなかった・したかった」「思い通りにいかずに悔しかった」などの「気持ちの主張」です。
ただし、暴力、破壊、暴言などの「問題行動」に対しては適切に対応し、誤学習を防ぐ必要があります。
決して「大人がサンドバッグになって受け止める」ことでは解決しません。
問題行動の誤学習を防ぐためには
そのための対応として、次の3つが優先順位が高いと思います。
▶︎代替手段の提示
「落ち着いて『いやだった』って言ってくれれば伝わるよ」
「ママは叩かないよ。叩くならクッションを叩いて」
「落ち着かないならカームダウンルームに行く?」
▶︎一貫した対応とルールの提示
大人によって反応が違ったり、大人の機嫌や状況によって対応が変わると、子どもは「どんな条件なら要求が通るか」を探索します。
毎回明確に「暴力や破壊、暴言はしてはいけない。それでルールが変わることはない」ことを示すとともに、代替手段を提示します。
▶︎問題行動をそもそも起こさせない環境調整
行動は繰り返すと習慣化してしまいます。
誤学習を防ぐためには、そもそも癇癪が起きないように環境を調整する必要があります。
子どもの感情を受け止める前に、自分の感情も尊重してあげてほしい
お母さんが自分の怒り・悲しみを我慢する必要はありません。
だって叩かれたら痛いじゃん。
酷いこと言われたら悲しいじゃん。
「叩かれると痛いよ」
「そんな言い方をされると悲しい気持ちになる」
と冷静に伝えることは、子どもにとって感情を適切に伝えるお手本になります。
また、「相手にも同じように気持ちがある」「自分の行動は相手を傷つけたり悲しませたりする」ということの理解は、前頭前野とToM(心の理論)の発達を助ける経験にもなります。
「母親は我慢するもの」「愛があるなら我慢できる」
そんな誤学習は、平成においていきましょう…!!
ちなみに、そのサンドバッグ発言のお母さん(笑)のお子さんは、約半年間の療育で癇癪時の「叩く」「蹴る」の頻度は目に見えて減りました。
今は小学生になり、イヤな時はすご〜くイヤそうな顔をして「イヤだ!!!絶対に僕はしない」と言葉で伝えられるようになっています笑
そんな時は、苦笑いしながらも
「分かったよ。言葉でちゃんと意思表示してくれてありがとう」
と伝えています。
最初はうまくいかないことのほうが多くても、それでも
「子どもの気持ちを尊重する」と「自分のことも大切にする」は両立できる
と信じてやっていきましょう〜!
