咀嚼と栄養・消化の関係
参考文献
Kumar, A. et al. Chewing and its influence on swallowing, gastrointestinal and nutrition-related factors: a systematic review. Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 2022. 63(33), 11987–12017. https://doi.org/10.1080/10408398.2022.2098245.
咀嚼と嚥下、胃腸、栄養関連因子への影響:系統的レビュー
とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)
このシステマティックレビューは、咀嚼機能が嚥下、消化管の働き、そして栄養状態にどのような影響を与えるかという視点から71件の研究を分析しています。
評価方法として用いられたGRADE分析では、
咀嚼が嚥下・消化に与える影響に関しては低~非常に低い確実性
咀嚼と栄養指標(例:BMIや摂取量)との関連に関しては中等度~非常に低い確実性
と、明確な結論を出すにはエビデンスがまだ不足しているという結果でした。
46件(64.7%)の研究が、咀嚼がそれらの要因に影響を及ぼすという仮説を支持している一方で、25件は否定的でした。
それでも、咀嚼機能が落ちると、嚥下や栄養にも影響する可能性があるという示唆は多数報告されており、無視できない内容といえます。
影響を与える要因としては、咀嚼により食べ物が消化しやすくなるなど生理的な要因だけでなく、食べられるものが限定されるなどといった食事内容そのものから、栄養摂取の変化が出てくることがあるそうです。
ポイントと感想
咀嚼は嚥下と消化のスイッチ
咀嚼のスピードや量が、胃腸の動きや腸内ホルモンの分泌にも関与していることが報告されています。
グレリンという食欲をコントロールするホルモンは、咀嚼や口腔内刺激に反応して変化することがわかっています。
しっかり噛むことで消化準備が整う可能性があるということかと思います。
栄養状態やBMIにも関与
ランダム化比較試験の中で、咀嚼能力の評価がその人の栄養状態(BMIなど)をある程度予測できると報告されたものがありました。
特に高齢者や低栄養リスクのある患者においては、咀嚼力の低下が体重や食事摂取量に直結しているケースもあります。
参考文献内には、咀嚼回数や咀嚼時間とBMIの関連性を示唆するものもありますが、一定の見解が得られていません。
個人的な仮説は、
よく噛む
→栄養の吸収率が上がる
→体重が増える
といった感じだと思っていました。
しかし、研究によっては咀嚼時間や回数とBMIは負の相関があるといった見解があります。
ただ、因果関係ではなく交絡因子が存在するそうです。
まだまだ、解明できていない分野ですが、少なくともよく噛んで食べることはメリットがありそうです。
ではでは。
ー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●

投稿はこちらのXで随時報告しております。ぜひフォローをお願いします!
クリエイターページはこちらから!
関連の文献もご覧ください!
いいなと思ったら応援しよう!
皆さまのご支援は、AIへの課金、書籍やPCの購入など、日々の業務や良質な記事をお届けするための活動資金として大切に使わせていただきます。今後とも応援いただけると嬉しいです!