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五輪コーチから学ぶ、ハムストリングス損傷予防の基準〜スピードトレーニングがもたらす「ワクチン効果」〜



臨床のリアルと迷い

ハムストリングス肉離れからの競技復帰は、セラピストにとって常に緊張感を伴います。
とても再発しやすい怪我です。
ノルディックハムストリングスなどのエキセントリック強化や、柔軟性の改善、モーターコントロールの修正は行うものの、そこからトップスピードで走らせる段階では、ブレーキをかけてしまいがちです。

安全のために、80%で走らせて本番には100%を出させるという選択肢は、本当に合っているのか。

こうした迷いは、スポーツリハビリに携わる多くの人が抱えます。「スピードの処方」について、解釈を深めましょう。

知見の整理と道標

ブラジルのオリンピック短距離・跳躍競技コーチが実践するスピードトレーニングを分析した論文です。
主に6つの種類のトレーニング(最大スピードスプリント、レジステッドスプリント、オーバースピードランニング、上り坂・下り坂ランニング、競技特異的動作、フォームランニング)を提供しています。

最大スピードスプリント(MSS)は、肉離れのリスクそのものに思えますが、ハムストリングス損傷に対する「ワクチン」として機能することが示唆されています。
MSS特有の筋活動パターンを定期的に行うことで、組織の耐性が向上します。

MSSを高めることは「スピードの予備力」の向上に直結します。
簡単にいうと最大速度の絶対値が上がれば、高速での走行が「相対的に低い強度の負荷」となり、結果として軟部組織へのダメージを和らげることなります。

臨床への落とし込みと深掘り

私たちの役割は、怪我を恐れてスピードを制限することではなく、計画的かつ安全に、トップスピード(MSS)を経験させる環境を作ることです。

競技復帰前、ただ漫然と距離を走らせるのではなく、加速期から最高速度に達するまでの姿勢の変化をコントロールさせることも重要です。
論文内でも言及されている「フォームランニング」を治療的エクササイズとして行なってみましょう。

股関節伸展の出力向上を狙ったスキップやバウンディングを指導しますが、その際の体幹の角度などにこだわることが重要です。
加速初期は体幹を前傾させて水平方向への力発揮を促し、トップスピードに近づくにつれて直立姿勢(80度以上)へと移行します。

ウォールドライブやゴムバンドを用いた抵抗スプリントを活用し、
「今はどの局面の姿勢を構築しているのか」
を選手と共有しながら動作を学習させる。
これが、再発予防のための本質的なアプローチとなります。

締め

全力で走らせるトレーニングを行うことが、早い速度で走った時のハムストリングス損傷の予防につながる可能性があります。

最大値が上がれば筋肉に自然と余裕が生まれます。

最終的に100%のスプリントを導入するために、姿勢をコントロールした段階的な加速ドリルを行なっていきましょう。

参考文献

Loturco, Irineu, et al. Speed Training Practices of Brazilian Olympic Sprint and Jump Coaches: Toward a Deeper Understanding of Their Choices and Insights (Part II). Journal of Human Kinetics 89 (2023): 187-211. doi: 10.5114/jhk/174071.

ブラジルにおけるオリンピック短距離および跳躍競技コーチのスピードトレーニング実践:彼らの選択と知見に対するより深い理解に向けて(第2部)

ではでは。
#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

ご覧いただきありがとうございました。

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