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糖尿病と脊柱管狭窄症の運動療法

参考文献

Shi T, Chen Z, Hu D, Li W, Wang Z, Liu W. Does type 2 diabetes affect the efficacy of therapeutic exercises for degenerative lumbar spinal stenosis? BMC Musculoskelet Disord. 2023;24(1):198. doi:10.1186/s12891-023-06305-0.

2型糖尿病は、変形性腰部脊柱管狭窄症に対する治療運動の有効性に影響しますか?


とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)

目的

2型糖尿病(T2D)の有無が運動療法を受けている変性腰部脊柱管狭窄症(DLSS)患者の予後において、どのような影響を及ぼすかを明らかにすることです。

方法

2018年12月から2020年1月までにDLSSに対して運動療法を受けた、T2Dを有する患者と有さない患者を対象とした後ろ向き研究です。
傾向スコアマッチングを用い、年齢、性別、ベースライン時の痛み(脚・腰)、障害度などの因子を調整して1:1で比較しました。
評価項目は、主要評価項目として脚の痛み(NRS)と腰の障害度(ODI)、副次評価項目として腰痛の強度と歩行能力(SPWT)とし、ベースライン、6週間後、12週間後で比較を行いました。

結果

マッチングにより各群41名が選出されました。6週間の運動療法後、T2D群は非糖尿病群と比較して、6週時点(NRS脚部変化:1.21 vs 1.78)および12週時点(1.52 vs 2.18)ともに脚の痛みの改善幅が有意に小さい結果となりました。
歩行能力においても同様の傾向が見られました。
腰の障害度(ODI)の改善については両群間に有意差はなく、全体として改善傾向を示しました。

結論

6週間の治療的運動は、2型糖尿病を合併するDLSS患者において、非合併患者よりも脚の痛みや歩行能力の改善効果が劣ることが示されました。


ポイントと感想

糖尿病が末梢神経と筋組織に与える影響を再考する

今回の結果から、T2Dを合併しているDLSS患者は、運動療法を行っても脚の痛みや歩行能力の改善が得られにくいということがわかりました。

T2Dは微小血管障害を引き起こし、神経への血流を低下させることが知られています。
DLSSによる神経根の機械的圧迫に加え、糖尿病による代謝性・血流性の神経障害が重なることで、運動療法による血流改善や神経滑走の促進といったメリットが相殺されている可能性が考えられます。

また、多裂筋の脂肪浸潤も重要だと思います。
T2D患者は骨格筋の質が低下しやすく、多裂筋などによる脊椎の動的安定性を低下させ、結果として下肢症状の遷延を招いているのかもしれません。

改善のペースが遅いと捉えましょう

T2D群も改善していないわけではありません。
臨床的に重要な最小変化量(MCID)は達成しており、ODIにおいても6週・12週で有意な改善を見せています。
非糖尿病患者と同じようなスピードでの改善は期待しにくいという予測を立てることも重要です。

よって、整形外科的な視点のみでなく、既往からその患者さんの予後や改善のスピードを予測できると良いですね。

ではでは。

#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

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