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ラットプルダウン〜フロント vs バック〜

参考文献

Padovan, Riccardo, et al. High-Density Electromyography Excitation in Front vs. Back Lat Pull-Down Prime Movers. Journal of Human Kinetics. 2024; 91: 47-60. doi:10.5114/jhk/185211.

ラットプルダウンの主動筋における高密度筋電図による活動:フロント vs. バックの比較


とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)

目的

この研究は、高密度筋電図を用いて、ラッドプルダウンにおけるバーを頭の前に下ろす(front-LPD)方法と、首の後ろに下ろす(back-LPD)方法での、主動筋の空間的な筋活動および活動量を比較することを目的としました。

方法

トレーニング経験のある男性14名を対象としました。
8-RM(8回連続で持ち上げられる最大重量)の負荷設定を用い、広背筋、僧帽筋中部、大胸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋後部の筋活動を記録しました。
解析にはHD-EMGを使用し、下ろすフェーズと上げるフェーズにおける筋活動量(nRMS)および筋活動の重心の位置を算出しました。

結果

8-RMの絶対負荷は、back-LPD(59.3 kg)に比べ、front-LPD(70.0 kg)の方が有意に高い値を示しました。
筋活動量については、下ろす動作ではfront-LPDが広背筋と大胸筋で高い値を示し、上げる動作ではback-LPDが広背筋で、front-LPDが上腕二頭筋と三角筋後部で高い値を示しました。
また、空間的な解析では、front-LPDにおいて広背筋や上腕三頭筋の活動重心がより外側にシフトし、大胸筋はより頭側(上部線維)に位置することが確認されました。

結論

front-LPDはより大きな外部負荷を扱うことができ、主動筋全体の活動量も高い傾向にあります。
しかし、front-LPDとback-LPDでは筋肉内の空間的な活動パターンが異なるため、特定の部位に多様な刺激を与える目的で、両方のバリエーションをトレーニングプログラムに組み合わせることが推奨されます。


ポイントと感想

筋肉内の活動シフト?

この研究では、単なる筋活動の強弱だけでなく、筋肉内のどのあたりが働いているかを可視化しています。
これは、高密度筋電図のおかげです。

例えば、front-LPDでは大胸筋の活動重心がより頭側にシフトしていることが示されました。
これは、バーを前方に引く軌道が大胸筋上部線維の走行に合致している可能性を示唆しています。
広背筋においても、front-LPDでは下ろす動作で活動の重心が外側にシフトしています。

筋肉でも部位を選択することができそうですが、これがどのような効果をもたらすかは、不明ですね。

局面での使い分け

下ろす動作ではフロントが広背筋をより刺激するのに対し、上げる動作ではバックの方が広背筋の活動が高いという結果がでています。
バックでは首の後ろから動作をコントロールして戻す際に、より高度な筋制御が必要とされるためと考えられています。

バックは肩関節の外旋と外転に十分な可動域が要求されます。
無理にバックを強いると、頚椎の過屈曲などの代償動作を招くリスクがあります。
対象者の可動域も、運動の選択に関係してきそうです。

外部負荷の差とトレーニング効率

研究結果では、フロントの方がバックよりも約10kg以上重い重量を扱えています。
これはバイオメカニクス的な有利さに加え、日常的な習熟度の違いも影響していると考察されています。

筋肥大や筋力向上を主に置く場合、より高い外的負荷を扱えるフロントが効率的と言えますが、バックには独自の刺激パターンがあります。
また、グリップ幅については、主要な筋活動に大きな差がないという知見も紹介されており、無理にワイドグリップに固執する必要もなさそうです。

背中の広がりを作りたい、スポーツ動作に近い刺激が欲しいなど目的に合わせた運動の選択をしていきましょう。

ではでは。

#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

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