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Fit4Alzプロジェクト〜運動療法&認知機能トレーニングの併用効果〜

参考文献

Silva AF, Clemente FM, Roriz MS, Azevedo JA, Jovanovic O, Adamovic M, Bozic A, Silva R. The Effect of Aerobic or Strength Training in Elderly with Cognitive Decline: The Fit4Alz Project. J Sports Sci Med. 2025;24(1):172-186. doi:10.52082/jssm.2025.172.

認知機能低下を伴う高齢者における有酸素運動または筋力トレーニングの効果:Fit4Alzプロジェクト


とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)

目的

認知機能低下を伴う高齢者を対象に、有酸素トレーニング(AT)または筋力トレーニング(ST)を、認知トレーニング(CT)と組み合わせた場合とそうでない場合が、身体能力および認知機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的としています。

方法

認知機能低下(MoCA 26点未満)が認められる高齢者154名(平均72.8歳)を、

  1. 筋力トレーニング+認知トレーニング(STCT)

  2. 筋力トレーニング(ST)

  3. 有酸素トレーニング(AT)

  4. 有酸素トレーニング+認知トレーニング(ATCT)

の4群に分類しました。
全群、週3回、各60分間のプログラムを12週間実施しました。評価指標にはMoCA、Senior Fitness Test(2分間足踏み、アームカール、6分間歩行テストなど)を用いました。

結果

身体機能(2分間足踏み、アームカール、椅子座りリーチ、バックスクラッチ、8フィートアップアンドゴー、6分間歩行)において、有意な時間と群間の交互作用が認められました。

具体的な群間差です。
AT群はSTCT・ST群と比較して上半身の筋力が向上しました。
STCT群はATCT群より柔軟性が向上しました。
ATCT群は他群に比べ有酸素持久力で最大の改善を示しました。
一方、認知機能(MoCA)および下半身の筋力(椅子立ち上がり)については、全群で有意な改善は認められませんでした。

結論

12週間の有酸素トレーニングおよび筋力トレーニングは、認知トレーニングの併用の有無に関わらず、高齢者の全体的な身体能力を有意に向上させることが実証されました。
しかし、本研究の期間内では認知機能に対する有意な改善効果は確認されず、認知能力への影響を確定させるにはさらなる研究が必要であると結論づけられました。


ポイントと感想

運動すれば身体機能は上がる

今回の報告の特徴は、対象者が認知機能低下を呈している高齢者であることです。
そして、今回の結果から、認知機能の低下を認めた対象者でも、運動に伴う身体機能の向上を認めることがわかりました。
適切な強度と頻度の運動介入(週3回、12週間)により、身体機能は確実に向上しています。

介入内容によって得られるアウトカムの優先順位が異なっています。
有酸素運動で上半身筋力の向上を認めているところは少し謎ではありますが、それぞれの運動の特性を活かした介入は必須だと思います。

認知機能改善における12週間

この研究では、認知機能(MoCA)の有意な改善は見られませんでした。
介入期間の設定や、評価指標の感度が影響している可能性があります。

そもそも、なぜ運動が認知機能へ良い影響を与えるのでしょうか。

よく言われるのは、脳への血流の増加です。

それに加えて、この報告のintroductionで、脳内の物質の影響などもまとめられていました。
下記にまとめます。

運動は視床下部におけるオレキシンの分泌を促し、それがBDNF(脳由来神経栄養因子)の産生を促します。
BDNFは海馬のシナプス可塑性を高め、学習や記憶の基盤を作ります。
さらに、IGF-1やVEGFといった物質の産生による血管新生や血流改善、前頭葉の灰白質容積の維持など、構造的な変化をもたらす機序が認知機能への良い影響の要因とされています。

今回の結果では、認知機能の向上を認めることはできませんでした。
しかし、脳血流の改善や神経新生の促進という生物学的なメリットを考慮すると、長期的な運動では効果が出る可能性もあります。
認知機能への直接的な効果を出すためには、運動の「種類」だけでなく、より長期的な介入や、二重課題の難易度設定を再考する必要があるかもしれません。

運動の継続と活動量の維持、向上は重要な部分ですので、効果的な運動を長期的に継続してもらうところへフォーカスできると良いですね。

ではでは。

#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

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