慢性痛と自律神経の関係とは?
参考文献
Arslan D, Ünal Çevik I. Interactions between the painful disorders and the autonomic nervous system. Agri. 2022;34(3):155–165. doi:10.14744/agri.2021.43078
痛みを伴う疾患と自律神経系との相互作用
とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)
この論文は、痛みと自律神経系(Autonomic Nervous System:ANS)の相互作用について、解剖学的、機能的、病理的視点から広範にレビューしています。
ANSは交感神経、副交感神経などから構成され、痛みの感知・調節に深く関わっていることが明らかにされています。
特に、自律神経機能障害(dysautonomia)は、慢性痛を有する多くの疾患に関与しており、心拍変動(HRV)の低下や交感神経活動の過剰化が観察されています。
対象となる疾患には、片頭痛や群発頭痛、三叉神経痛、小線維ニューロパチー、筋・筋膜性疼痛、線維筋痛症、内臓痛、幻肢痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、脊髄損傷後の疼痛などが含まれます。
ポイントと感想
自律神経と痛みのつながり
ANSは内臓機能に不可欠な神経系ですが、痛み刺激にも強く反応していることがわかりました。
また、それに伴う疼痛行動や情動反応に影響を及ぼします。
中枢では、視床下部や扁桃体、PAG(中脳水道周囲灰白質)が重要な役割を果たしています。
特に下行性疼痛抑制系との相互作用が、自律神経反応と慢性痛の形成に関わっています。
交感神経の「悪さ」に注意
交感神経は「闘争・逃走反応」を担う一方で、慢性痛の増強因子として働くことがあります。
疾患別にみるANSの関与
片頭痛・群発頭痛(TACs):三叉神経-副交感神経反射や視床下部の異常活動が関与。HRVの変動も報告されています。
三叉神経痛:発作時に交感神経優位の反応(心拍数の上昇など)がみられ、交感神経の関与が疑われています。
線維筋痛症:交感神経過活動と副交感神経低下が特徴。HRV解析でも自律神経の異常が確認されています。
小線維ニューロパチー(SFN):C線維の機能評価により、交感・副交感機能を把握可能。早期診断にLASCA法が有用とされます。
CRPS:交感神経の脱神経過敏や自己抗体など、多因子的要因が複雑に絡み合います。
脊髄損傷:自律神経反射の再構築によって、AD(自律神経過反射)や慢性疼痛が出現。交感神経の再構築がカギ。
理学療法士としてどう活かす?
まずは、全てを「痛み=局所の問題」と捉えないことが重要ですね。
ANSの影響を考慮することで、より包括的なアプローチが可能になります。
交感神経抑制を目的とした深部呼吸訓練、マインドフルネス、ゆっくりとした動きのエクササイズ(例:ヨガ、太極拳)などは、自律神経系を介して疼痛緩和に貢献する可能性がありますね。
ではでは。

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